「THE くらもちふさこ デビュー50周年記念画集」感想~花に染む好きは花乃派こそ買うべき!

2022年06月07日
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まだ「花に染む」のことを書くか⁉︎と我ながら驚きますが、これだけ読む度に印象が変わるマンガ、そして何度も読みたいと思わせるマンガって、すごいと思います。

最近はワッとブームになって、暫くしたら他の作品が流行って…というのが多いですしね。

で、原画展でパラパラ見て買うか迷い、「持ち帰るの重いし、後でやっぱり欲しいと思ったらネットで買おう」と思っていた「THE くらもちふさこ デビュー50周年記念画集」を、やっぱり欲しくなってAmazonで買いました。


THE くらもちふさこ デビュー50周年記念画集 (愛蔵版コミックス)

「花に染む」に対して、くらもちふさこがどう考えているのか知りたくて「くらもち花伝 メガネさんのひとりごと」と「くらもち本~くらもちふさこ公式アンソロジーコミック~」を買っていたけど、それでより一層この作品にハマりこみ、どうしてもカラーで見たい絵を手元に残したくなったんです。

電子書籍や単行本はカラーページがモノクロだし、収録されていない絵もあるんですよね。

私がとにかく欲しかったのは、「これ、扉の陽大と対になってる花乃だよね?」という、雑誌掲載時には同号で表紙となっていた花乃の絵。


コーラス 2010年 10月号



雑誌の表紙になった絵は単行本に収録されないから、この2枚の絵がセットであると知らなかったんです。

ちゃんと画集では陽大と花乃の絵が並べて載っていました!(本当は複写禁止なので陽大の絵も公式のどこかから見つけて貼りたかったんですが、見つかりませんでした…)

2人のポーズや色使い、どう見てもセットでしょう。

背景は後からデジタルで足されていますが、花乃の背景は水草と金魚と波紋のような輪があり、陽大の方にも水草のような葉と、花乃の服の色と同じ紫があるし。

珍しく花乃が女の子っぽい服装で色っぽい!

ページ構成では「花乃と陽大と陽向」「陽大と花乃」、「楼良」、「花乃と陽大と楼良と雛」「陽大」となっているし、やっぱり2人はセットよね⁉︎

いやぁ画集の表紙が陽大と楼良だったので、花乃派で買う気を無くしていた人のツイートを見かけたしたが、カバー裏は陽大と花乃が一緒に弓を引く絵なので大満足!





そうそう、楼良は陽大の背中を見つめているけど、陽大は花乃の背中を見て、そして共に的という同じ方向を見ているんだものね。

そして、陽大と花乃の関係性は表に出さずに裏に秘める、が大事なのよね!

という思い込みを駆り立てられて、キュンとします。

私が原画展に行った時には展示されていなかった習作の絵もあり、お祭準備中の花乃を、背後から笑顔で見守る陽大に、キャー!となりました。

子供時代の2人のも、まだ無邪気満載の陽大が可愛いですね。

2人を優しい笑顔で見守る陽向も良かったです。

そう言えば表紙の方はハッキリと「花乃陽大カプ」って書かれていて、ですよね!という気持ち。



また各作品のキャラが並んだ「くらもちふさこ WORKS Illustration & Technique」の表紙絵にもなっていた絵のマスキングテープ、花乃がいないから買わなかったんですが、アレはアレで「陽大と入谷」というセットと思うとアリ!


くらもちふさこ WORKS Illustration & Technique (愛蔵版コミックス)

これ関係性というよりフォルムでキャラを選んだそうです。



BL嫌いな人は陽大と入谷がカップリング的になってるの嫌みたいで、でもでも「駅から5分」でも赤松さんが「会長ラブ」と言うシーンあるし、作者自身も「友情を超えた神聖なもの」をこの2人で描きたかったと言っているのだから、そんなに拒絶しなくても良いのになぁと思ってしまいます。

私は全然平気というよりBLはむしろ好きだから、たまにネットでBLにものすごい拒絶反応を示す集団を見かけてビックリしますね。

私の周囲のマンガ好きはBLも好きな人ばかりだから、そもそもBL嫌いな人に会ったことなくて…

本体の表紙面は「東京のカサノバ」の、ちいちゃんがターコに告白するシーンのセリフのみってのも気に入ってます。



この2人は結婚するだろー、と思いきや、こちらも「ご想像にお任せします」。



と書くと、私あまり楼良が好きじゃないみたいだけど、キャラとしては今は好きだし、華やかだからカラー映えするし、そして「好きな人の背中を見つめる」というのが少女マンガの鉄板のため、カバー表紙が楼良と陽大なのも納得。

