海外ではジブリ=宮崎駿、高畑勲は無名…パクさんの功績とは?~プロフェッショナル宮崎駿回

2024年01月11日
映画
わしゃがなTVでプロフェッショナル仕事の流儀「ジブリと宮﨑駿の2399日」がとても良かった、と中村悠一もマフィア梶田も大川ぶくぶも絶賛していたので、NHKプラス見逃し配信220円でレンタルして観てみました。

購入期日は1/28までで、再放送予定は無いそうです。

まぁ後日円盤で発売されそうですけどね。



私は基本、映画やマンガの素人考察系を信用していないので、映画館に観に行った時もチラッと検索しただけで、観た後も検索したけど「知りたいことが書いてない、解釈違いだな」と思って、とりあえず不明な部分はそのまま寝かしつつ

「日本人でも難解なのに、海外の人はどう思うのかな?」

と思っていました。

その後オンライン英会話などで外国人の方々と話したら、公開前の時点で

「ジブリが好きだから、楽しみ!」

と言う方々が多かったです。

そして「私はジブリだと高畑勲作品の方が好き」と話すと「誰?かぐや姫の物語?火垂るの墓?知らない」と言われ、えぇー、となってました。

海外でも高畑勲は評価されてる、と国内では言われてるんですけどね…

でも私が今まで話した外国人は皆んな「ジブリ=宮崎駿」と認識していて、高畑勲作品は観たことがないと言っていました。

「ハウルの動く城」が好きだ、とセルビア人男性が言っていましたが、私はハウルはピンと来なかったので返す言葉に困ったなぁ。

アニメーションとしてはすごいと思うけど、ストーリー展開があまりにご都合主義で未消化な気持ちにさせられる印象があるんですよね。

「風立ちぬ」は好き、映画館でも号泣したけど、周囲では「つまんなかった」と言う若者がいて、好みの合う人を探すのは難しいと思ったものです。

だからより一層、「君たちはどう生きるか」の素人考察系に関しては、自分と価値観合わない可能性高いからあまり読まなくて良いかなと思っていたんです。

実際、当時の私のネタバレ感想を読み返すと、重箱の隅を突くような設定に対するモヤモヤをいきなり書いてました。

⚫︎ #君たちはどう生きるか ネタバレ感想~マザコン少年の反フェミニズム冒険譚かつ反戦映画

私が高畑勲作品を好きなのは、そういう「ストーリーのためのご都合主義」を感じないからです。

高畑勲展に行った時に感嘆したけど、徹頭徹尾キチンと筋が通っていて、キャラクター設定がブレない、というか感情の変化にキチンと理由があり、それが示唆されている。

⚫︎ 「高畑勲展」感想~「二ノ国」に足りないのは情熱か知性か予算か?

プロフェッショナルの編集が「宮崎駿は高畑勲にずっと片想いしていた」という目線で編集されていたから、というのもありますが、宮崎駿が自立したくて、でも途中で絵コンテが進まなくなった時に高畑勲が手伝った、とか、アイデアを出していた話を聞くと

「宮崎駿は視覚・感覚的に面白いものを産み出そうとしている。

高畑勲は全体を俯瞰して理論立て、ストーリーをテーマに沿わせて構築しながら映画を作っていたのかな?」


という気がしてきました。

だから、制作途中で宮崎駿はEパートの絵コンテがなかなか出来なくて、一度描いたのもボツにして、ゾーンに入るまで自分を追い詰めて、展開のアイデアの種を探しに潜っていくのかな、と。

高畑勲だと、「この流れで、ここに帰結するなら、ここにはコレが必要」というのを、理論的に導けそうな気がしてしまうんです。

まぁこの2人のことを分析している人はたくさんいるのでしょうが、あくまでも人間のことなので「~だろう」としか言い切れないのではないか、とは思います。

私は何故「君たちはどう生きるか?」が宮崎駿の自叙伝なのかピンときていなかったのですが、

「寡黙だった少年が、成長の過程で高畑勲という人と出会い、愛して、追い求めた。

道中で青鷺と出会って気付きも得た。

高畑勲という大切な人を失った後、自分だけでなく人というものは、どうしていくべきなのか」


というものだったと分かり、少し腑に落ちました。

ただ、完全には理解出来たとは言えないし、裏話を聞いて納得したから傑作だ、とは言えません。

色々考察していた人の中には、それが当たっていた人も、外れた人もいるのでしょうけど、それでも視聴者の中には

「見終わったから、考察サイトを読んで考えをまとめよう」

と言う人もいて、

「感想ではなく、考察を求める必要性って何だろう?」

となりましたね。

国語のテストって、絶対にコレという答えがあるものもあれば、受け手によって感じ方が分かれる部分もあり、そこに正解も間違いも無いだろう、ということもある。

考察という意味だけでなく、宮崎駿がどれだけ高畑勲を意識していたか、というのを再認識する意味で、今回のプロフェッショナル仕事の流儀は良かったです。

鈴木プロデューサーが裏話を色々してくれていて、

「ナウシカのプロデューサーはパクさんにさせる!

