清水玲子「秘密/season 0」全巻再読ネタバレ感想~薪さんはゲイではなくファザコン
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最近日本は見ていてゲンナリするニュースだらけだから、名作マンガ読もうぜってことを書きましたが、私は本当に最近マンガにどっぷりと浸っています。
リモートでほぼ家にいるから、仕事・マンガ・ちょっと英語勉強とそれ兼ねたNetflix視聴、をしているくらい。
元々ホラーやグロめのモノが好きなオタクとしては、清水玲子作品は大好き!


更に改めて読み直すと、アメリカドラマ好きの作家さんだけあって社会情勢がかなり盛り込まれています。
なので、昔はサラッと読んでいたシリアスな設定も「うわ、コレ今の社会情勢の背景じゃん…」と驚くこともしばしば。(ロシアとか移民とかウイルスとか)
清水玲子の「漫勉」を以前観ましたが、絵に対する拘りは凄まじく、服の皺1本でも神経を尖らせていて、更にトレース台で何度も紙を表裏返してデッサンの狂いを無くそうとするプロ意識に感動…というより執念を感じました。
更に、白泉社らしいインモラルさというか、多様性というか、の仄めかしが良いですねー。
最近LGBTQだのポリコレだの色々Twitterで話題になるけど、その辺りはもう何十年も前に少女漫画で取り上げてきてる話題ですが?となっちゃいます。
特に「秘密」は過去実際にあった事件をモデルにしていたりして、中年男性が少年を暴行して残酷なことをしたり…両親共に美少年の息子にそういうことしたり…が出てくるから、合わない人は読めないかもしれないんですが…

秘密 season 0 1【電子書籍】[ 清水玲子 ]
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でも、そういう事件は完全フィクションではなく、似た事件が実際に起こってきているのも確か。
それを読んで「真似しよう」という人を出すのではなく、「いかにそれが当人も周囲を苦しめる悪行か」を描いているため、私はむしろこの一貫した倫理観を学ぶための漫画として評価したいです!
ストーリー自体の面白さ、シリアスさが魅力ではあるのですが、やはり薪さんが「30代半ばから後半でも、女性や未成年に見える美形」というのと「大学時代からの親友で同僚だったのに、錯乱状態になったため正当防衛で射殺してしまった鈴木への愛情」と、「その鈴木に似ている部下の青木への愛情」というのが、腐女子心を掴みます。
薪さんの恋愛に関しての描写は無く、唯一4巻で性別不明の相手がバスルームから
「目隠し?良いけど、そういう趣味?」
と聞かれ、シャツを脱いで目隠しをした薪さんがベッドに横たわって
「何も見たくないから」
と答えるところだけが、誰かしらかと肉体関係自体は持ってるのね?と匂わせるシーンとなっていました。(パーフェクトプロファイルでは女性と親密になった場合、と書かれていて、性別を明記していました。が、この手の本は作者が書いていないため、編集側のミスリードの可能性もあるのでは?なにしろ「的を得る」なんて日本語書いてる本でしたし)
ここはもう作者も詳しく語る気無いんだろうな、と思うのですが、だからこそ妄想が膨らみますね。
初めて会った相手、ということは、そういう相手を買ってるってことなんだろうけど…
でも警察官がそういうプロを買うのはダメなのでは?
脳を見られても大丈夫なように記憶を残さないため、で相手の顔を一切見ず、としても、そういう相手を呼ぶために電話なりしていたらバレることなのでは…?
あと、相手に薪さんの顔を目隠し前に見られていたら、マスコミに出まくりなのでバレるのでは?
