SPY×FAMILYは戦争や人殺し話なので、今は「アーニャ可愛い」と単純に楽しめない
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そして、すごく人気な中で文句を書くのも野暮だし、嫌なら観るなというだけなのも分かるのだけど、今のところ「アーニャ可愛い!」と世間でキャッキャされているのがあまり理解出来ないのは、何でかなぁ、と自己分析しようと思います。
先日山手線に乗ったら、SPY×FAMILYのラッピング広告がされていました。
ヨルさんの絵の横に「殺し屋」と書かれていることに、何とも言えない気持ちになったんです。
スパイファミリー、TVアニメ2期放送始まっているのを、山手線が教えてくれました😅 pic.twitter.com/Zfc3x4Q6hm
— 丸千歌 (@aquariumhorizon) October 4, 2022
私自身、シリアルキラーものとか好きだし、現実と創作物は別物と思うタイプ、のはず。
子供が残酷なモノを観るのは良くない、的な風潮もちょっと納得いかない部分はあるんです。
それは「世の中の残酷さを知ることも、価値観を作り上げる上で意味があるんじゃないかな」と思うから。
親と濡れ場観るのは気まずいよねー、と思うくらい。
「鬼滅の刃」の遊郭編も、別に子供への配慮とか必要無くない?と思ってました。
私はSPY×FAMILYの原作を読んでいないので、この先どういう展開になるのか分かりませんが、現時点では
「戦争良くない。だから戦争を終わらせる為に邪魔な他人の命を断つのはOKだし、アーニャ可愛いし、ギャグは笑える」
というミックスに対して、モヤモヤするんですよね。
原作を読めば、もうちょっと理解出来るんでしょうか?
SPY×FAMILY 10
このミックスした感じを「面白い」とか「深い」とか思う人もいるからウケてる?
ロイドさんカッコイイ、とかヨルさん素敵とか、アーニャ可愛い、と思うシーンはあります。
ただ、勧善懲悪というか、嫌な奴には酷いことをしても良い、という前提なノリと、その嫌な奴の価値観があまりにベタで、不快だなぁと思うこともチラホラありました。
ヨルさんに熱々のラザニアだかグラタンだかをぶっかけようとした後輩女、とか。
割と最近のアニメやマンガって、嫌な奴にも理由がある、みたいな傾向だけど、SPY×FAMILYの嫌な人は昭和っぽいというか、北斗の拳の悪役くらい単純に嫌な奴。
ガンダムみたいに、双方が各々の目的意識の為に戦っている、というよりも、ただ「悪い奴を苦しめ、身近な人を守れれば良い」という価値観は、それこそ戦争の根源では?
「ヨルさんは凄腕の殺し屋だから身体能力抜群!でも性格は天然の美女」
というギャップがウケるのは分かるんです。
全然罪悪感も無く、依頼されたら他人の命を断ち、それを楽しめるサイコパス。
そうなった理由は、可愛い大事な弟を育てるため。
筋は通ってるのだけど、それを笑って楽しむことが、私には無理なのかなぁ。
ロイドさんの、子供たちを守る為に戦争を無くしたい、という設定は良いんですけどね。
アーニャはまだ子供なので、ただただ偽の家族でも仲良しなのが楽しくて、それを守るために敵が命を落とすことでも笑顔で頑張ってやっちゃう。
とても残酷な世界線の話なのに、ホンワカしたふわふわなノリで楽しむ目線もあって、そこが私の倫理観と一致しません。
まぁ、そう思う人は1クール目で脱落してそうだけど。
昨夜の学生たちのテロ計画を、父の命を守るためにアーニャと犬が協力して阻止したり、学生たちに戦争の生々しさを語るシーンは良かった。
けど…「戦争は良くない」とか「残酷」なんてことは大前提にあって、それでも何故起こるのか、は大人でも今頭を悩ませていること。
「身近な人や自分を守るため」に、利益や自由を求めて野蛮な行動をする敵と戦う、のかな?
