「美しい彼」ドラマとマンガのネタバレ感想~萩原利久の演技力でヒットした?

2023年04月22日
八木勇征 0

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同僚がドラマ「美しい彼」にどハマりしている、と言っていたので、何となくマンガ版の方を買って読んでみました。


美しい彼(1)

マンガ版はまだ2巻までしか出ていず、「で、この先は?」というところなのに、3巻発売は今秋。

ドラマ配信はHuluやU-NEXT限定らしい、と聞いていたのですが、Netflixを見たらシーズン1だけ配信になっていたため、早速観てみました。

そうしたら、マンガとはエピソードの順番がちょっと違っていたり、端折られてる部分もあるし、そもそも平良が両親と同居じゃなく一人暮らし設定になっていてビックリ。

速攻で同僚に確認したところ、同僚はドラマと映画と原作小説はチェックしているけど、マンガは未読なのだそうです。

「とにかく、シーズン1の5話からが可愛いから、そこまで頑張って観て!」

と言われたので、観続けました。

まずマンガを読んで思ったのは、同僚から口頭で説明されていた時の印象と、実際自分で観た時の印象が違ったこと。

「吃音のある底辺キャラが、王様扱いする美形同級生のパシリになる」

という説明でしたし、王様側が受けと聞いて「?」だったんです。

が、実際観たら「この王様キャラの清居、めちゃくちゃ誘い受けのツンデレ君じゃん、そりゃ受けだわ」と分かったんです。

平良がクラスメイトからイジメや揶揄いを受けている時にサッと庇ったりしていたり、他の女子と話していたら横目でジッと見ていたり、好意あるの丸分かり!

とマンガで読んで思っていたけど、ドラマはその辺りは一応組み込みつつも短時間でまとめてましたね。

というか、シーズン1が6話、シーズン2が4話、に加えて映画公開中。

原作小説は番外編入れて4冊。

でもマンガ版は2巻の時点で、まだドラマ2話分くらいしか入ってない…

小説を読んでいないので、キャラのイメージどうこうは分かりませんが

「これは、萩原利久くんが主役を演じていなければ、よくあるお遊戯会レベルのBL実写化になっただろうなぁ」

と思いました。

元々、新田真剣佑のファンになってトップコートを調べていたから、「十二人の死にたい子どもたち」で萩原利久くんを知り、その後も中村倫也の出演作とかでバーターしていたのは知ってたんです。


十二人の死にたい子どもたち

杉野遥亮くんの方が先に売れちゃったし、特別イケメンでは無いけど、トプコ的に実力派に育てたい子なのかなぁと思っていました。

「十二人~」の時にも吃音の子の役をやっていただけあり、「美しい彼」ではその時の経験が活かされていましたね。

また、僅かな間の取り方、表情や動きや話し方の変化、が絶妙!

映像演出もオシャレなグラフィカルなイラストを用いたり、「安っぽいBLドラマにしたくない」という意気込みを感じました。

どうしても同級生とか脇役の子がまだまだ未熟な大根だったりしたけど、それも「メインの2人を引き立てるため」と思える範囲内。

清居役の八木勇征くんはこれが演技初だったそうですが、真剣佑とか水嶋ヒロ系のイケメンさんだなと思いました。


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演技自体は、かなり萩原利久くんに引っ張られていたんじゃないかな?

単独シーンだと、何だかまだわざとらしかったし。

でも、平良とのシーンはあまりセリフが無いから気にならず、演技慣れした頃から感情を表に出すストーリーだったため、良かったかなと思います。

結局、続きが気になってすぐにシーズン2を観るためにHuluも再加入しました。

いずれは他の配信サイトでも出るかもしれませんが、現時点ではHulu独占配信なもので…

美しい彼シーズン2




というと、めちゃくちゃ私がハマったかのようですが、うーん…説明が難しいですね…

私が気になっているのは

「同性愛カップルの物語を、どこで終わりとするか?」

なんです。

ドラマ版だと

シーズン1の1~4話は、平良が清居に一目惚れし、彼の気遣いや努力に気付き、益々憧れを抱きながらも「これは恋か?」と悶々とし、高校卒業の日にキスされる。

でもそのまま動かずに大学進学し、同級生男子から好かれ、偶然清居と再会する話。

5話は清居のモノローグとなり、実は親の再婚で居場所が無いという孤独感を抱えていて、アイドルになって他人から注目される居場所を作りたいと願っていたら、ひたすら自分を見つめてくる平良に惹かれていく流れ。

高校時代に平良が自分の写真をオカズにしたことが1度あると知り、好意も確認し、手にキスをさせ、卒業式には自分からキスをしたのに、その後携帯番号を変えられたことに清居はショックを受けていました。

しかも、まだ売れない役者としてもがいている時に再会した平良は、彼氏と誤解されている男友達と一緒にいる…

自分から告れば普通に付き合えるかと思っていたのに、平良はあくまでも自分をそういう対象ではなく神扱いしていることに、清居はガッカリしてしまいます。

でも最終回の6話でやっと2人はお互い自分の本当の気持ちから目を背けるのを止め、結ばれてハッピーエンド。

冷静に考えると、「お前ら母校とは言え、深夜の高校に勝手に入り込めないだろ」とか、「教室内でキス以上の関係を続けるのは…」と思っちゃいますが…

まぁお互い上半身裸で寄り添って寝ていた時には平良の家のベッドになっていたから、良いのかな。

あれは…学校では途中までして、イチャつきながら自転車二人乗りして平良の家に行って、そこから続きをしたの?それとも別の日?