薪さん自身は大学時代から「子供を作る気は無い」と言っていて、物語の後半までは「大切な物は作らない」と思っていましたが、最終的に「第九は家族。その中でも1番手のかかる青木と、第九のせいで被害に遭った青木の姉夫婦の娘の舞は大切な存在」という認識となっていきます。
ところどころ「結局、薪さんは鈴木のことが好きなの?」とか、「最初は鈴木似で気に入ってた青木のことを、その後彼のピュアさに惹かれて好きになったの?」と思わされたりするのですが、これはあくまでも「恋愛感情ではなく、大切な人への執着心」のようなニュアンスに見えるよう話が進むため、真意は分かりません。
ただ、薪さんの中には「血が繋がっていないのに、愛情たっぷりに育ててくれた父親」という理想像があって、結局は鈴木も青木もその父親に似ている存在として好きだった=ファザコンだったんだな、と、改めて全巻一気読みして納得しました。
連載当時は新刊が出たら買う、という感じだったし、各事件によって話が変わるので、薪さん自身のキャラクターがうまく掴めていなかった気がします。
頭脳明晰で美形でパワハラしまくり、かと思いきやトラウマ(実父のこと、自分が情けをかけたせいで貝沼が大勢の少年に残虐なことをしたこと、鈴木の死、多くの国家秘密を一人で抱えているため命を狙われていること)で情緒不安定で、よく倒れるし泣くし、愛情深い。
周囲は怖がりながらも憧れていて、薪さんのことが何だかんだ言って大好き。
青木が後半「あなたが好きです。皆んなあなたが好きなんです。あなただけが自分を許していない。もう、自分のことを好きになって下さい」と伝えるシーン、あれがこの長いシリーズの中でのテーマだったのでしょう。
実父澤村の残虐さや身勝手さを受け継ぎながらも、両親も実父も皆んな東大出の優秀さを持ち、そして子供の頃から薪に愛情を注いで育ててくれていた。
それが無ければ、薪さん自身もいつ異常な犯罪者になってもおかしくない思考回路を持っている。
それを逆手に取って、凶悪な犯罪者の思考回路を読み、事件を解決していく。
真っ直ぐな鈴木や青木に憧れているけれど、でも薪さん自身もそういうピュアさは持っていて、その狭間で苦しんで悩んでいる、という、大変魅力的なキャラクターでした。
続編出ないかなー、と思っていたけど、読み返すとちゃんとseason 0で薪さんは長年のトラウマから解放されていったので、ここでちゃんと終わったのかな。
すごく冷酷に見えるのに、部下の殉職に心底心を痛めていたり、青木の姉夫婦の事件に責任を感じている分とても舞を大切にしていたり、正義感の強い人でしたね。
両親から愛情を注がれなかったが故に異常な犯罪者となった少年の光のことも、ずっと「青木と舞を傷付ける可能性が高い」と危険視していたけど、最後に
「僕が父のようになりたい、と真似したように、お前も好きな人の真似をしてみろ。
そうしたら周囲が変わっていく」
と諭すシーンは、改めて読み返したら、とても良い流れだったなぁ、と思いました。
物語の中では「絶対に変わらない悪意」もあれば、「加害者にも同情の余地がある」というケースもあれば、「国家間の腐敗」もあって、勧善懲悪だけで語れないのがこの物語の良いところ。
これを一気読みした後に現実のニュースを観ると
「くっだらない小さな事でマスコミも世間も騒ぎ続けすぎる」
と思ってしまいます。
だって報道されていることが全てじゃ無いんだろうから…
リモートでほぼ家にいるから、仕事・マンガ・ちょっと英語勉強とそれ兼ねたNetflix視聴、をしているくらい。
元々ホラーやグロめのモノが好きなオタクとしては、清水玲子作品は大好き!

