「花に染む」のマンガペディアのページが間違っている!?「その後」の妄想考察

2022年05月18日
マンガ 0
昨日くらもちふさこの「花に染む」について長々と書き、投稿後に誤字脱字のチェックをしたり、再度単行本を読み返すにつれて「あ、コレも書き足したい」「ここ気付いていなかった」という部分が出てきたので、今日もまだまだ編集していました。

圓城陽大(くらもちふさこ「駅から5分」「花に染む」)再考察ネタバレ感想

私の中に定期的に「くらもちふさこ熱」がやってきます。彼女の漫画はほぼほぼ全て読んでいて(但し「ポケットにショパン」頃より古いのは読んでません)、単行本や文庫版で集めていましたが、引っ越しのタイミング等で捨ててしまい、その後改めて電子書籍で買い直していました。でも「駅から5分」と「花に染む」は読み終えてからあまり時間が経っていない感覚だったので、まだ電子書籍を買っていなかったんです。駅から5分 1【電子...



いやー全表紙を見返すと、2巻の時点で最終話のシーンが表紙になっているってすごいですね。


花に染む 2

自分で一旦頭を整理してから他の人の考察をじっくり読みたくて、その後でAmazonとか書評系のレビューを読んだり、個人ブログを読んだりしましたが、いや~考察が割れていますね。

面白かったのは「皆んな理解するの難しいって言ってるけど、花乃のミスリードに引っかかっているだけで、陽大目線で考えれば最初から一貫していて分かりやすいのに」というコメントでした。

これは私も単行本を発売のタイミングで読んでいた時には無かった視点です。

しかし、その見方が絶対に正しい、ということは言えません。

作者のくらもちふさこ自身が「恋愛マンガとして決着をつけず、読者に委ねる」という判断をしている以上、仕方ない。

私は当時考察サイト系を読んでいませんでしたが、火事の犯人当て考察なんかもあったようですね。

その点に関しては全く考えずに読んでいたので、そういう見方をする人もいるんだ~と思いました。

雛が放火犯なのかと思った、という人がいたことにビックリ!

多分これは私の中で、過去にそういう放火事件のニュースや創作物を読んでいて「放火事件の犯人は、一般的には恨みを持った人か、無関係な存在」という先入観があったからでしょう。

即犯人が捕まっていない時点で「恨みを持った人」という線が消えます。

そもそも神社がそこまで恨みを買うとしたら「ご利益が無かった」とかの逆恨みの気がするんですね。

あとは放火することでストレス発散をするタイプの創作物がよくあるので、そういうものかなぁとだけ思っていました。

最終的に「犯人は未成年だった」と分かるのと、「駅から5分」の番外編的に陽大を切りつけた少年への説教を照らし合わせ、更にインタビューでの作者の発言を読む限りは「想像力の無い未成年が面白半分でやったこと」だったのだと思います。

そういう「想像力を持ちましょう」というメッセージも含めて、手塚治虫文化賞に選ばれたのでは?

また、一通り色々自分なりに考えた結果としては、「陽大は子供の頃、雛のことが好きだった」という線は無いのではないか、と思っています。

陽大は子供の頃、雛の母親のことが好きで、そしてその母親に大切にされている雛のことを大事に思っていた。

そういう雛を兄が好きなことに納得していたので、自分に好意を寄せる雛にどう接して良いのか誰にも相談出来ずに悩んでいた。

合宿の時に陽大が花乃に抱きつくシーンでは、手が震えていることの理由として「花乃のことが好きだったから」と言う人と「雛のことが好きなのに一緒になれない辛さ」と言う人がいましたが、私はアレは

「兄が雛から託された矢を欲しがっているのに、その雛が好きなのは自分だ、ということが辛かった。そのいたたまれなさで花乃に抱きついた」と解釈しています。

当時の陽大は無邪気な、誰にでも触れる距離感の近い子でした。

母親から「天然ボケ」と言われるくらいだった父と兄と陽大。

当時まだそんなに恋愛感情というものは分かっていなくて、ただただ無邪気に兄と両親と雛という血縁と、親友の花乃と、自分のすべてを込められる弓道が好きだったんじゃないかと思います。


が、Wikipediaは一般人が好きなように書き換えられるから…という理由で発足したという「マンガペディア」のページを読んでみたら、全く私と解釈が違っていました。

陽大のプロフィールに「従姉にあたる圓城 雛とは幼い頃に好き合っていたが、雛は兄の日向の婚約者だったため、距離をおいていた。火事で兄を失ってからは雛の気持ちを完全に拒否し、実弟として過ごす。」と書かれているんです…!

