以前真木よう子が紹介していたマンガ「逢沢りく」の上下巻を楽天koboで20%オフクーポンを使って買いました。

作者は「猫村さん」で有名な、ほしよりこ。

ずっと気になってたんですが、センシティブそうなので、そういう気分のときに読もう、と思っていて、やっと買うことに。

で、読んで良かったです!後半泣きました!


正直、あらすじを読んで想像していた話と、物語の核となる部分が、ちょっと違っていました。

「イケメンで社長のパパと、家事が完璧な仲良しのママがいる美少女逢沢りくは、涙を自由に流すことができる」
って部分をあらすじでは読んでいましたが、

まぁ確かにそうなんですが、上下巻を通して読むと

「母親から価値観を押し付けられ、素直な感情が何なのか分からなくなってしまった美少女逢沢りくが、

両親から強制的に離れて暮らすようになり、

見下していた大阪の人々に触れて、温かい感情を手に入れていく。

完璧主義でサバサバタイプを気取っていた母親も、自分の心の中の寂しさを認めだす。」

という、共依存の母娘の成長ストーリーでした。



以下ネタバレアリの感想です。

まずは上巻。


逢沢りく(上)【電子書籍】[ ほしよりこ ]

逢沢りくは、物静かな美少女。

面倒な場面では自由に涙を流し、周囲の人から心配されたり大事にしてもらうことが出来ます。

そんな彼女には、犬猫など嫌がって近づきません。

りくも、母親から「動物はバイキンだらけ」と、近づくのを止められています。


りくのパパはオシャレなイケメンで、アパレル会社社長。

ママとはラブラブだけど、部下と不倫しています。

ママはサバサバした女性で家事は完璧。

娘とは仲良し友達親子風にしていながらも、無農薬や無添加にこだわり、その価値観を

「りくも、それが良いと思うわよね~?」

と押し付けます。

パパの不倫はママもりくも承知の上。

りくは笑顔で仲良し家族の娘を演じ、ママが求めているだろう行動を察して、泣いたり笑ったりしていますが、内心は

「ホント、ママってめんどくさい」

と思っています。


ある日、パパの誕生日に、愛人が小鳥を飼ってくれと言い出しました。

愛人が選んだ小鳥を、本妻が育てる。

そう仕向けることで、愛人は妻に勝った気持ちになりたい、という気持ちでした。

りくは、偶然その過程を見てしまいました。


後日、いつものように具合が悪いフリをして早退したりくは、パパの会社に行き、愛人も家に招きました。

「将来の参考にしたいから、経験を話して欲しい」

とりくは愛人に頼みますが、りくには自分の将来の夢など、何もまだ描けていません。

その女性がパパの愛人だとママもりくも分かっているのに、表面上は和やかに会話し、食事をする4人。

ママの気持ちを察したりくは、小鳥を籠から掴み出し、握り締めました。


危うく小鳥が死にそうになったところでパパとママが気付き、りくを止めたので、小鳥は一命を取りとめましたが、

「ママのためにやった」

というりくに、ママは考えます。

あの子のことが、時々怖い。


ママとパパは話し合い、りくを大阪に住むパパの叔母の家に一時期預けることを、勝手に決めました。

「りくを産んでから、ママは家事と育児を完璧にやりたくて仕事を辞めていたけど、また仕事を集中してやるために勉強したいから。

その間、りくには大阪に行って欲しい。」

とママは言いました。


勝手な話にりくは怒りましたが、でも決して泣きません。

「ママのために行ってあげる」

と意地を張るりく。

ママは、そうやって自分の感情を表に出して、自己主張をしないりくを心配していたのです。