更に改めて読み直すと、アメリカドラマ好きの作家さんだけあって社会情勢がかなり盛り込まれています。
なので、昔はサラッと読んでいたシリアスな設定も「うわ、コレ今の社会情勢の背景じゃん…」と驚くこともしばしば。(ロシアとか移民とかウイルスとか)
清水玲子の「漫勉」を以前観ましたが、絵に対する拘りは凄まじく、服の皺1本でも神経を尖らせていて、更にトレース台で何度も紙を表裏返してデッサンの狂いを無くそうとするプロ意識に感動…というより執念を感じました。
更に、白泉社らしいインモラルさというか、多様性というか、の仄めかしが良いですねー。
最近LGBTQだのポリコレだの色々Twitterで話題になるけど、その辺りはもう何十年も前に少女漫画で取り上げてきてる話題ですが?となっちゃいます。
特に「秘密」は過去実際にあった事件をモデルにしていたりして、中年男性が少年を暴行して残酷なことをしたり…両親共に美少年の息子にそういうことしたり…が出てくるから、合わない人は読めないかもしれないんですが…

秘密 season 0 1【電子書籍】[ 清水玲子 ]
でも、そういう事件は完全フィクションではなく、似た事件が実際に起こってきているのも確か。
それを読んで「真似しよう」という人を出すのではなく、「いかにそれが当人も周囲を苦しめる悪行か」を描いているため、私はむしろこの一貫した倫理観を学ぶための漫画として評価したいです!
ストーリー自体の面白さ、シリアスさが魅力ではあるのですが、やはり薪さんが「30代半ばから後半でも、女性や未成年に見える美形」というのと「大学時代からの親友で同僚だったのに、錯乱状態になったため正当防衛で射殺してしまった鈴木への愛情」と、「その鈴木に似ている部下の青木への愛情」というのが、腐女子心を掴みます。
薪さんの恋愛に関しての描写は無く、唯一4巻で性別不明の相手がバスルームから
「目隠し?良いけど、そういう趣味?」
と聞かれ、シャツを脱いで目隠しをした薪さんがベッドに横たわって
「何も見たくないから」
と答えるところだけが、誰かしらかと肉体関係自体は持ってるのね?と匂わせるシーンとなっていました。(パーフェクトプロファイルでは女性と親密になった場合、と書かれていて、性別を明記していました。が、この手の本は作者が書いていないため、編集側のミスリードの可能性もあるのでは?なにしろ「的を得る」なんて日本語書いてる本でしたし)
ここはもう作者も詳しく語る気無いんだろうな、と思うのですが、だからこそ妄想が膨らみますね。
初めて会った相手、ということは、そういう相手を買ってるってことなんだろうけど…
でも警察官がそういうプロを買うのはダメなのでは?
脳を見られても大丈夫なように記憶を残さないため、で相手の顔を一切見ず、としても、そういう相手を呼ぶために電話なりしていたらバレることなのでは…?
あと、相手に薪さんの顔を目隠し前に見られていたら、マスコミに出まくりなのでバレるのでは?
薪さん自身は大学時代から「子供を作る気は無い」と言っていて、物語の後半までは「大切な物は作らない」と思っていましたが、最終的に「第九は家族。その中でも1番手のかかる青木と、第九のせいで被害に遭った青木の姉夫婦の娘の舞は大切な存在」という認識となっていきます。
ところどころ「結局、薪さんは鈴木のことが好きなの?」とか、「最初は鈴木似で気に入ってた青木のことを、その後彼のピュアさに惹かれて好きになったの?」と思わされたりするのですが、これはあくまでも「恋愛感情ではなく、大切な人への執着心」のようなニュアンスに見えるよう話が進むため、真意は分かりません。
ただ、薪さんの中には「血が繋がっていないのに、愛情たっぷりに育ててくれた父親」という理想像があって、結局は鈴木も青木もその父親に似ている存在として好きだった=ファザコンだったんだな、と、改めて全巻一気読みして納得しました。
連載当時は新刊が出たら買う、という感じだったし、各事件によって話が変わるので、薪さん自身のキャラクターがうまく掴めていなかった気がします。