いやいやいや、そんなハッキリとプロフィールに書ける描写は無かったよ!?

確かにそういう見方も出来ます。

予選の時に雛から多分オススメのスポットでの待ち合わせに誘われていて、そこに兄を行かせていた。

陽大は腕時計、雛は携帯の時間をチェックしていたし、その時花乃に兄の居場所を問われた時には、陽大は隠し事をしているような笑顔で言葉少なになっています。

ただそれは「本当は自分が行きたかったけど、兄を行かせた」かどうかは分かりません。

またマンガペディアは2巻のあらすじに「陽大は陽向が結婚したいと願っていた雛に複雑な思いを抱いていたのだ。」と書いていますが、それよりは憎しみの方が強く表現されていました。

この時の陽大が考えていたことは多分「何でも雛の思い通りに運命が進んでしまう」ということ。

パワースポットに行って「彼女の側にいながら強い意志を持つために力を溜めないと」と思うのは、私はそういう「運命(雛の思惑)に流されない強さ」を彼が欲していたからと思っています。

そして6巻のあらすじに「周りに心を開かない楼良の本質に気づいていた陽大は、それでは弓道はできないと親切に忠告するのだった。」と書いていましたが…

え…めちゃくちゃ冷たい目で言ってたよ…?

親切に忠告したというよりも、団体戦に出場させるための準備として伝えたこと、だよね?あれは。

更にかなり詳細にネタバレを書いているにも関わらず、7巻の楼良が陽大思惑(全て花乃のために仕組んでいること)に気付いた部分は省いて「2人は思いを交わし仲は戻るのだった。」と説明していたり、8巻の最後の陽大と花乃のことを書いていなかったり…を思うと…

多分これ書いた人は、「陽大と花乃が両思い、ということは絶対に無い」と思っている人じゃない!?

その理由は「花乃と陽大は親友という関係だけだから、親友とは恋愛に発展しないもの(男同士の親友なら、そんなのありえないし的な気持ち)」と思っているからか「花乃が恋愛感情を否定しているから」「花乃は顔が美人設定ではないから」かは分かりません。(でも花乃は後輩から告白されているので、モテない設定ではないはず。また「くらもち花伝」を読んだら、マクドナルドのCMで観た吊り目だけど可愛くて上品な女性な女性を花乃のモデルとしたそうです)

ただ作者が「ヒロインは花乃と楼良」と言っているということは、ここまでマンガペディアが花乃と陽大の恋愛路線を否定するのが厳しいし、描写されていないことを補完しすぎている、と思います。

そして「陽大が雛を昔好きだった」というのは、陽大が花乃に対して否定する言葉を言っています。(真偽はともかくとして)

3巻で花乃から雛との関係がおかしいことに触れられ

「仲良かったし、好きだったろ?」と聞かれたら

「好きって…誰が?僕が?雛を?何を根拠に

ああ、それとも、あの時花乃も見ていたのか?」


と言って、雛からキスされた時のことを頭突きで再現して雛に当てこすりをするシーンがありました。

このシーンは「陽向も見ていた」というのが分かるシーンなので、そこに注視していたのですが、何度も読み返してみた時に「それとも」に引っかかりました。

これは「陽大から雛へ好意を見せた根拠があるわけではなく、雛が陽大にキスをしているところを見たから花乃は両思いだったと勘違いしたんだろう」と陽大が思うシーン。

つまり、陽大は花乃の前で、雛を好きな素振りを見せた記憶は無い、ということ。

花乃からしたら、いつも自分より雛を優先しているように見えていたのに、陽大にそのつもりは無かった。

それは「僕はちゃんと雛への気持ちを隠していたはず」と思い込むには、不自然な気がします。

しかも「アレはキスじゃなくて、頭突きだった」と花乃に思い込ませようとした。

マンガペディア自体は株式会社平凡社と株式会社小学館も噛んでおり、「内容に誤りがないように編集者が項目を作成する際にはすべての漫画に目を通した上で執筆しております。」と説明されていますが、私にはこの独断と偏見のまま公開されているページに納得がいきません。

マンガペディキュア 花に染む

このページに不満がある時は問い合わせページにあるメールアドレスに指摘を送れるそうですが、さすがにそこまでしたくないのでブログに書きました。

※ブログ投稿した後にこの記事と前の記事はチマチマと思いつく度に加筆修正していますが、更に「くらもち花伝」を読んだら謎がいくつか解けました!


