よしながふみ新連載「環と周」1話ネタバレ感想~LGBTQ +と家族愛

2022年11月30日
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本屋にHONKOWAを買いに行ったら、500円以上購入対象キャンペーンをやっていたため、じゃあ久々に他の雑誌でも買ってみようかなぁ、と改めて雑誌コーナーを眺めたところ、ココハナでよしながふみが新連載を始めたと知りました!


ココハナ 2023年1月号 電子版 ココハナ電子版

元々ココハナはリニューアル前からずーっと母が買っていたので、同居していた時は読んでいたけど、以降は掲載作品で気に入っているものだけ単行本で買っていたため、雑誌で読むのは久々。

くらもちふさこのエッセイマンガも読んでみたかったし、丁度良いやーと軽い気持ちでページをめくって、ビックリ!

巻頭カラーのよしながふみの新連載「環と周(たまきとあまね)」は、女子中学生2人のキスシーンを母親が目撃してしまうところから始まります。

「おおー百合もの?」

と思いきや、それだけでは終わらないところが、さすが、よしながふみ。

動揺する妻から「娘が女友達とキスしていた」と聞いた父親は、妻の物言いに引っ掛かります。

相手の女の子は複雑な家庭環境だし、娘が遊びに行く回数が増えていること、服装の変化、等さまざまなことを結び付けて、その子から娘が悪影響を受けているかのように思っている印象だったからです。

それを諌めながら、父親は「実は自分も中学生の時、男の子のことが好きだった」ということを思い出していました。

このお父さんが同性を好きになったのはその時だけで、相手に想いも告げないまま卒業で別れたきりの片思い。

当時の自分や、幼少期の娘や、妻のことを何故好きになって結婚したんだったか?を、ポツポツと父親は1人考えます。

その間に思春期の娘は反抗期のような態度を取るようになり、父親に自分の洗濯物を洗って欲しくない、と言い出したりしていました。

こういうやり取りの中で、よしながふみは自然に、でもシッカリと「家事や育児は女がやるもの」という価値観を覆す、今時な平等さと、家族でも相手の価値観を考えて思い遣り合う言葉を織り交ぜます。

「お父さんとお母さんは、お互いに仕事と家事を分担し合って子育てをしてきた」

それを当然としている両親に対して

「お父さんじゃなく、洗濯はお母さんにして欲しい」

と言う娘に、両親はお互いの得意なこと、好きなことを尊重しながら分担しているんだと優しく話すんです。

お父さんは洗濯をする時、娘の分はネットに入れたまま洗うし、畳まずにそのまま娘に渡します。

私は古い人間だから、もし父親が私の下着を洗って干していたら、それはやはり嫌。

でもこのやり方なら、お父さんに下着を見られたり触られたりするわけではない。

そういう方法の提示、でもあるシーンだなと思いました。
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このお父さんの素敵なところは、妻から娘のキスシーン目撃を聞かされた後、その打ち明け話の前の夕食中には妻が一切動揺している様を見せなかったところを褒める、という気遣いある言動ですね。

母娘が口論になった流れで、お母さんは娘が同性愛を始めていることに気付いている、と伝えてしまいました。

でもこのお母さんは、本当はそれは本人には言わないでいようと決めていたため、とても後悔します。

その翌日に娘が家出をしてしまったため、両親は必死になって娘を探すのですが、この過程でも今どきの「個人情報の保護のために、同級生の連絡先は親同士が個人的にグループを作っていないと分からない、学校も教えてはくれない」という状況を教えてくれていました。

結局娘は渋谷の交番から連絡が来て見つかるのですが、それは補導をされたわけではなく、たまたま娘が店を出た時に男3人に絡まれ、それから逃げて交番に助けを求めに自ら行った、という経緯でした。

両親は家出をした娘を責めたりせず、むしろ

「怖い目に遭ったなら、徒歩じゃなくタクシーで帰れば良かったかな」

と優しく言います。

そして母親は娘を「自分で交番に助けを求めにいけてすごいね、偉かったね」と褒め、更に「よく遊びに行っていて、渋谷駅前には交番があるって知ってたから」と言われたら

「遊びに出掛けていたのに、交番がある場所をちゃんと見て覚えていたなんてスゴイよ」

と褒めていました。

いやもう…理想的でしょう…!

そして娘から、キスしていた女の子から「もう家に来ないで欲しいと言われた」と失恋を知らされて、黙って頭を抱き寄せます。

そのまま川辺りを歩きながら「ここ、小さい時よく一緒に歩いたね」と母親が言うと、娘は

「ずっとあのまま、小さいあーちゃんだったら良かったのに」

と涙を流しながら言いました。

帰宅してから妻は夫に

「子供にあんなことを言わせてしまった。

小さいままでいたかったなんて言わせるのは親失格だ。

これからは元気で生きていてくれているだけで良いと思って見守ることにする」


と落ち込みながら話し、それを聞いた夫は

「君がそう言ってくれてうれしい」

と返して妻を抱きしめます。

そして、そういう妻だからこそ好きになり、結婚し、これからもずっと一緒に過ごしていくんだと感じるラスト…!

このお話はオムニバス形式ということで、これからも色々な「好きのかたち」をテーマに連載が続くようですが、その関係性はそれぞれ変わっていくようです。

この1話は、子供の気持ちで読んでも、大人として読んでも、親が読んでも、LGBTQ+という視点、男女平等という視点、色々考えて受け取れるものが詰まっているなと思いました。

でもそれは決して押し付けがましいものではなく、ああしろ、こうしろ、これが当然と言っているわけでもない。

ただ、こんな風に細やかに気遣いをキチンと言葉に出来る関係性って、素敵だなと思わされました。

私はそこまで細かくネタバレを書き起こしてはいません。

なのでぜひ、雑誌で読める方は雑誌で、単行本を待つ方は首を長くして待ち、多くの人に読んでもらいたいなと思います。

もちろん、私がおすすめするまでもなく、よしながふみの作品なら皆さんチェックすると思いますが。

ああー読んで良かった!
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