頭脳明晰で美形でパワハラしまくり、かと思いきやトラウマ(実父のこと、自分が情けをかけたせいで貝沼が大勢の少年に残虐なことをしたこと、鈴木の死、多くの国家秘密を一人で抱えているため命を狙われていること)で情緒不安定で、よく倒れるし泣くし、愛情深い。
周囲は怖がりながらも憧れていて、薪さんのことが何だかんだ言って大好き。
青木が後半「あなたが好きです。皆んなあなたが好きなんです。あなただけが自分を許していない。もう、自分のことを好きになって下さい」と伝えるシーン、あれがこの長いシリーズの中でのテーマだったのでしょう。
実父澤村の残虐さや身勝手さを受け継ぎながらも、両親も実父も皆んな東大出の優秀さを持ち、そして子供の頃から薪に愛情を注いで育ててくれていた。
それが無ければ、薪さん自身もいつ異常な犯罪者になってもおかしくない思考回路を持っている。
それを逆手に取って、凶悪な犯罪者の思考回路を読み、事件を解決していく。
真っ直ぐな鈴木や青木に憧れているけれど、でも薪さん自身もそういうピュアさは持っていて、その狭間で苦しんで悩んでいる、という、大変魅力的なキャラクターでした。
続編出ないかなー、と思っていたけど、読み返すとちゃんとseason 0で薪さんは長年のトラウマから解放されていったので、ここでちゃんと終わったのかな。
すごく冷酷に見えるのに、部下の殉職に心底心を痛めていたり、青木の姉夫婦の事件に責任を感じている分とても舞を大切にしていたり、正義感の強い人でしたね。
両親から愛情を注がれなかったが故に異常な犯罪者となった少年の光のことも、ずっと「青木と舞を傷付ける可能性が高い」と危険視していたけど、最後に
「僕が父のようになりたい、と真似したように、お前も好きな人の真似をしてみろ。
そうしたら周囲が変わっていく」
と諭すシーンは、改めて読み返したら、とても良い流れだったなぁ、と思いました。
物語の中では「絶対に変わらない悪意」もあれば、「加害者にも同情の余地がある」というケースもあれば、「国家間の腐敗」もあって、勧善懲悪だけで語れないのがこの物語の良いところ。
これを一気読みした後に現実のニュースを観ると
「くっだらない小さな事でマスコミも世間も騒ぎ続けすぎる」
と思ってしまいます。
だって報道されていることが全てじゃ無いんだろうから…
しかし薪さんの美貌は実の父親そっくりだった、というのはseason 0で分かりますが、中年になった父はガッシリした体格だったし、そのまた父、祖父は男らしいイケメンさん(話さないと日本人だと分からない外国人風の顔)という設定だったので、あの163cmの小柄は母親譲りなんでしょうか?
そして弁護士を巻き込んで薪さんの後見人に澤村さんがなった、という時に、実母の琴海さんの実家は何も言わなかったのかな?
いくら薪家が実の孫と認めていなかったとは言え、母親は血が繋がってるのに。
まぁその辺りも、薪さんが母親ではなく父親に固執したファザコンになった経緯上は不要なエピソードだったのかもしれませんが。
薪さん自身は結婚する気は一切無く、でも部下達には家族を持って欲しいと思っていますが、連載終了時点ではまだ40歳前くらいみたいだし、その後どうなるかは分かりませんね。
家族を持てば弱味になる、ということで「結婚しない」と思われているけど、それ以前の大学時代から「子供を持つ気は無い」と言っていたのはどうしてでしょう。
この時点ではまだ実父が澤村とは知らなかったはずなんだけど。
鈴木から「恋人や夫婦は別れるかもしれないけど、友達ならずっと一緒にいられる」と言われているし、青木とはその後もずっと擬似家族でいるのかな?
雪子さんは、青木が男性を恋愛対象として見ていないと分かった時に、薪と青木が恋愛関係になれないってことかと呆れたように微笑んでいたので、お互いが同性愛を受け入れていたら付き合うんだろうになと思っていそうでしたが。
まぁそこはプラトニックなままの方がストーリー上崇高な関係性になる、ということかな。
同性じゃなく異性間でも「花に染む」で花乃が陽大に「恋愛感情ではなく崇高で対等な主従関係」みたいなものを望んでいたし。
先日よしながふみが対談で「その先で恋愛関係となるのが好き」と言っていたのも納得なので、薪さんと青木が…とか考えたくもなるけど。
しかしまぁ、薪さんも青木もよく泣く!
