詩歌川百景1&2巻ネタバレ感想〜海街diary続編&同性愛あり山奥温泉町の幼馴染恋物語

2022年08月09日
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吉田秋生の「海街diary」は読んでいたのですが、続編の「詩歌川百景」が発売されていること、全然知りませんでした!


詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス) コミック – 2020/10/9

最近くらもちふさこ、清水玲子、岩館真理子、萩尾望都、と大御所少女漫画家のマンガを読んでいて

「あ〜やっぱり最近流行ってて、すぐアニメ化するマンガとは格が違うな…」

と思ってしまっています。

絵の上手さもなんですが、今は分かりやすいセリフがしっかり入っていて、展開もある程度テンプレ化されている方がウケる印象があるんですよね。

それはそれで、ながら見のアニメ視聴とか、サクッと読む分には十分面白いんだけど、何十年後も繰り返し読みたいとまで思えない。

一方、私が10代の頃に読んで衝撃を受けていた漫画家さん達の作品って、キャラが何を考えているのか分からなかったり、今だと「説明不足」と思われるだろう余韻がたくさんあります。

あと、知らなかった知識も色々詰まっていて勉強にもなる!

ラストがハピエンじゃないと無理〜みたいなタイプの人が最近はいるけど、いやいや過程を楽しめないってどういうこと??

自分の好みのツボ通りの作品しか接しない、それらを追うだけで手一杯、というのが若い人の言い分なんですが、色々読むから面白いんじゃないかなぁ。

と思いながら、電子書籍で何かまた過去の作品を買おうかな〜と検索し、吉田秋生の名前を入力したら「海街diary」の続編にあたる「詩歌川百景」が現在2巻まで発売されていることに気付いてポチりました。

最近全然本屋に行かないし、行っても平積みされているのをチラッと見るだけだったりして、新連載に気付かないことが多すぎます…

この「詩歌川百景」、海街diaryの続編ではありますが、舞台は鎌倉ではなく、すずが鎌倉に行く前に住んでいた山形の山里にある小さな温泉町。

海街diaryのラストで成長したすずがここを訪ねるシーンがありましたが、そこからまだ続きがあったんですね!

まぁ海街diary自体も、その前に「ラヴァーズ・キス」と繋がっていたりして、吉田秋生の作品はそういう派生作品があるのがまた楽しいところです。

以前はこう、ロン毛で冷たい目をしたイケメンが出てくるイメージが強かったけど、今はこういう穏やかで丁寧な作品も描いているなんて、幅広い作家さんだなぁと改めて感慨深かったです。

以前すずとは連れ子再婚で義理の弟になっていた飯田和樹が、温泉旅館で湯守り見習いとして働いているのがストーリーのメイン。

旅館の大女将の孫娘で、親が離婚する前は東京に住んでいた村一番の美少女の妙、町役場に勤めている林田類、実家の工務店で働く森野剛の4人は幼馴染。

なので大自然の中の温泉町で、いかに温泉の管理をしているか、自然を守っているか、伝統行事を行い、更にSNSも駆使して客を呼び込もうとしているか、という、普段の生活では知り得ない暮らしを覗き見ることが出来た気持ちになりました。

単純に「東京より田舎って自然豊かで良いよね〜」でも無く、「田舎って人間関係面倒そう〜」ってだけでも無い。

もちろんそういう部分の良さや陰湿さも描かれていて、そしてそれに対処するヒントも描かれているのが良かったです。



まず、海街diaryの時点でも描かれていましたが、和樹は母親と絶縁しています。

2歳下の弟は母親についていったあとにグレて疎遠、腹違いの弟と二人暮らし。

幼馴染というか、帰省してきた際に遊んでいた少女の妙は、両親の離婚後に母親の実家の旅館で手伝いをしている女子高生。(2巻では進学をせずに卒業後も旅館で働いています)

妙の母親は旅館のことがよく分かっていないし、伯母の女将もよく分かっていない…けど、祖母の大女将から色々と教わってこの土地と温泉と旅館を大事にしようとしている妙は、2歳年上の和樹に対していつも偉そうな上から目線。