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「キャラ同士がベタベタしていなくても、物で関係性を表す」という表現方法を使っていて、1話の時点で「川辺で陽大と花乃の立て掛けてある弓が寄り添っている」というのが、実際に2人が触れ合っていなくてもお互いの関係性を示す表現だったそうです。
ここからは私の妄想の「その後」です。

私の中には陽大と楼良が結ばれる、という予想はありません。

単行本をリアルタイムで読んでいた時は、実は楼良が好きではありませんでした。

が、今は彼女の良さが分かっています。

彼女は同級生や弓道部の後輩と上手く関係を築けない、疎外感のあった雛の鎧を脱がした人でもありました。

コレは雛が楼良のお姫様の鎧を脱がせながら実感していましたね。

また、花乃の「恋愛感情は友情より軽い」という気持ちを変えて大人にした。

高校卒業時に田路に告白されて怒っていたけど、陽大のドア前で会った時にその時のことを謝られたら、

「謝ることじゃないと思うぞ」

と言っています。

これは楼良の真っ直ぐに陽大を想う様子を見て、そういう恋愛感情を見直す、大事なものだと考える機会があったからでは?

楼良の香水は雛の母親と同じ物で、それに陽大も懐かしみを感じるシーンがありました。

彼女が起き忘れたウィッグを握り締めて苦悩する姿は、まるで楼良を想っているようにも見えていましたが、でもコレは叔母と兄を思い出していたのでしょう。

また試合に向かう電車の中で、陽大が叔母を思い出して話し出した時、「雛の」と言ったところで気を遣って楼良は化粧直しを口実に席を立ちました。

それまでの楼良なら陽大のことは何でも知りたかったはずなのに、賢さを発揮して

「コレは花乃さんだけが聞く話だ」

と察した。(ここ当時の匿名掲示板を見たら、楼良の上にトツという文字と流線があったので、花乃か陽大がこづいた、と思った方々がいました。私はアレはドキリッとかキリキリッというような胸中の音だと思っています。)

楼良は自分と雛の母親の共通点を知らないはずですし、この時点では陽大の過去のことは知っていたのに、陽大が心の内を話したい相手は花乃だと思ったところは、もうあの時点で

「楼良と陽大のこれ以上の先は無い、と楼良は分かっている」

ということだったのかと思います。

1番の彼が楼良を恋愛対象外としていると思う根拠は、雨に濡れて発熱した楼良を病院に連れて行った後、自室に寝かせてから花乃の部屋に行って一緒に眠り、

「花乃を驚かせたい」

とニヤリと笑いながら言っていたからです。


熱を出して寝ている楼良を一人にして、花乃への計画を仄めかす。

コレは中学生の時に流鏑馬のことをもったいぶっていた時みたい。

翌朝もお粥を花乃が楼良に運んだ際には、陽大はドアの外で待っていました。

「熱は下がってるんだろ?」

と、病院に連れて行ったんだし大丈夫と決め付けている。

まぁ、花乃が胃炎で入院した時にも、ニヤニヤ笑いながら様子見に行ってましたけどね…

アレは「花乃なら大丈夫だし、運命は雛の望み通りに進むだろうから、花乃は試合に出られる」という自信があったのでしょう。

雛が花乃と楼良と試合に出たがっているのを聞いた後でしたし。

アパートなどでも陽大は階段の昇り降りの時、上がる時には楼良の前を歩きます。(マナー的には昇りは男が後)

花乃とは肩を並べて歩いていました。

ちなみに陽大は初めて楼良を自宅に連れて行く際、段差のある場所では手を繋ぎましたが、花乃の部屋のドアが閉まるのに気付いて手を離し、もう1階分上がる時にはもう手を繋いでいません。

他の時は手首を掴んで引っ張っていて、もう一度手を繋いだのは病み上がりの楼良がデートを所望しているのに応えるために手に触れていただけでした。

その手もコンデンスミルクを入れたいという楼良の言葉を聞き、花乃のところから借りてくると言って離しています。

楼良は陽大が手を離した後も、そのままの形で手を伸ばしたままにしていましたが…健気ですね…

ラストに花乃が田路の手首を掴んで流鏑馬に向かうシーンもですが、基本的には「手を繋ぐ」か「手首を掴む」かは少女漫画の基本として意図的に描き分けているだろうな、と思います。