受け攻めの説明は確かにふんわりしていましたが、腕枕をしていたのが平良だったので「あ、ここで平良が攻めって分かるようにはしてるんだ」と思いました。

ある意味キレイに纏まっていますが、少し引っかかります。

先にマンガ版を読んでいたから、両親から心配されて気遣われている平良と、家族愛に飢えている清居の対比がドラマでは出ていない感じだったんですね。

そもそも、平良のコンプレックスは吃音とコミュ障、清居のコンプレックスは孤独感。

この孤独感がお互いマッチして恋になるわけですが、BLあるあるだけど、親から得られなかった甘えたい気持ちを満たしてくれる存在が平良、というのには、少しモヤリとします。

これ男女の恋愛ものだったとしたら、家族愛に恵まれなかったクールな美少女が、ストーカー並みに自分を見てくる男の視線を意識するようになり、誘われるよう仕向けてもなかなか動いてくれないから自分からアプローチする、という流れになりますよね。

まぁそういう話もあるんだけど「私のこと外見でしか見てないの?」という気持ちにはなりそう。
同僚から「シーズン2は、めちゃくちゃ可愛い!これを観てから映画も観るべき」と言われています。

現時点で今すぐ映画館に走るかは考え中ですが、両思いになって付き合って同棲もしているのに、まだお互いの距離感を掴みきれていない感じは可愛かったです。

積極的にグイグイと清居が甘えているのに、全然それに気付かず、自分に自信が無い平良。

そのせいで、敢えて清居を崇め奉るセリフを言ってしまい、そのせいで「ちゃんと本当の俺を見ようとしてくれていない」と傷つく清居。


いやいやいや、お前らもうとっくに体の関係持ってるのに、まだそんな遠慮があるのかい?

しかも清居は受けなんだから、平良としては男としての征服欲がある程度満たされているのではないかと思うのだけど…

平良が親戚に清居を会わせないようにしたり、自分の親とも関わらせないようにしようとし、それで清居が傷付くのは分かりますね。

同級生が結婚する、という話の時に「俺には関係ない」と清居が言っても、「そんなことないよ、俺たちも結婚しよう」と言ってもらえない、とかさ。

カメラ越しにしか自分を見てくれない、表面しか見ようとしてくれない平良に対して、自分の弱いところも甘えたいところも全部知って受け止めて欲しいと思っている清居…可愛い…けど切ない…

で、ラストは「平良がプロのカメラマンを目指す」という方向に話が進み、その後が映画となっているそうです。

自分に自信が無いと言いながらも、実は自分の価値観に対して自信がある、エゴイストで頑固な部分がある平良、という面が見えてきていて面白かったかな。

こういう、俳優を目指す清居と、カメラマンを目指す平良という、精神的にも社会的にもお互いが成長していく様子も人気の作品みたいですね。

ま、トントン拍子とは言えないかのように描かれているけど、実際には結構現実で考えたらトントン拍子に見えるけど。

BLマンガの面白いところは、少女や少年漫画で男女が出てくると

両思い→付き合う→結婚→出産

という道筋が見えてくるから。

昔よりも、「同性愛者なんて」という葛藤やセリフや表現は減ってきている気はします。

ただ前々から「で、男同士で両思いと分かっても、俺たち今後このままどうなるの?ヨボヨボのジジイになっても寄り添うの?」という辺りまで描かれている作品は、あまり無い。

最近Netflixで、アメリカのレズビアンカップルのご老人2人のドキュメンタリーを途中まで観ました。

一緒に入る老人ホームを探している辺りまで観たけど、その辺りは男女でも同性でも変わらないでしょうね。

今時、高齢の親の面倒を見なきゃ、と同居する子供世代の話もあまり聞かないし。

よく考えたら、ウチの両親も兄も転勤族だし、周囲でも「親は実家に暮らしてるけど、子供の自分は東京近郊に住んでいて、親を呼び寄せるか検討もしてるけど、親自身がこっちに引っ越したくないと言ってる」という話もよく聞きます。

こういうことまで描き出すと「BLはファンタジー」という概念からはみ出してしまうだろうけど…


「美しい彼」は、予想していたより面白かったです。

確かに、甘える清居のエピソードは可愛かった!