タジクは薪さんを気に入っていて、青木を見下していましたが、タジクもイケメンで良かったですね。
惜しむらくは、清水玲子はブサイクの描き分けは幅広いけど、美形は皆んな結構似ているので、たまに誰が誰か分からなくなるんだけど。
青木はそこまで鈴木に似ているかな?というのがずっと謎だったんですが、雪子さんの前で前髪を下ろしていた時はちょっと確かに似ているのかなと思いました。
でも体格はともかく、性格も顔も基本的にはそんなに似ていない気がするんだけどなぁ。
鈴木はもっとハッキリと物事を言うし、薪と完全に対等だし、貝沼が薪をキッカケに事件を起こし続けたと知って錯乱状態になる精神的限界があった。(自分の命が狙われた時には、自分より薪のことで怒るくらいだったのに)
まぁ青木はそれを踏まえて薪に守られていたからこそ、その後何があっても堪えられたのかもしれませんが。
本当に一気に読むと色んな事件があって、特に親子や家族間の話が多かったなと感じました。
自分の娘なら何が何でも助けようとするのに、他人の子供なら見捨てようとする政治家とか…キツかったですね。
しかも、実際には娘と血の繋がりは無く、見捨てようとした子の方が実の娘だった、というオチまでつけていたし。
これは薪さんの出自との対比でもあったのでしょう。
「血が繋がっていてもいなくても、自分の家族であり親や子供や兄弟姉妹と思っている相手には、精一杯の愛情を注ぐのが理想的な人」
これが全体のテーマとしてずっとあったなと思いました。
タジクの動機も妹でしたし。
その理想のために罪を犯すことは、やはり許されない。
ものすごく自分勝手な犯人もいれば、誰かを守るために、愉快犯のようなことをする犯人もいる。
生まれつきの犯罪者もいれば、トラウマを抱えて変わっていってしまう人もいる。
プロファイリングみたいですが、でもこういう事件に関してはやはり本当にこんな風に脳の中を見ない限り、分からないことも多いのかもしれませんね。
警察やマスコミが見聞きして調べたことだけでは、限界があるのかな。
この漫画の中では、マスコミは本当に無駄なクズ的な扱いですし、それに左右される人々も「何も真実が分からずに騒いでいる存在」でしかありません。
誰かが「秘密」を持っていて、それを外野が知ったら騒ぐ、知らなくても騒ぐ。
あくまでもこれは近未来フィクションのお話だけど、でも現実的な部分もあるので、よく出来たストーリーだったなと改めて思いました。
実際には薪さんみたいな人も、その周囲の人みたいな関係性も、そうそう無いと言うか…ほぼいないけどね!
比較すると、今のTwitterデモとかカルトとか…秘密の設定の元になった実際にあった事件と比較してみても、マスコミの論点がなんか違うよな~と思ってしまいます。
叩くことより、冷静に深層心理を追求していくことの方が興味があるけどなぁ。
ということで、実写化やアニメ化された時点で読んだ方もいると思いますが、どちらもかなり改変や改悪をしているようなので、実際に原作の方を全部読んでみることをオススメします!
これちゃんとseason 0の最後まで読んで決着が着いているお話だと思いますので!
そして弁護士を巻き込んで薪さんの後見人に澤村さんがなった、という時に、実母の琴海さんの実家は何も言わなかったのかな?
いくら薪家が実の孫と認めていなかったとは言え、母親は血が繋がってるのに。
まぁその辺りも、薪さんが母親ではなく父親に固執したファザコンになった経緯上は不要なエピソードだったのかもしれませんが。
薪さん自身は結婚する気は一切無く、でも部下達には家族を持って欲しいと思っていますが、連載終了時点ではまだ40歳前くらいみたいだし、その後どうなるかは分かりませんね。
家族を持てば弱味になる、ということで「結婚しない」と思われているけど、それ以前の大学時代から「子供を持つ気は無い」と言っていたのはどうしてでしょう。
この時点ではまだ実父が澤村とは知らなかったはずなんだけど。
鈴木から「恋人や夫婦は別れるかもしれないけど、友達ならずっと一緒にいられる」と言われているし、青木とはその後もずっと擬似家族でいるのかな?