楼良を部屋から追い出した直後、学校で入谷の作ったスカートを履いたロボットが倒れる時に、スカートの中を一緒に首を傾けて覗いていた、という行動も、楼良を思う気持ちは微塵も無く忘れているように見えました。

また、雛が倒れた時に即座に陽大が助け起こしに行くシーンで、花乃は「やっぱり雛さんのことが好きなんだ」と思うシーンがありましたが、私はコレは「叔母に愛されていた、兄が大事にしていた雛を助ける」という刷り込みのような行動だったのではないか、と思います。

関西にいる時に千場に「雛のことを悪く言わないで」と言うシーンがありましたが、それもまた雛のことを考えていたわけではなく、大好きだった叔母が大切にしていた雛を思い出したから、なのでは?

陽大が花染神社で雛の実弟という設定にしたのは、雛と結婚して一緒に花染神社を継ぐという未来を打ち消すためでは?という考察を見かけました。

私はそうではなく、「花染神社を継ぎたがっている雛の望み」を打ち消し、運命を変えようとしていたからではないかと思います。

雛の望みのせいで、兄は絶望したまま亡くなった。

そんな雛が中心の運命を変えたいのに、変えられない。

花乃との再会も、雛の思惑通りになってしまった。

花乃が悩んでいた早気を治すキッカケを作ったのも雛だった。

でも、それでも花乃を突き放すことは出来ないから、少しずつ雛の思惑を拒絶しながらも、花乃を中心に自分の意志を貫こうとしていた。

何度も読み返して気付いたんですが、陽大が楼良に自分の体配を教え込んだのは、楼良との対決の時に

1.雛から教わったおまじないをしている
2.息合いや射形が花乃と同じだった


に気付いた。

矢を外した時の動揺は「駅から5分」の方を先に読んでいたため、1の雛のことだけが理由かと思っていました。

でも、この2をキッカケに「水野に自分の体配を教え込んだら、花乃を喜ばせられる」というヒントをもらったのでは?

あの楼良との対決の時、陽大は花乃と一緒に的に向かっている感覚になった。

そして楼良に教え込む時に、花乃が自分の間合いを取り戻していることが嬉しくて、それで機嫌が良かった。

そんな思いを花乃にさせて驚かせ、喜ばせたかった。

また陽大は元々花乃のことを「怒りは分かりやすいけど、滅多に笑ったり泣いたりしない」と言っていて、でも作中で唯一涙を見せたのは最後の時。

花乃はあの事件の時に泣けなかった。

やっと涙を流せて、陽向を救えなかった罪悪感からも解放されたのかもしれません。

これ気付くまで何回も読み直さないといけなかったとは…私の想像力は欠けてますね…


さて最終回では第一話から繋がる、大例祭の流鏑馬を陽大が務めるシーンで終わりました。

その時、楼良も見に行っていましたね。

花乃は田地を引っ張り出して駆けつけていて、陽大はその到着を時間が押しても待ってから開始していました。

陽大の中で、もう二度と行くつもりの無かった地元に帰って夢を叶えることが出来た、ここが本当に美しいラストだったと今ではよく分かります。

匿名掲示板を見たら、1ページの加筆修正があったとか?

新保さんが楼良を見つけて顔を隠すシーンが足されていたり、楼良の表情のコマがあったようです。

それが故に楼良とのハッピーエンド派が「やっぱり楼良とまだ付き合ってるんだ!」と言って論争が起こっていました。

んー、私は新保さんも楼良も「陽大をキッカケに弓道を始めていて、まだ憧れもあるけれど、それと同時に弓道をする人として射を見たかった」という気持ちもあったのでは?と思うのですが。