元々はママは大阪なんて品が無くて大嫌い。

お笑い番組なども見ません。

大阪の叔母さんのことも、大阪弁も馬鹿にしていたのに、そこに私を行かせようとするなんて…

そこにりくは小鳥と一緒に連れていかれ、騒がしい親せきにウンザリしながらも、

どうせ、すぐにママが我慢出来なくなって迎えに来るし

と思いながら、我慢して過ごすことにしました。


父の叔母の家には、旦那さん、息子、嫁と孫がいて賑やか。

みんな関西弁で漫才のような会話をするのも、りくには鬱陶しくて煩くて、面倒でした。

学校も面倒。

りくはあえて制服も前の学校のままにし、目立つ転校生になりました。

しかし、授業中いつものように嘘泣きをしたとき、東京の先生たちは騙されていたのに、大阪の先生は嘘泣きだと見破りました。

はとこの高校生も、りくが小馬鹿にしたように小さく笑ったのを咎めたり、大阪の人たちは東京の人たちのように、りくの表面上だけでなく内面も見抜きます。


叔母の家には、よく孫の「時ちゃん」が来ていて、りくが連れてきた小鳥を可愛がっていました。

まだ保育園に通っている時ちゃんは、明るく元気でおしゃべりな男の子。

りくが影で意地悪をしてもめげません。

でも、時ちゃんは病気があり、その病気があまり良くない重病であることが、叔父と叔母の会話から匂わされたところで、上巻は終わります。


某レビューでは、上巻だけではよくストーリーが分からない、というコメントを見ましたが、

上巻は「りくとはどんな女の子なのか?」を語る巻です。

東京にいるときはスカしていたりくが、慣れない大阪に行かされることにより、りくが何が嫌で、どんな嘘をつき、内心は何を考えているのか?が見えてきます。


まぁ有り体に言えば、りくは、いかにも東京出身の嫌な子供。

世間を知った気になって、我慢したり、嘘をついたりして、素直な可愛らしさがありません。

でもそれは、両親が無言でりくに強要していたキャラクターなんですよね。


完璧主義の母親が押し付けた価値観を、りくはそのまま受け入れてしまっていて、でも母親はそれに気付かず、

「どうしてあの子は、泣いて大阪に行きたくない!とか帰りたいって言わないんだろう」と思っている。

りくは「私が迎えに来てって言えばママは迎えに来るけど、帰って来てって言われるまで帰らない」とムキになっています。

そうやって母親に素の感情を見せないのは、りくとママが共依存の関係だからでしょう。

以下、下巻に続きます。
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下巻では、りくにも何となく友達ができます。


逢沢りく(下)【電子書籍】[ ほしよりこ ]

東京でもりくは男子からモテていましたが、りく自身はまだ恋には興味が無く、むしろ「気持ち悪い」と思っています。

友達が好きな男子が、自分に気がある、むしろ両思いだと勘違いしていることも、りくには気持ち悪くて仕方ありません。


ある日りくは家に来ている時ちゃんに懐かれ、意地悪な気持ちで

「あなた病気なんでしょ?大人はみんな嘘をつくからね」

と話しかけました。

時ちゃんは自分が病気だと言うことは知らず、無邪気にりくに懐いて、一緒に勉強する!と言ったりして側にいたがります。

学校でも制服が違うことで女子生徒に絡まれたり、りくはもう内心本当にウンザリしていました。


一方のママは、表面的には勉強を頑張ったりして、りくとのメールでも
「りくもがんばれー」
と呑気なやり取りをして、りくを苛立たせていましたが、実際には物思いに耽るようになっていました。