花乃は心の中では陽大のことを見つめていたけど、実際に花乃のことを背中から見守っていたのは陽大だし、それを表紙にしたら他作品とのバランス考えると違ってしまうものね。

なんていうかこう、「花に染む」が今私にグイグイ刺さっているのは、「やおい」的な感覚もあるからかなぁ。

BLも私は今市子とか雁須磨子とか読んではいるけど、ピンクの表紙のいかにもBLは読まない派で、醸し出す雰囲気が好きなんですよね。

「花に染む」は、陽大も花乃もお互いの好意を「恋愛」という枠以外でストレートに伝え合っているところが、萌えます。



陽大と入谷の関係だと、いつもクールな入谷が陽大の前で涙を流したのが良かったなぁ。

入谷は「駅から5分」で赤松さんの家まで机を持っていってあげたり、お父さんのことをずっと心の中で大事に思っていたり、背が高い眼鏡イケメンキャラなのがまた良いわぁ。

「駅から5分」の時は、陽大はかなり怖いイメージだったんですよね。



「花に染む」では、楼良に対する態度がキツ過ぎて「陽大はモラハラ王子」と言われたりもしていますが、どーなんでしょ。


まぁ散々片想いしては弄ばれたり、追い過ぎてキツい目に遭ってきた身としては、やはり

「自分のことを好きなだけど、こっちは好きじゃない」

という時、あからさまにレディーファーストしない、酷く傷付けることもニヤニヤ笑いながら言う、けど本命にはめちゃくちゃ優しくする、という男性はリアルだなと思いますね。

冷たくされても怒鳴られても着いて行き、頑張ったのは全部花乃を喜ばせるために利用されただけだった、と分かってもなお陽大にお礼兼ねたハグとキスされて喜び、彼の頼み事をシッカリ遂行した楼良はカッコイイ!

私も一目惚れしたこと何度かあったけど、でも遊びで終わらされる展開にしか持っていけなかったのよね…

陽大と花乃は、幼馴染とはいえ陽大小5春から中1秋の2年半の付き合い+あの事件の共有者。

そこから再会まで1年半少しあり、また次会うのは3年後。(その間やり取りしていたかの描写はありませんが、花乃が弓道を止めたことを陽大は知らなかったということは連絡していなかったのでは?)

そこからまた半年以上空けてから、花乃の合格報告兼ねた再会。

逐一連絡したり相談もせず、お互い離れた土地で別の学生生活を送っていたし、中高生なんて1番自己確立していく時期に離れていても「親友」「大切な人」「大事な人」と思い合えていたなんて素敵ー。

まぁ男性はそういう過去の付き合いを、女同士より大切にする印象はありますね。

なので、陽大が花乃に「僕の側にいてよ」とか足を絡ませて眠るのとか、リアタイ時にはサラリと読み飛ばしていた自分に驚きますし、そりゃ花乃も気付かないよ!と今は思いますね。

陽大が楼良にキスを2回したので、そこで2人は両思いになったと解釈する方もいますが、でも陽大の手は車のハンドルを握ったまま。

私は未読なのですが、匿名掲示板では「あのキスの時は、陽大の気持ちが追いついていないから引きの絵になっている」という説明が、いくえみ綾との対談インタビューで掲載されたとか?

基本、マンガでも映画でも解説読まなきゃ分からない部分がある、というのは好きではないのですが、「花に染む」はさすがに行間多すぎて妄想掻き立てられるため、インタビュー記事を探してしまいます。
ちなみに、聖千秋との対談も掲載されていました。

聖千秋も「この終わり方になったのは分かる。陽大は傷が深過ぎるし。でも、ここで終わり⁉︎陽大に幸せになって欲しかった。あの後自分の中で話を作って、シッカリ結ばせた!」と話していて、とても共感!