新保さんはまだ楼良が彼女と思っていて、気まずかったのかもしれないけど。

陽大は花乃と初めて会話をした時、兄に「花染神社を継ぐというのは僕には嫌な話。僕だって比々羅木神社の子なんだ」と強く言っていました。

事件後に花染神社を継ぐ気持ちになっていたのは、そうやって雛の望みを塗り替えて運命に抗うのが陽大の仮想の世界だったから。

もう、陽大には仮想の世界はいらなくなっている。

雛も神職につく勉強をしていますし、この先は陽大が比々羅木神社を、雛が花染神社を継ぐのではないかというのが私の予想というのは昨日も書きました。

そして比々羅木神社に戻る時、陽大が側にいて欲しいのは花乃だと思います。

なので花乃に「俺が神職を取って比々羅木神社に戻る時には、一緒に倭舞に戻らないか?」と陽大が言うのではないか、というのが私の妄想です。

花乃は料理学校を中退した後、茴香女子大学の生活科学部学部に入学していました。

楼良がレポートのために徹夜していた時にも、自宅で勉強している素振りはありませんでしたね…

楼良は授業にキチンと出ている真面目な子だったし、茴香大学に現役合格しているので、頭が良いと思うのですが。

まだこの時点では1年生だったので、花乃は自分の将来のこと、将来スポーツ選手相手の料理の仕事をすること、どこまで本気で考えていたのでしょうか。

この時点で陽大は高校2年生。

一般的には神職に就くためには4年制の大学に入るか、2年制のところに行くかするようですが、生徒会長もやっている陽大だし4年制の大学に行きそう?

となると卒業するのは24歳の時になり、それまでは東京で暮らすと思うのですが、先にプロポーズとして花乃の未来を抑えておくことをしそうな気がするのです。

そうなると花乃も神社にまつわることを覚えないといけないので、そのための時間を充てて待つことも出来る。

花乃は2学年上だから、23歳で大学卒業して2年を修行に充てて25歳で陽大と倭舞に戻る、もあり?


陽大と花乃がくっつくという予想をしていた人達と同じ意見になってしまうのですが、やはり一貫して陽大は花乃のことが好きですよね。

人としてなのか、女としてなのか分からないけれど。

1つ前のブログにも入れたけど、「くらもち花伝」でも書かれていたエピソードでは、陽大にとってあくまでも「友情を越えた神聖なもの」という関係を築いているのは入谷のようなので、花乃はそれとは違うのだと思います。

これも書かれていたことだけど、1話の時点で川辺で陽大と花乃の弓が寄り添い合っていて、「キャラ同士がイチャイチャしていなくても、物で関係性を示した」とくらもちさんが思っていた以上は、つまり花乃と陽大はイチャイチャする関係性ということなのかと。

そこは弓を射る時の「正解が一度引ければ後は分かるから、その時まで待つ」に繋がる気がするのです。

「花に染む」を初めて知って真っ先に花乃へのメールを書き、保存しておいた陽大。

「これを送ること自体が未練だろ」と言っていましたが、その文面には千場や楼良に怒りで言ったような「もう二度と会わない」はありませんでした。

倭町のことを忘れようとしていても、花乃には会いたかった。

だからあのメッセージにも「しばらく距離を置きたい」と書いていた。

「親友」という言葉に喜び、「男になりたい」と言う花乃に対して、陽大から男を見せるつもりは無かったはず。

でも楼良と雛がキッカケでも花乃の早気が治った時、花乃は怒るかと思っていたのに嬉しそうだった。

ちなみに「親友」という関係性ですが、最後に楼良から「どういう関係なんですか?」と聞かれた時に

「親友と言ったら笑ってくれた」

と言っていて、つまり陽大にとって「親友」というのは花乃を喜ばせるキーワードであり、陽大自身が「花乃は親友」と思い続けていない可能性があります。

楼良が熱を出した翌日、譫言のようにデートを所望していたことを花乃から聞き、陽大は

「花乃と言い、普通をご所望だ」

と花乃に言い、「え?私?」と聞かれても何も言わなかった。

ここ意図がなかなか分からなかったのですが、何日も考えてみて、先入観も持って見てみると

「花乃は自分に対して、普通の親友という関係を望んでいる」

と読み取れなくもありません。

ここで普通の恋愛一辺倒なキャラなら、その話を聞いて楼良とのデートを花乃に言わない。

でも「東京のカサノバ」のちいちゃんも、多美子から縁とのデートに行くよう頼まれたら行っていた。

そこが、くらもち男子って感じもします。

花乃なりに楼良に優しくしてあげて欲しい、と思っているのを汲んでいそう。

楼良が寝なかった自分のベッドに、一緒に寝るかと笑いながら聞いた陽大。(アレは楼良がいなくなった部屋の虚無感を花乃に埋めて欲しかったのかもしれませんが)