揚げたてのおかずを口に入れて欲しくて「あーん」をしても察してもらえず、でも外で男女のカップルがいちゃついてるのを見て、清居がまた「あーん」をやって平良にスイーツを口に入れてもらい、でも内心嬉しくても平常心風に味の感想だけアッサリ言うのとか、女性が好きなエピソードだったなぁ。

平良が女から言い寄られてるの見て嫉妬したり、「今日、するから」と誘いをかけてみたり、「当分キスとかさせない」とお預け喰らわせたり、と、清居はとてもストレート。

でも、それが平良にうまく通じてなくて、付き合ってるのに両片思いみたいなの、可愛いですね。

小説版だとちゃんと濡場があるみたいなので、そちらも読むか考え中…

というか、同僚とここまでBLものの話が出来る職場なのは、色々不満ある会社でも良かったところだわぁ。

一方、おじさん達からは時々ゲイ差別的な発言を悪気無さそうにされることがあり、アメリカ人の友達が言っていた

「日本はBLや百合の作品がいっぱいあるのに、何でリアルではLGBTQ+の人を見かけないの?」

という疑問への答えについて、考えさせられます。

ちなみにその子のお父さんは、冗談で女言葉で話すキャラなのだとか。

娘がレズビアンなのを知っていて、その上でやってることか、性格なのか分かりませんが…

あと最近聞いた話だと、韓国人の女の子が

「もし私に女の恋人が出来たらどうする?」

とお母さんに質問してみたら

「頭が痛くなる話は止めて。

でも、誰でも良いから付き合う相手が出来たら会わせて。

その時どう自分が思うか、興味がある」

と返された、という話は興味深かったです。

多分最初は勢いで否定的なことを言ったけど、途中から「子供の主体性を否定しちゃいけない」と思って、言い方を変えたんでしょうね。

その子自身はビアンではなく、単に好奇心で聞いたのでしょうが、世界的にも親の対応の仕方は色々あるんだなぁと思いました。

BLでも色々あるけど、「美しい彼」に関しては、まだ同性愛者に微妙に偏見を持つモブもいるけど、「でもまぁ、そういう人らもいるよね」というバランスになっていたと思います。

そのくらいが今のリアルな日本なのでしょう。

そして腐女子の一部の理想としては

「性別は関係ない。お前だから好きなんだ」

という形がある気もしますね。

たまたま昨日チラッとLGBTQ+の方々の特集テレビを観ましたが、私はクィアというか、性別でカテゴライズされたくない、という人の気持ちはそこまで分かりません。

おばちゃんになると、もうどっちでも良いことだから…

フェミニンな服も、メンズっぽい服も好きだし、話しやすい相手は男女の性別ではなく人柄で選んでいるから、「世間が求める性差」なんて臨機応変に対応すれば良くない?気にし過ぎじゃない?と思うのは、まだ私の理解が足りないせいでしょう。

でもまぁ、「美しい彼」は性別じゃなく「容姿」から入って「性格」も見ていく話だから、容姿は大事なのよね…そこはもう…私は何も言えない…

とりあえず、この話はBLじゃなくても共通するテーマが扱われているストーリーだなと思いました。

芸能界ものだから、そこを非現実と思う人もいるみたいだけど、そういう盛り込みも物語としては必要でしょうし。

そういう色々ありつつ、な話の主人公を、萩原利久くんは巧みな演技力でまとめ上げているなぁと思いました。

ライアン・マーフィーは「ゲイの役はゲイにやらせる時代に」と言ってるらしいけど、私はそれは演技力と関係無い話じゃない?と思う派です。

実生活と役は関係ない、と思わせられる役者さんはすごいから。

と長々語りたくなる程度には、やはり私もこの作品にハマりました!

BLという枠に捉われずに観てみても良いのでは?と思います!

※これを書いた後、小説の2~4巻分だけ買ってみました。

で、改めてドラマはかなり小説の世界観保ちつつも、観やすくポイントを纏めているなと思いました。

また、原作内でも思考回路が謎のキモい平良(でも身嗜み整えるとイケメン)というキャラを、萩原利久くんは絶妙なバランスで演じているな、と改めて感心。

無自覚な天才カメラマンと、顔だけと思われたくなくて努力する演技派俳優を目指すメイン2人、という配役のキャスティングで、下積み長い萩原利久くんと、演技初のイケメンを起用したのも合う!

正直、原作はやはり「BL小説ならではのご都合主義とエモさとエロさ」があるので、それをそのまま実写化すると寒くなりそう。(BL耐性無い方には、原作小説はオススメ出来ません)

そこを大衆ウケにロマンチック風に調整したり、腐女子ウケを狙う実写化が多い気がするのですが、そういうのは風景映像やセリフの誇張に頼りがち?

が、このドラマは役者の動きや表情で「感じろ」としていませんか?

なので、同僚がこのカップルに激ハマりして、SNSに投稿されまくる番宣動画を漁っている気持ちがちょっと分かりました。

ふーむ、これは私、近日中に映画を観に行きそう…

「少女革命ウテナ」の監督、幾原邦彦も褒めてるんですよね。

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