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「あなたのことはそれほど」最終巻6巻あとがき~いくえみ綾は不倫をテーマにしていなかった

すでに雑誌の方で読んでいましたが、単行本でも買おうと「あなたのことはそれほど」最終巻6巻を買いました。

手からこぼれ落ちた幸せを見つめるような美都の顔が印象的な表紙ですね。


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ネタバレはすでに書いているこちらからどうぞ

●2017.8月号マンガ原作最終話「あなたのことはそれほど」ネタバレ感想

●【番外編】2017.10月号「あなたのことはそれほど」ネタバレ感想~涼ちゃんのその後


ストーリー自体には、その後の書き下ろしはありませんでした。

ただ見開きのあとがきがありました。

今までの「あなたのことはそれほど」の単行本にはあとがきが無かったので、最終巻だけ特別に書き下ろしたんですね!

他のシリーズだといくえみ綾さんはいつもあとがきを描いているので、このシリーズだけ無しなのかな?と思ってました。


あとがきはブンちゃんが代弁していますが

「もともと読み切りのつもりだった」

「不倫についてどう思われますか?と質問を受けることが多かったけど、そもそも不倫をテーマにしたかったわけではなく、こういう状況で動く人たちを描いてみたかっただけ」

「キャラたちがクズだカスだと非難され、むしろ愛しくなってきた」

「ドラマの独自エピソードは面白く観ていた」

と描かれていました。

世間的にも不倫が騒がれていた時期だったので、どうしても「不倫物」って受け止められていたお話でしたが、もともといくえみ綾ファンだった人から見たら

「ですよねー」

って感じですね。いくえみ綾さんは「不倫はダメ」とか「不倫でも純愛」とか、そういう倫理観とか世間体に凝り固まった視点でお話を描かない方ですもんね。


ただやっぱり読み返してみると、「あなたのことはそれほど」は、他のいくえみ綾作品とは少し違ったテイストがあったなぁと思います。

恋をして苦しくても、どこか飄々としていたり、クスッと笑える部分があるのがいくえみ綾さんの描くキャラの魅力ですが、有島と美都の最後のLINEはリアルでキツかったです。

それでも母親の看病を前向きにする美都の最後は、いくえみ綾さんらしい良い終わり方でした。

「不倫なんかしたから不幸になった」

なんて思わせない、悲しいけど前向きな終わり方だったのかな。

まさか最後の番外編が涼ちゃんオンリーとは思いませんでしたが…
美都のその後を想像してみたのですが、きっとまた涼ちゃんタイプの男性から好かれる気がします。

香子に彼氏ができて、その友達と偶々会って気に入られたりしそうかな。

バツイチだし、親の介護してるしって笑って流すけど、積極的にお誘いを受けて、なんとなくご飯とか一緒に食べて…

でもきっと、涼ちゃんを思い出して、美都はすぐには靡かないのでは?

恋愛自体にはそこまで積極的にならず、時々有島のことを思い出してしまう気がします。

そうやって1人でいることに慣れた頃に、お互いに何となく合うなぁと思う男性と出会って、うまくいってほしいかな。


私は美都のことは、あれだけ有島のことが好きだったんだから仕方ないと思っています。

有島が麗華と出会う前から、ずっと忘れられなかった人ですし。

そうやって、ずっと自分のことを好きだった美都と、奥さんの妊娠中に気軽に関係を持った有島は、倫理観としては無しですが…

有島はすごくズルイし、酷いとも思うけど、そこがいくえみ男子の魅力でもあるんですよね。

最後に謝っただけ、まだ有島は世の中に多い男性よりマシな部分もあるかもしれません。


有島は美都をどれほど傷つけたか、イマイチ分かっていないままな気がします。

そりゃ奥さんと子供が大事なのはもちろんですが、ずっと自分のことを好きでいた美都の気持ちを、深く考えてはいませんでしたね。

でもそれに怨みがましい気持ちを持たない美都は、強いなと思います。

そうやって麗華の気持ちを考えもしない美都のことを嫌う人もいると思いますが、でも自分の人生を1番に考えるのは当然です。


今市子さんの「ホームレスサラリーマン」で、不倫をした女性が出てきます。

男性たちに不倫を叩かれた時に

「不倫が悪いことなんて分かってる。

でも死ぬ時に『あーあの時我慢して不倫しなくて良かったー』なんて思いたくない」と言い

「自分のことしか考えてない!」と言われたら

「だって、私の人生なんですけど?」と開き直った言葉を言うシーンがあって、それはそれで「確かに!」と思いました。

世間体とか倫理観も大事だけど、今目の前に好きな人がいて、それを我慢して自分で自分を褒めて人生が終わるのって、なんだかそんなの私も嫌ですね。

死後に神様に褒めてもらえる?地獄に落ちなくて済む?そんなの嬉しくないし。


ただやっぱり、どんなに好きでも、お互いに大事にし合えないだけの恋愛は寂しいなぁと思わされたのが、この「あなたのことはそれほど」でした。

「運命」とか「必然」って片方だけ思っていても、一方通行だと寂しいですね。

美都も涼ちゃんも、有島がいなければ、世間的には「幸せ」だったのかな?

そんな「幸せ」の型は無いのかもしれないな。

こんなに読後に寂しくなる面白いマンガはあまりないので、ホントいくえみ綾さんはすごいと思います!

あぁ、こんな恋がしたい!とは言い切れないけど、でもこの登場人物たちのように、地に足をつけて前に進める人生を送りたい、と思いました。

いくえみ綾さん、お疲れ様でした!


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