#きのう何食べた?8話、 デベロッパー詐欺夫婦を、差別助長な国際ロマンス詐欺改変に不満

2023年11月26日
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「きのう何食べた?」は最近はTVerで観ています。

ちょこちょこ原作改変はあるけど、基本的に各エピソードが上手く纏まるようにしていて、面白いですね。

ただ、原作17巻137話の「デベロッパー夫婦のハニートラップ」を、シーズン2の8話で「外国人女性の国際ロマンス詐欺」に改変したことには、ものすごく驚き、モヤモヤしています。

ドラマでは相手の女性はシンガポールかタイかインドの26歳女性カマラを自称していて、お金を送って欲しいと要求し続け1千万円既に振り込んでいるため、奥様は詐欺だと思って、旦那が勤務先の銀行融資のお金を使い込みしたりしない内に、シロさんに「夫が詐欺だと認めないと警察は動けないので、夫を説得してくれ」と頼む設定になっていました。

きのう何食べた_国際ロマンス詐欺_差別

が原作では、相談者の夫(大手建設会社勤務)は仕事で出会った女性とのダブル不倫していて、シロさんが不倫相手の女性にアポを取って会いに行くと向こうの旦那(成金な格好)が現れ、その後相談者夫の会社に「妻がセクハラされたから、マンション販売手数料を法外な値段に値上げしろ」と言ってくるんです。

不倫相手とのLINEのやり取りを見ていたときから違和感があったシロさんは、そこで「これはよくあるデベロッパーのハニートラップだ。あちこちで同様の手口をやっているはず」と気付き、それまでのLINEのやり取りも証拠として会社に提出するよう助言して解決させました。

全く設定が違いますよね。

ドラマだと、シロさんは国際ロマンス詐欺の証拠を見せつけるために、関空まで旦那に同行したりしていましたが…



デベロッパーのハニートラップより、国際ロマンス詐欺の方が視聴者は身近に感じやすいだろう、と思うのも分かります。

またこのエピソードでは店長夫婦がベトナム旅行を企画し、でも実は離婚の準備をされていて、結局店長は一人でベトナムに移住して美容院を始める、という東南アジアのエピソードがレシピにも反映されているストーリーでした。

ある意味、東南アジア繋がりで筋が通っているでしょう。

でも…これ根底には「東南アジアの女性の写真を使ったロマンス詐欺って多いよね」という暗黙の了解、という名の差別意識が無意識に含まれていませんか?

そして、シロさんが不倫している旦那にレンフォトを見せて詐欺と分からせようとするのは、弁護士の仕事の範疇かな?とも思うんです。

原作ではあくまでも、相手の女性の状況確認のために会いに行ったら、相手の旦那が現れてしまった、という流れなので。

あー地面師とかデベロッパーとか一般人にはあまり縁が無い話だけど、国際ロマンス詐欺ならよくあるよね、と思う気持ちは分かります。

でも、そこには無意識に「外国人の若い女性を使った詐欺」を「あるあるネタ」と思っているのが見て取れて、そこがよしながふみ作品の愛読者としては「彼女の今までの主義主張と微妙に合わない気がする」と思えてしまいます。

よしながふみの作品は最近になって「多様性」という言葉が跋扈し始めたため、それ系と思い込まれることもありますが、初期作品の頃から一貫して

「説教臭くなったり、上から目線にはならず、物語のメインテーマに添わせながらも『人が無意識に持っている差別意識』を仄めかす、もしくはハッキリとセリフにする」

というものが多くて、そこが好きです。

この「多様性」って言葉のせいで、彼女の作品を「そっち系」とよく知らずに揶揄する人、たまに見かけてしまって残念なんですよね。

世間に物申そう!なんて感じじゃなくて、人がちょっと生きづらいな、と思っていたり、これはこれで仕方ないかな、と思っている部分を掬い上げて、そしてそれを全部非現実的なくらいハッピーに終わらせないところが、彼女の作品のよいところ。