料理もあまり作らなくなったママに、パパは今まで以上に側にいたい、と思うようになりました。

けれどママは、パパから「愛人と別れようか?」と言われても「どっちでも良いよ」と言い、サバサバしたフリをしながらパパを突き放しています。


ある日、りくのもとにママから荷物が届きました。

その日はりくの誕生日で、誕生日プレゼントとして「いらない」と言ったはずの、大阪の学校の制服が届き、りくは憤慨します。

本当はりくに帰って来て欲しいくせに、わざと突き放すために大阪の制服を送るママ。

「ママってどうしてこうなんだろう…」


この日の夕食では、みんながサプライズとしてご馳走やケーキを用意してくれました。

時ちゃんは「ないしょ」と言いながら、サプライズのことをりくに話してしまいました。

お祝いをしてもらいながら

「あ、こういう時こそ泣けばいいんだ…しまった。

でもなんだか最近、私、思ったように泣けないな」

とりくは自分の変化に気付き、戸惑います。

そして、ケーキに乗ったクマのチョコレートを欲しがる時ちゃんに、黙ってりくはそれを時ちゃんのケーキに乗せてあげます。

「どうして私、泣けなくなったんだろう…」

と思いながら。


食事が終わり、叔母さんとお嫁さんが片付けをしているとき、急に時ちゃんが発作を起こしました。

慌ててみんなが時ちゃんを抱えて病院に走っていくのを見て、りくは

「本当にあの子、病気なんだ。怖い。」
と思い始めます。

そして叔母に
「あの子の病気、移るんですか?」
と聞き、移る病気では無いと教えてもらうのですが、その様子を見て時ちゃんの兄の春ちゃんは

「みんなが時ちゃんの心配をしているときに、そんなことを聞くなんて!」
と怒りました。

けれどそんな春ちゃんのことも、叔母は諌めてくれました。


翌日時ちゃんが無事調子が良くなったことを食事時に聞き、その話の中で、どれだけ時ちゃんがりくからもらったクマのチョコレートに喜んでいたかを知ります。

しかしクマのチョコレートは、時ちゃんが発作の間ずっと握りしめていたため、溶けて無くなってしまいっていて、それに時ちゃんはとてもショックを受けていたそうです。

「せっかくお姉ちゃんがくれたのに」と。


学校は相変わらず、りくにとって馴染めない場所でした。

そして、りくがずっと前の学校の制服を着ていることを
「家が貧乏だから…家庭が崩壊寸前だから…」
と余計な嘘の噂話が出回っていることを知り、怒り心頭になります。

家に帰り、ママから誕生日に送られてきた大阪の学校の制服に袖を通してみたのですが、その姿を見た時ちゃんに

「お姉ちゃんらしくない。前の制服の方がお姉ちゃんらしい」

と言われてしまいます。


いつものように時ちゃんが他愛もないことを言ってくる話の流れで

「僕はこれから長くなる!」

と時ちゃんが言い出します。

「は?長く?大きくの間違いじゃないの?」

とりくは最初は小馬鹿にして言い返しますが

「違う!病院でお母さんとおばあちゃんが『時ちゃん長くないかもしれへん』って泣いてたけど、ぼくはこれから長くなるんだ!」

と言い張るのを聞き、りくは

「大人はみんな嘘つきでデタラメでいい加減なんだか、信じたらヒドイ目にあるんだからね」

と言いました。


りくは大阪の学校の制服は、ママに送り返しました。

それを見てママはある人に「今から会いたい」と連絡をします。

そしてパパには「今日は同級生に会うことになったから遅くなるね」と連絡を入れます。

連絡を受けたパパは笑顔でそれを聞いたあと、愛人の前でため息をついて

「結局俺ってずーっと奥さんに片想いしてんだよ」

とボヤきました。


ママはその後ある男性と再会し、そのままホテルに行きます。

その男性はママの昔の男で、5年ぶりの再会。

大阪弁のその男の前で、りくから送られてきた制服を着ます。

「どう?欲情する?」「今夜ここに泊まらない?」というママに、男はため息をつき

「これ以上俺のことを傷つけないでくれるか。

君はいつも自分を必要としている人を自分に引き寄せて、その後思いっきり突き放す。

そして相手が傷ついているのを見て安心しているだろ。

そんなことをしていたら、本当に君が必要としている人は遠ざかっていくばかりだよ」


と諭されました。


りくの制服を着たまま街を歩いてママは帰宅し、りくに

「来週迎えに行くよ」

と電話をしました。

でも、りくは思っていたほど嬉しくない自分に気付きます。

そしておやつの時間に時ちゃんの具合が悪くなり、来週時ちゃんが手術をすることを知りました。