ただ初めて楼良を自宅に連れ込んだ際、花乃の部屋のドアが閉まるのを足を止めて見ていて、その後花乃の部屋に泊まりに行ったということは

「俺と楼良は、男女の関係ではない」

というアピールだったと思えます。

それにホッとしている風の花乃を見て、嬉しそうでもあった。

花乃に楼良を招いたことを隠す気は無かったのでしょうが、楼良をベッドに寝かせて自分はソファで寝る、という選択を陽大はしなかった。

楼良にキチンとベッドで寝て休息しろと怒り気味に言っているけど、それなら他人と一つのベッドで眠る方が疲れは取れないはず。

でも陽大にとっては、ソファで眠るより花乃と眠る方が休まった。

安心した関係の好きな人と一緒なら、そりゃソファで眠るより良いよなぁ。

花乃が力持ちなのが分かっているのに、大根8本の重い方ではなく軽い松茸を持たせた陽大も良かったですね。

彼はそういうレディファーストを自然に学生同士でもするタイプでしょうが、他人の女学生達にするのと、同士のはずの花乃にするのでは違う気がします。

花染町で初再会した時も、花乃に「荷物を持つよ」と言って「私に荷物持ちはいらないよ」と言われていましたが、コレも中1まではそんなレディファーストしていなかったのに、男になってた…!

「陽大が認めた相手と恋をするなら、その人も一緒に守る」そう心で思っていても、気持ちが晴れない花乃。

親友という立場を取られているのかもしれない、と入谷にモヤモヤする花乃。


そういう花乃の心は、陽大も分かっていたはずで、だからこそ「僕の側にいてよ」とか言う。

確かに陽大目線で全体を読み直すと、「一貫して親友として接している」か「恋をしている」か分からないけど、花乃だけが特別な存在だというのは分かります。

ここで男同士の親友であれば、他の人と恋をして結婚をしても関係は続くでしょう。

でも花乃はやはり、陽大は雛か楼良のことを女として好きなのだろう、と思っていた時苦しそうだった。

再会した陽大から部屋の鍵を渡された時も「女していないか?私」と戸惑っていたし、彼女はもう自分の恋心に気付いていて、でもそれで親友としての関係を壊したくなくて我慢していたと思います。

それこそ「陽大が正解が出るまで待っていた結果」なのかもしれません。

で、流鏑馬のあたりで陽大は「田路が花乃に告白して振られた」ということを知る機会が来ると思います。

それを聞いたら「………へぇ」と笑いながら言うでしょうが、花乃が他の男と一緒にいるのを笑顔で見守れるとは思えません。

「駅から5分」でも「花に染む」でも、陽大は自分に害をなすであろう相手、全く関わりを持ちたくない相手以外には、優しく接する人です。

でも料理専門学校に通っているのを隠していた花乃が作ったライスコロッケを食べた時、花乃が買ってきたと嘘をついているのを察して

「おいしかった、すっごく」

と言った時の笑顔は、事件前と同じ無邪気なものであり、そして花染町では一度も他の人に見せていないものです。
(但し「くらもち花伝」を読むと、くらもちさんはこの時の陽大の表情に納得がいっていず、雑誌掲載時から単行本収録時に描き直しているけれど、まだ納得いっていないそうです…えぇーあの可愛い素直そうな表情だけではダメな何を足したかったの!?)

「兄のお嫁さん候補」ではなく「僕の親友」と、「僕の」を主張した幼い日の陽大は、今もいる。

そんな親友である女の子に、兄が好きな雛から好かれている、なんて相談は出来なかっただろうなぁ。

楼良が「太刀打ちできない」と感じたように、他の人間が入り込める隙間はありません。

手を繋ぐとか、キスをするとか、そういうのは、くらもちふさこの作品の男子は割と気軽に出来る。(陽大を女たらしだと言ってるコメントも見かけました…)

陽大から「一緒に倭舞に帰ろう」と言われてもプロポーズと思わない花乃に、笑いながらキスする陽大、とか、過去のくらもちふさこの作品の中ではありそうなシチュエーション!と思うんだけどなぁ。

現実的に考えても、お隣が実家の花乃が嫁ぐのは良いですよね。

お互いがそれぞれ別に家庭を持って、お互いの子供同士を遊ばせる関係になる、という未来も無くはないと思うけど…


花乃は高1の時陽大と再会した後から早気に悩んで弓道を止めていたこと、田路に告白されたこと、茴香大学に落ちた後浪人生をしていると嘘をついて料理学校に通っていたこと、翌年大学合格出来たこと、を陽大に話していませんでした。

コレ、親友なのにここまで色々隠すかな?