雪子さんは、青木が男性を恋愛対象として見ていないと分かった時に、薪と青木が恋愛関係になれないってことかと呆れたように微笑んでいたので、お互いが同性愛を受け入れていたら付き合うんだろうになと思っていそうでしたが。
まぁそこはプラトニックなままの方がストーリー上崇高な関係性になる、ということかな。
同性じゃなく異性間でも「花に染む」で花乃が陽大に「恋愛感情ではなく崇高で対等な主従関係」みたいなものを望んでいたし。
先日よしながふみが対談で「その先で恋愛関係となるのが好き」と言っていたのも納得なので、薪さんと青木が…とか考えたくもなるけど。
しかしまぁ、薪さんも青木もよく泣く!
タジクは薪さんを気に入っていて、青木を見下していましたが、タジクもイケメンで良かったですね。
惜しむらくは、清水玲子はブサイクの描き分けは幅広いけど、美形は皆んな結構似ているので、たまに誰が誰か分からなくなるんだけど。
青木はそこまで鈴木に似ているかな?というのがずっと謎だったんですが、雪子さんの前で前髪を下ろしていた時はちょっと確かに似ているのかなと思いました。
でも体格はともかく、性格も顔も基本的にはそんなに似ていない気がするんだけどなぁ。
鈴木はもっとハッキリと物事を言うし、薪と完全に対等だし、貝沼が薪をキッカケに事件を起こし続けたと知って錯乱状態になる精神的限界があった。(自分の命が狙われた時には、自分より薪のことで怒るくらいだったのに)
まぁ青木はそれを踏まえて薪に守られていたからこそ、その後何があっても堪えられたのかもしれませんが。
本当に一気に読むと色んな事件があって、特に親子や家族間の話が多かったなと感じました。
自分の娘なら何が何でも助けようとするのに、他人の子供なら見捨てようとする政治家とか…キツかったですね。
しかも、実際には娘と血の繋がりは無く、見捨てようとした子の方が実の娘だった、というオチまでつけていたし。
これは薪さんの出自との対比でもあったのでしょう。
「血が繋がっていてもいなくても、自分の家族であり親や子供や兄弟姉妹と思っている相手には、精一杯の愛情を注ぐのが理想的な人」
これが全体のテーマとしてずっとあったなと思いました。
タジクの動機も妹でしたし。
その理想のために罪を犯すことは、やはり許されない。
ものすごく自分勝手な犯人もいれば、誰かを守るために、愉快犯のようなことをする犯人もいる。
生まれつきの犯罪者もいれば、トラウマを抱えて変わっていってしまう人もいる。
プロファイリングみたいですが、でもこういう事件に関してはやはり本当にこんな風に脳の中を見ない限り、分からないことも多いのかもしれませんね。
警察やマスコミが見聞きして調べたことだけでは、限界があるのかな。
この漫画の中では、マスコミは本当に無駄なクズ的な扱いですし、それに左右される人々も「何も真実が分からずに騒いでいる存在」でしかありません。
誰かが「秘密」を持っていて、それを外野が知ったら騒ぐ、知らなくても騒ぐ。
あくまでもこれは近未来フィクションのお話だけど、でも現実的な部分もあるので、よく出来たストーリーだったなと改めて思いました。
実際には薪さんみたいな人も、その周囲の人みたいな関係性も、そうそう無いと言うか…ほぼいないけどね!
比較すると、今のTwitterデモとかカルトとか…秘密の設定の元になった実際にあった事件と比較してみても、マスコミの論点がなんか違うよな~と思ってしまいます。
叩くことより、冷静に深層心理を追求していくことの方が興味があるけどなぁ。
ということで、実写化やアニメ化された時点で読んだ方もいると思いますが、どちらもかなり改変や改悪をしているようなので、実際に原作の方を全部読んでみることをオススメします!
これちゃんとseason 0の最後まで読んで決着が着いているお話だと思いますので!
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