外国人が出てくるエピソードだと、BLの方でフランス革命の頃とか扱っているものもあるけど、「フラワー・オブ・ライフ」だと主人公のお母さんが「ひよこ雌雄鑑定師」の技術普及のために海外に行っていて、空港で見かけた黒人の男の子に話しかけて「天使みたいに可愛い」と微笑むエピソードなどもありました。

個人的見解ですが、よしながふみは「無意識の差別助長」に対しては、「そういうものがあるのは分かっているし、すぐに無くせるものではないけれど、より助長させたり、それを当たり前と思わせるエピソードにしたくない」と思っている気がします。
でも今回のドラマを観た人は

「うわ〜こんなあからさまな国際ロマンス詐欺に、銀行勤めのエリートの夫でも引っかかるんだ〜」

くらいにしか思わなかったのでは?

それは「東南アジア系の女性であれば、国際ロマンス詐欺をしてもおかしくない」という思い込みがあるからでは?

実際、大昔にはフィリピーナさんとかいたしね。

そしてその頃の日本人男性は、出張先の海外で女性をお金で買って遊びまくったりもしていました。

SATCの中で、キャリーが日本人男性から娼婦と間違われてキレるエピソードもあった時代です。

一時期オンライン英会話でフィリピン人の可愛い若い女の子とよく話していた時に

「深夜や早朝は日本人男性からセクハラされる(イチモツを見せてきたり、セクハラ発言をする)ことが多いから、若い女性はその時間帯にレッスンをしないように」

と上から忠告を受けている、と聞いたことがあります。

日本人として、本当に恥ずかしい話ですよね…

これが有名な話になった時に、「日本人男性は皆んなセクハラする可能性が高いから気をつけろ」と海外で言われていると知ったら、私達は悲しいし、不愉快な気持ちになるし、「そういう人もいれば、そうじゃない人もいる」と言いたくなりませんか?

国際ロマンス詐欺だって、そうだと思うんです。

特に今回のドラマの場合は、仕組んでいたのが本当に外国人だったか、実は日本人が外国人のフリをしていたのか、分からない終わり方をしていました。

ただ、同じ手口で騙された人が複数人いる、と関空の職員に教わって納得した、という終わり方。

「外国人に気をつける」という感覚は分かります。

東南アジア系の人を警戒してしまう気持ちも、私は言語交換アプリで初期に「変態に会ったことある?」とか「彼氏いるの?」とかいきなりメッセージを送り付けてくるのがそういう国の男性ばかりだったので、警戒して無視するようになってしまっていますから。

でも、だから全員を見下す、詐欺師と思う、差別をする、をしてはいけないとは思っていますし、そういう0か100で考えるのは危険だというのは忘れないようにしようと肝に銘じているんです。

人種差別は戦争の始まりになる可能性があるから。

欧米人とやり取りしていても、「あの国嫌い!」とかハッキリ言う人はいます。

でも絶対にそういう言葉を言わない人もいて、仲良くなってからコソッと「こういう人もいたけどね…でも問題はその人自身ってだけだろうね」という話をし合うこともあります。

こういう話は、色んなケースがあるからこそ、端的にまとめてしまうと誤解や差別の助長になる可能性がある。

絶対にそういうエピソードを使うな、とは言いませんが、敢えて原作改変をして使う話では無かった、というのが私の見解です。

全体的には、このドラマのテイストはちゃんと原作に沿わせようとかなり頑張っていると思うんですけどね。

皆んなが知らず知らずにやっている差別やダメなこと、気を付けた方がちょっと幸せになれること、そんなのを優しく柔らかく伝えてくれるところが好きな作品なので、この改変だけは嫌でした…

逆に他国のドラマで「日本人女性が国際ロマンス詐欺をしている」と使われたら、嫌じゃないですか?

最近ハワイ入国する日本人女性の取締が厳しいって噂もありますよね。

え、私本当に観光目的なのに、なんで悪いことした同国民と同じ目で疑われないといけないの?って不愉快になると思います。

それと同じことを、私達もしてはいけないんじゃないかなと思ってしまいました…
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