専門学校は3ヶ月で辞めていたので、10ヵ月くらい黙っていたことになるんですよね。

それが花乃なりのプライドだと思ったのかもしれないけど、花乃が全て話してくれるわけじゃないことが分かっていて、心の距離を戻すために合鍵を渡したのかなぁという気もします。

雛に関してはもう、周囲からあれだけ「そっくり」と言われている異性である以上、よほどお互いにナルシストでなければくっつかないと思います。

陽大と花乃が神社で働きながら、町の人に弓道を教えていくんじゃないかなぁ。

と、まだまだ考えても考え足りない、でもこの本当の答えは分からないところが…良いですね!

ということで、今月中やっているくらもちふさこ原画展に行ってこようとチケットを取りました!

花に染む、のグッズが欲しかったけど、無いみたいで残念だなぁ。

でもでも楽しみです!

行けない方は作品集が出ているので、そちらもどうぞ!


THE くらもちふさこ デビュー50周年記念画集 (愛蔵版コミックス)

これ表紙が陽大と楼良なので、「あれ、やっぱりこの2人が出来てる?」と邪推したくなりますが…

私的には「こんな風に女子に憧れられる男を描く漫画家」という象徴だと思っています!

※ちなみにこのブログ、何度も単行本「花に染む」を読み返しながら加筆し続けているのですが、改めてオルビスでの対談も読み返しました。

くらもちふさこ×よしながふみ対談がオルビス2017.10シブロ掲載!

今日、オルビスから月刊誌「Sibro(シブロ)」の2017年10月号が届いていました。ちなみにこちら、以前は「hinami(ヒナミ)」という名前だった冊子ですが、数か月前から「Sibro」になりました。Sibroを逆から読むと…はい、ORBISになりますね~。で、今回のSibroは少女漫画特集になっていて、あの、くらもちふさことよしながふみの対談が掲載されていました!今年「花に染む」で第21回手塚治虫文化賞を受賞したくらもちふさこと、20...



好みの男性の顔の話の流れで、よしながふみが「最後のほうで陽大の呪いが解ける瞬間に、わぁっと何を考えているかがわかるところ…男の子がかわいくなってる。以前なら最後まで内面を見せないままでいますよね。恋愛の枠に収めないところがすごく今っぽいです」と言っていて、それに対してくらもちふさこは

「最後の大切なシーンは、もうこれしかない、とがっちりイメージができていたんです。陽大の指の先まで神経をつかって描き上げました」

と返しています。

これは花乃と抱き合うシーンのことだと思うのですが、確かにその直前に楼良と話していた時はクールだった陽大、花乃に「えー泣いてる?なんで泣くの」の表情は確かにちょっと可愛い。



(もしかしたら、よしながふみが話しているのは「記憶のすり替え」に陽大が気付くシーンで、くらもちふさこが話しているのは「花乃と抱き合うところ」なのかも?

でも「喜んでくれると思った」と考えていたことを花乃に言葉にして告げているので、やっぱり抱きしめてるところの話なんじゃないかなぁ。

過去のくらもちふさこの作品だと、こういう男性が考えていたことが何だったかは女性側が察していただけ、かも?)

そして「恋愛の枠に収めないところが今っぽい」という言葉は、一見「陽大と花乃の関係性は恋愛では無い」という風にも読み取れますが、だからといって「男女の親友」という枠に収めるのもそれはそれで「今っぽい」とは違う気もするので、あくまでも「物語の中で語りきらない」という終わり方のことなのかなぁ…どうなのかなぁ…と、またまた考えてしまいました。

ただ「くらもち花伝」を読んでみて、やっぱり花乃と陽大のラブストーリーだったのかなと思っています。

「花乃も陽大も雛も弓道をやっているメンタルの安定している人達だし、陽大のミステリアスさを出すために花乃を語り部にしているけど、彼女は全然自分から動かない人なので大変だった」とのことでしたが…

更に体力的な問題で説明のコマをかなり省略されているそうで、それが故に読者に「説明不足」と思われてしまった部分はあるかもしれませんね。

そこがまた想像力を掻き立てられて良い部分でもあったけど。

物語の中ではキスとかしていないけど、でもそっと弓が寄り添い合い、お互いを大事にし合うイチャイチャしていない関係、という表現、本当に良いなぁと改めて思いました!
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