まぁ聖千秋が花乃派、楼良派、雛派か分かりませんが、そういうスピンオフも読みたいなぁ。

ただ、何度も何度も本当に読み返していき、段々と

「やっぱり陽大と花乃は恋愛関係にはならない、という流れもアリなんだろうなぁ」とも思ったりします。

最近少女マンガ熱が高まり、くらもちふさこの他作品とか、成田美名子の「アレキサンドライト」とか、いくえみ綾の「太陽が見ている(かもしれないから)」を読んでいたのですが、友情から恋愛に切り替わるのって大変そう。

どんなに相手をよく知っているつもりでも、恋愛で見せる面は別物だし。

陽大も花乃もお互いの気持ちを黙って察したり、「……」「?」でやり取りしてるからなぁ。

過去作の原画やコメントも豊富に掲載されていて、元々絵を描く身としてはそこも楽しめる本でした。

「呪術廻戦」もアニメの原画集を買ってますが、私はこういう手描きの線画がとても好きなので、カラーもだけど習作のスケッチも楽しめました。

くらもちふさこの絵柄がどんどん変わることには賛否両論ありますが、絵を描く身としては色々試してみたい気持ちも分かるし、荒れていると感じる人がいるようなタッチも実際はすごくすごく計算して引かれているなぁと思います。

下手上手が昔流行ったけど、ああいうのは手癖だけで描き続けるのは限界があって、でもその手癖を自分のものにするまでも結構大変なんですよね。

武蔵美の日本画を専攻されていただけあって、描き込みを写実的にしようと思えばいくらでも出来るけれど、そこを足し引き考えて計算してあれこれ50年描かれているんだなぁ、というのがよく分かる画集でした。

私も長らく真剣にカラーの絵を描いてはいないけど、学生時代に課題で絵を描いていた頃のことを思い出しました。

一番魅力的に見せたい部分をとにかく全集中で描いて、そこ以外は雰囲気が伝わる程度にフワリとさせた方が良い。

「見せ場をどこにするか」を軸に人の目の動きやインパクトを考え、離れて見たり、描き込んだり、ボカしたり、をするあの感覚、また味わいたくなりました。

くらもちふさこのマンガは、構成自体もそういう感覚で描かれている部分がありますね。

あと、美大生あるあるだけど、記憶は頭の中に映像として残っていて、それを脳内で見て思い出す、という感覚もよく分かります。


ちなみに、くらもちふさこのマンガや画集は現在はもう絶版扱いのものが多く、中古で安く手に入るものもあれば、プレミア価格になっているものもあります。

そしてこの画集を作る工程のインタビュー記事を読みましたが、特色を使ってかなり苦心して原画の色の再現をしているのだとか。

ちょっと専門的な話になりますが、普通の印刷はCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色。

ここに特色を足す場合、チップで色指定した色を印刷現場の人がインクを練り合わせて作ります。

そこに拘って作られた本というのも私が買うことを決めた理由の一つです。

マンガを買うことに比べると画集はかなり高く感じますが、色校正の回数によって印刷代金もかなり変わってくるし、何部刷っているか分からないけれど、この本が在庫分売り切れたら再販される可能性はかなり低いかも?というのを見越したお値段かなと思います。

そんなに簡単に同じ色味で時間が経ってから再増刷することって出来ないし…

同じ用紙、同じインクがいつまであるかも分からない、という事情もあります。

例えば東日本大震災の時、東北にある製紙工場が被害を受け、更に千葉県の倉庫に保管されていた用紙が地盤沈下にやられてダメになり、似た用紙を探さなければならなくなった、なんてこともありました。

また現在は原油価格の高騰も続いていて、拘った印刷物というのは本当に嗜好品となっていると思います。

「大抵のものはネットで見られるじゃん」

と私も少し前まで思っていたのですが、「花に染む」の過去の絵を見ようとしても検索に引っかからないものもあり、あ〜やっぱりネットでは限界があるな、というのも改めて思いました。

特にもうこのマンガはもう、文庫版がこれから出るかどうかも分からない状況ですしね…

普通ならもう文庫版が出ていておかしくない時期を過ぎていると思います。

「駅から5分」の文庫版はもうプレミア価格になってるし。

電子書籍で買える、となると文庫版を出すメリット無いからなぁ。

でもでも、描き下ろしの数ページとかでも足されるなら、文庫版が出て欲しい!

そういう声がネットにあれば出版社が動かないかな〜と期待しております。

しかし…くらもちふさこは50周年と思うと、作品数がとても少ないですね?

体調を崩されていた時期もあり、なかなか今から長期連載をすることは難しいだろうとは思いますが、まだ未収録の短編もあるようなのでそちらを読める日が来るのを楽しみにしています!

そしていつか…もうちょっと「花に染む」のスピンオフ読ませて欲しいなぁ…無理かもしれませんけどね…

ということで、画集、買って良かったです!オススメ!
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