「もうすぐ帰れる…でも、あそこに帰っても、またどこかへ行かなきゃいけない気がする…

大人になっても結局、死ぬまでどこかを探し続ける気がする…」


と、りくはぼんやりと考えるようになりました。


明日、時ちゃんが入院をするという日、りくの前で小鳥がおしゃべりをし始めました。

小鳥が話しているのは、時ちゃんの小鳥を呼ぶ声、時ちゃんと叔母の毎日繰り返されていた会話でした。

その小鳥の声を聞きながら、りくはママに

「月末に試験があるから、それを受けてから帰る」

と嘘のメールをしました。


学校の先生にも、叔母さんにも嘘をつき、自宅に帰ることを伸ばしたりくは、時ちゃんの手術の日には、鞄を学校に残したまま早退しました。

そして小鳥の前に座り込んでいるとき、伯父さんが病院から受けた電話で、時ちゃんの手術が成功したことを知りました。

時ちゃんは無事回復をしていきましたが、りくは病院が嫌いなのでお見舞いには行きません。

そんなりくのことを、伯父さんと叔母さんは

「感情を出す人と出さない人が、人それぞれいるんだろうけど、感情を溜め込む辛さも大したもんなんだろう」

と話していました。


りくが東京に帰る日が近づいたある日、帰宅するとちょうど病院の時ちゃんから電話がかかってきていました。

りくが電話に出ると、時ちゃんは
「お姉ちゃん、ぼくが帰ったときもいるよね?
おじいちゃんとお兄ちゃんが、廊下でお姉ちゃんがもうすぐ帰るって言ってたけど、違うやんな?」
と無邪気に聞いてきました。

りくは震えながら

「大人ってとんでもない嘘つきなんだから。

私が時男くんが帰ってくる前にどこかへ行くわけないのに、嘘ついたのよ!」
と言いました。

喜ぶ時ちゃんが
「早くお姉ちゃんと小鳥のチイボに会いたいなあ。チイボはなんて話すの?」
と聞いてきたので、恥ずかしさを堪えながら、初めてりくは
「トキチャンって…あとオヤツ…シヨカ…セヤナって…」
と関西弁を口にしました。

それだけ言って、思わずりくは電話を切り、そのまま震えながら家を飛び出し、転んでも耐えて立ち上がり、手漕ぎボートが並ぶ場所にたどり着き、

そのボートの間にしゃがみ込み、

「うあああああああ…うわああああああ」と大泣きをしました。




時ちゃんと電話で話すあたりから、泣きました。

りくは無邪気な時ちゃんと触れ合うことで、そして周囲の人たちの優しさに触れることで、やっと温かい感情を手に入れることが出来たんですね。

そうやって、りくが感情を押し込めるようになった理由は、ママが愛情を確かめるために、他人を突き放してしまう性格が起因していました。

母娘が離れることにより、お互いが成長出来たんですね。


このマンガ、いわゆるコマ割りされた普通のストーリーマンガでは無いことに、違和感を感じる人もいるようです。

でもそういう、「マンガとはこういう物」というルールは関係ありません。

「読む人を選ぶマンガだ」と言う人もいますが、そうかな?

ただ、人により受け取り方は違うかもしれません。

ただの、14歳の女の子の成長物語として読む人もいるかもしれませんが、

主軸の中には、ママの成長も含まれています。


大人の女性で、素敵な旦那さんと娘がいても、ママもまた1人の人間。

サバサバしたタイプを気取る女ほど、内面はドロドロとした孤独感が強いタイプである、ということも、このマンガでは描かれています。

そして、その感情が娘にも影響を与えているということも。


単純に、東京の人は上辺だけで、大阪の人は温かい、ということでは無いと思います。

ただ、あの家庭で育ったりくには、鬱陶しい大阪の親戚や同級生が与えたカルチャーショックは、良い影響を与えていました。

そこは分かりやすいギャップが語りやすい設定だったと思います。

都会の子が田舎で素直な心を取り戻すストーリーって昔からありますし。

「思い出のマーニー」も、大枠はそんな感じだし、他にもそういう話はたくさんあります。


でも、このマンガは、母親の姿が描かれているのが良い!

こういう共依存の描き方って、あんまり無い気がします。

ってか、パパ、もっとしっかりして?

これは作者が女性だからかな?

男性側の意見も聞きたいですね。


自分の心の殻みたいなのにジレンマを感じている、大人が読むのも良し。

多感な10代が読むのも良いと思えるマンガでした。

オススメです!

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