という時点で、あ〜和樹と妙の恋愛モノになるのかな?と予想してしまうのですが、現時点ではそこまでの描写はありません。

和樹の幼馴染の類は妙のことが好きで、類も誰か好きな人がいて、それを妙は知っている様子。

県内一の進学校に通っていた類と妙なら大学に行けたはずなのに、何故か二人共この山奥に住み続けている。

その事情とは?というのと、口さがないジジババ達とのやり取り、お客さんをもてなす心など、が丁寧に描かれながら、季節を追ってお話は進んでいってました。

とりあえず、現時点で分かったことは色々とありますが、2巻最後に「類は妙じゃなく、男同士の剛が好きかも!?」と和樹が気付いた、というところが吉田秋生らしい展開ですね!

恋物語的な部分に目が行きますが、ただこれは主人公たち若者だけの話ではありません。

和樹に湯守りを教えているおじいさんも、若い頃は大女将に片思いをしたままずっと側で働いていたり…

次々と男を作る母親、セクハラ発言しまくりのおじさんやおばさん達、パワハラをする妙の母と伯母のエピソードも、なかなかにエグい!

でもそれに対してGPSを利用してスマホで緊急連絡し合ってフォローし合う若者世代とか、「あー今ってこういう解決方法を選べるんだ!」と気付かせてくれる展開が良いです。

田舎の町おこしがテーマの作品って色々あるけど、ここまで丁寧に描かれているのも珍しいかも。
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まぁやっぱり、全てを見据えたような美少女の妙が魅力的ですね。

それでも彼女は彼女なりに辛いものを抱えている。

そしてぼんやりして温厚そうな主人公の和樹は、実父から暴力を受け続けたことのトラウマか怒ることが出来ない。

東京で失敗して戻ってきたおっさんとか、めっちゃくちゃ性格悪くて気分が悪いのですが、そういう相手に対して大女将や妙たちはキツイことを言った後になだめすかして機嫌を取り、事態が最悪なものにならないよう気配りしていくところが見事でした。

今ってそういう嫌な完全悪なキャラだと、排除して終了しちゃいませんか?

嫌ならスパッと切れば良いじゃん、が出来ない狭い社会だからこそ、放置して諦めたり、無視していじめ抜くのではなく、手のひらで転がしていく。

妙の従姉のお姉さんが来るエピソードもあるのですが、彼女は彼女で母親から「ブス」という呪いをかけられていて、その呪いを解くのに時間がかかった話をしたり、現在の東京で働く会社でのトラブル、それでもどう戦っていくかを語っていきました。

あーそうかー。

勧善懲悪ってのも古いよね、という流れから、悪いやつにも事情があるよね、という流れがブームだったりするけど、リアルに考えると「その嫌なヤツにどう対処するか?」を理想論以外で語る作品ってそうそう無いかも。

SNSだと「逃げるのは恥ずかしくない」みたいなところで終わってることが多いし。


そういう意味で、このマンガはすごいなぁ、良いなぁって思いました。

全然昔の吉田秋生作品に出てきていたような長髪美形クールなキャラは出てこないんですけどね。

読んでいてすごく温泉に行きたくなりました。

ちゃんとした旅館に泊まるようなこと、私まだほとんどしたことが無くて…

唯一、乳頭温泉には行ったんですけどねぇ。

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女一人旅で泊まれる温泉宿ってあまり無いというか、コスパが悪いのでなかなか行けないのですが、でもこのマンガのような川や山を楽しめる温泉に行きたいなぁ。

さて、そんな世界観だからこそ、幼馴染の男同士の片思い、というのにどう決着をつけるかも気になります。

ここまでの展開としては、告白もせずに黙ってずっと側で見守る感じにするのかなぁ。

剛は妙に片思いしていたけど、告白してフラれたし。

その全てを傍観者として見ている和樹は、現時点では誰にも恋愛感情は無し。

妙といい感じだろうって皆んな思っているけど…

あまり長編になるタイプの作品では無いと思いますが、3巻が楽しみです。

これは実写化すると地味になってしまうだろうから、そういう他媒体展開はしなそうかな?

でもマンガとして読むのには本当に良い作品だったので、海街diaryが好きだった方で、まだ未読の方がいたら是非是非!オススメします!
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