これは俺の復讐だ。

それを糧に俺は頑張る!」

と泣きながら宣言したのに、いざ完成したら

「30点」

と評価されて、怒り狂って本を破り捨てた、とか…

高畑勲なりには

「皆んなが100点と言ってるから、俺はそれ以上のものを作れるだろ、という意味で30点にした」

と言ってましたが、褒められたがってる身からしたらキツイですよね…

だから、「宮崎さんにとって高畑さんとは?」という質問には「パクさん」としか答えなかったのに、高畑勲からは「良い作品を作れる人だと思ってる」と言われたら、嬉しそうに「ホント?」と聞いてたんだな、とか、そういう編集が上手い番組でした。
私はそこまで熱く語れるほどジブリファンではありませんが、高畑勲と宮崎駿の関係は、これは萌えるなぁ、と思いました。

ブロマンス、というカテゴリに収まらないし、戦友と言うのも違う気がする。

5歳差で、元々は上下関係があった、というのもあるのかな?

そして、性格は根本的にはかなり違いそう。

「公開日に間に合わなくても、映画が完成しなくても、俺は平気」

と言い切れてしまう高畑勲のメンタルの強さはすごい!(褒めていいか微妙ですが…)

でも、宮崎駿は庵野秀明から借りてきたスタッフにも追い詰められる。

この辺はやはりクリエイターだなぁと思いました。

この2人の関係性のドラマやアニメも、作られそうですね。

「なつぞら」は中途半端で、いつの間にか絵を描くのが好きな子キャラになったり、皆んなが上手いこと助けてくれたり、としていて、主人公本人のアニメ愛が全然感じられなかったから、やはりこの2人の物語が観たい…けどまぁ既にドキュメンタリーもインタビューも色々あり、下手にオリジナル設定とか足されたくないから、難しいところです。

そんな風に2人で手掛けた作品も、世間的には宮崎駿の作品と認識されてしまったり、高畑勲の作品が話題にならないのは残念だなぁ。

あまりTVで再放送されないせいもありますけどね。

この2人の間に立っていた鈴木プロデューサーも、すごい人だと思います。

双方の本音を聞き、性格を把握し、才能を発揮できるように導き続けていたのですから。

高畑勲のお葬式で、弔辞を読みながら泣く宮崎駿の姿は、もらい泣きしそうになりました。

どれだけ宮崎駿がショックを受けているか分かっていて、お葬式の場にも連れて行き、その後仕事が出来なくなっているのも鈴木プロデューサーは見守っていたけれど、彼は彼で悲しかったでしょうね。

いつまでも少年の気持ちを持ち続けている宮崎駿は、そうなれる才能と、環境があったんだなぁと改めて思いました。

あんな風に絵を描く姿を観ると、若い子が

「デジタルもアナログも、印刷すれば同じでは?」

と言っている時代に、愕然としてしまいます。

今回「君たちはどう生きるか」がゴールデングローブ賞を受賞したのも、3DCGが主流の欧米では新鮮だからかも、とか言われてるし…

私はAIがクリエイティブの業界に打撃を与える、と言われているのにいまいちピンと来ていないのですが、それはやはらアナログだから出来ることがある、人間だから生み出せるアイデアがある、と思っているからです。

私程度の人間でも、アイデアが生まれた時はアドレナリンが出るし、その瞬間はどこかから何かが降ってきたように感じます。

手を動かしている内に見えてくるものもある。

ふとした瞬間に、過去に見た何かや、空想したものが結び付いたりして、そこに法則はありません。

それをどう形にして、他者に伝えるか。

その手法として、彼らはアニメーションを選んでいたんだなぁ、と改めて思いました。

そして、次々と産まれた名作は、人と人が出会って、ぶつかって、格闘して、笑い合って出来たもの。

物作りをする人だけでなく、自分自身のこととか、生きるってことを考える上でも、今回のプロフェッショナル仕事の流儀は観て良かったです!

まだ未視聴の方は、期間内にぜひ!
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