そんな中で、スパイや殺し屋になったロイドさんとヨルさん。
アーニャみたいな子は、浦沢直樹の「Monster」のような世界観で作られた存在なのかもしれない。
MONSTER 完全版 デジタルVer.(1)
アレも旧ドイツの話ですしね。
そういう設定を踏まえて笑えるエンタメにする、というのが、私には理解出来ないのかなぁ。
いやもう「戦争反対」とか口先だけで言うのはすごく簡単なことで、だから何をするか?についての答えは難しいですね。
昔友人達が「歌って踊って戦争反対」みたいなノリに感化されてたり、ただ政府に文句言えば戦争は無くなると思ってたりしたのを見て「?」となって以来、ずっと考えてはいることです。
まぁもうお金で解決するなら、知的財産とか世界から攻撃で奪われない武力以外の力を持つしかないのかなー、と思いつつ、自分に何が出来るわけでもないのがもどかしい。
残酷な物語とかは、好きな方なんだけどなぁ。
友人で「子供を持ったら、子供が酷い目に遭う話は受け入れられなくなった」と言っていた人がいましたが、それは子無しの私でも少しは想像出来ます。
友人の娘ちゃんと「呪術廻戦」の劇場版観に行って、里香ちゃんが娘ちゃんと同じ年齢なだけに、最後
「生きていた時より、憂太と過ごした時の方が幸せだったよ」
と言いながら成仏してしまうのには
「隣にいるこの子が、生前の生活に未練が無いなんてことになったら辛い…
そりゃ親や友達より恋人の方が大事な存在なのも分かるけど…」
と思いながらも、せめて恋人以外の幸せも幼少期に味合わせてあげたい、と思って泣けました…
そういう目線だと、実の親がいないアーニャが、偽の家族と幸せに暮らす設定はアリ。
なんだけどなー…他の大人キャラがクソ過ぎるんだよなぁ…
同級生も嫌な奴は嫌な奴で、何かこう、何度も言いますが「勧善懲悪」が単純にモラハラやパワハラやセクハラの世界線過ぎて、そいつらをやっつけてもスカッとしない!
のは、相手は別にそれで「チクショー」で終わるだけ、だからかもしれません。
急に改心されてもご都合主義過ぎるけど。
ロイドさんが最初に、目的遂行のために権力者の娘と付き合って、任務が終わったらアッサリと捨てる、というのもベタでしたね。
結局彼らは任務のためなら他人のことはどうでもいいと思ってる。
そりゃ、敵側もその価値観で攻撃してくるし、戦争は無くならないなぁ。
すごく「家族が守れれば、それ以外の他人にかける迷惑はどうでも良い」という前提なのにモヤモヤしてしまって、ギャグシーンで笑ったり「可愛いー」となれない…
アーニャのボケも「子供ゆえのオツムの弱さ」ですし。
とか考えずにアニメとして楽しめるか?というと、ポップな感じが可愛いね~とか、キャラの見た目とかは楽しめる部分もある。
じゃなかったら、とっくに私も観るの止めていますし。
うん、ロイドさんが疲れ果ててソファで寝てるのとか、前髪下ろしてる時とかは好きなんです!
アーニャと父と母がほんわか過ごしているシーンも可愛い。
そういう表面的な部分は観ていてホッコリするのだけど、大前提としての「戦争」等の描写に引っかかってしまって、そのせいでキャラの魅力で楽しむのに罪悪感みたいなのが湧いてくるかも。
でも世間的にはそのキャラが大人気なわけで、私が考えすぎなのかな…
特に今は戦争がリアルに感じられすぎるから、余計にそれを「良いタイミング」と思う人もいれば「微妙なタイミング」と思う人がいるのかもしれませんね。
同じように戦争を描くものでも、真摯にそこに苦悩を描いたものは「今観るべき!」と私も思ったりするし。
今はエンタメとして、ほっこり笑って消費できる気分じゃないのかもしれません。
そういう人もいるにはいるんだろうけど、それよりも「放送楽しみ!」とキャッキャウフフしてる人のツイートがいっぱいTwitterにあるから、勝手に私がモヤモヤしているだけなのでしょう。
あぁ…この自分の性格が面倒くさい…
ということで、このままどこまで観続けるかは今のところ決めていません。
「水星の魔女」の方がワクワクしている今期ですが、そこは比べるものではないというか、私の好みとして、というだけですので。
作者はこのSPY✕FAMILYの設定がウケると思って狙っていた、というのが炎上した話を聞いたことがありますが、それが本当にハマっているのだからすごいなぁとは思っています。
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