ウクライナのゼレンスキー大統領の「Remember Pearl Harbor(真珠湾攻撃)」が許せない理由

2022年03月17日
英語が苦手な大人のTOEIC勉強 0

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ウクライナ_真珠湾攻撃

最近在日ウクライナ大使館に違和感を持ってしまっていますが、でも情勢チェックは英語の勉強を兼ねて続けています。

私の英語力だと、内容によって半分からある程度分かる程度なのですが、ゼレンスキー大統領の言葉を英語翻訳されたものを聞いた場合は、通訳さんの言葉選びがマスコミによって違っていたりもしますね。

で、昨日の夜にTwitterを見ていたらCNNがゼレンスキー大統領のアメリカ議会でのオンライン演説動画をアップしていたので、観てみました。

気付いていませんでしたが、その時点でもう日本でも報道されていて「真珠湾攻撃」「パールハーバー」がトレンド入りしていましたね。

私はそれを知る前に1から英語で聞き、愕然としました。



引用ツイートでは「アメリカ独立戦争」と書きましたが、その単語自体を使っていたわけではありません。

ただ「independent(独立)」という部分と、アメリカが建国して自由を手に入れるために活躍した過去のアメリカ大統領達の話をしているのは分かったので、歴史の流れからして「アメリカがイギリスから独立した時の話を持ち出している」と分かりました。

アメリカ独立戦争(American War of Independence)
1775年4月19日〜1783年9月3日の、イギリス本国(グレートブリテン王国)と北アメリカ東部沿岸のイギリス領の13植民地との戦争。


アメリカが自由を手にするために戦ったこと、を、ついこの間オンライン演説でイギリス議会に拍手喝采された人がすることに、ちょっと驚きました。

そしてその後「Remember Pearl Harbor」と聞こえて、本当に本当に驚きました。

これ日本のネット記事などでは「真珠湾攻撃を思い出せ」と訳されているものが多く、その言葉をそのまま受け取って賛否両論している日本人が多いと思います。

でも私はこの言葉が、戦時中のアメリカ兵の間では合言葉だったこと、綾瀬はるかの「戦争を知る」シリーズ番組で知っていました。



広島の被爆者の2人が、原爆開発に携わり、投下した時の映像撮影もしていたアグニュー博士に

「謝ってほしい」と言ったけれど

「謝らない。謝るならそっちだ。私達の間では『Remember Pearl Harbor(真珠湾攻撃を忘れるな)』という言葉があった。

私の仲間もたくさん真珠湾攻撃で命を落とした。

あなた達は恨むなら日本軍を恨みなさい。

生きているだけでも有り難いことだと思いなさい。」


と返され、おばあさんが悔し泣きする映像です。


真珠湾攻撃自体に関しては、諸説あるので触れません。

これと9.11の同時多発テロ事件を同列に扱ったことを許せない、という日本人の書き込みをいくつか見ました。

英語の翻訳では「Remember Pearl Harbor」と語呂合わせをしたように、「Remember〜」を連呼しています。

私はそういう、語呂合わせ感覚で「Remember Pearl Harbor」を使うことに、猛烈に腹が立ちました。

今ウクライナは大変な時なんだから、アメリカの気を引くためならこれを言うだろう、単にロシアの航空機を止めて欲しいという要望のために出した話だろう、奇襲攻撃というだけの意味でアメリカはこれをよく使う。

そんな風に擁護している人の言葉、たくさん見ましたが…私は全然同意できません。

戦争の話に関しては、「戦争は悪い」以外は0か100、白か黒でハッキリ語れることではないとも思います。

しかし、私はどうしてもこの言葉を聞くと、その言葉を呟きながら焼夷弾を落とし、原爆を落としたアメリカのことを考えてしまいます。

もちろん、日本も悪いことをした。

ただアメリカ人に向かってゼレンスキー大統領がこの言葉を言うということは、「戦争を終らせるために原爆(核)を使う」というのを肯定したように受け取ってしまうんです。

そんな風に受け取る人もいれば、受け取らない人もいる。

ゼレンスキー大統領もそこまで考えていないんでしょう。

しかし「この後、日本の国会でオンライン演説したい、と言っている人が、よくこんなこと言うな」と呆れました。

私が在日ウクライナ大使館にずっと抱いていた違和感の、「攻撃されたら、自国民が犠牲になっても相手と対立を深める」という価値観に寄り添えません。

早々に降伏しろとも思わないけど、でも演説前に「この動画を観てください」と言って、ロシアの侵略前後のウクライナの映像を音楽付きでハリウッド映画の予告のように流したことには、違和感があります。



へぇ…自国民の悲惨な姿を、より多くの兵器と資金を要求するために使うんだ…

アメリカのメディアはずっとそういう映像を現地で流しているから、皆んな議員は知っていると思うけど。
私は子供の頃に「はだしのゲン」を読んだ影響、夏になる度に原爆特集、戦争特集を観せられていた影響で、ずっとアメリカは怖いし嫌いだと思っていました。

当時は真珠湾攻撃のこととか、日本兵がどんなことをしたか、なんてことは言わず、ただただ民間人の悲惨な体験だけ聞かされていた記憶があります。

だからアメリカに行きたいと思ったこともなかったし、憧れもありませんでした。

ハリウッド大作映画はつまらないものばかりだし、全然魅力を感じない、ヨーロッパの方が歴史があって素敵。

でも4年前にアメリカから帰国していた友人と20年振りくらいに再会し、「遊びに来て」と言ってもらってから英語の再勉強を始め、最近ではアメリカ人の友達も出来ました。

子供の頃の私には考えられなかった状況です。

話してみると、彼らの価値観はそこまで大きく日本人と変わらないな、と思いました。

大雑把な人もいれば、繊細な人もいる。

差別的なことを悪気なく言う人もいれば、絶対に差別反対の思慮深い人もいる。

私が子供の頃に想像していた「うぇ〜い」なヤンキーばかりじゃなかった。

アメリカのドラマも積極的に観るようになり、日本のマスコミが言うように「日本は遅れている、欧米ならあり得ない」というようなセクハラやモラハラや差別的な発言を、気軽にする人もいれば、傷付いている人がまだまだいることも分かりました。

むしろ日本の方がセンシティブ過ぎるくらいのようで、私は「この発言ってどう思う?」と聞くと「こっちの人はそこまで気にしないから、大丈夫だよ」と言われたりします。

ちなみにそれは、スペイン語で「黒」を意味するNegroは、英語では黒人差別用語になる、ということでした。

綴が全く同じなので心配したんですが「アメリカに住んでいるスペイン人は多くて、スペイン語表記のパッケージにNegroが使われていることもあるよ。英語じゃなくスペイン語だって分かれば大丈夫」とのことだったんです。

私はてっきり「Negro」自体がもう絶対に黒人の前で言ったらいけない言葉かと思ったので、そんなにシンプルに誤解が生まれずに済むものなのかなぁ?と思っていますが、どうなんでしょう。


世界史に疎いし、ずっと「英語わからな〜い」で通してきていたため、世間知らずですが、それでも少しずつアメリカに対する考え方は私の中で変わってきています。

第二次世界大戦に対しても、アレはアレでもう過去のこととしてお金で解決をしてきた部分はある。

米軍基地のことについて、色々思うこともあるけれど…

それでも「アメリカを敵国として憎む」という、子供の頃に植え付けられていたような価値観が、やっと無くなってきているんです。

そんな私にとって「Remember Pearl Harbor」は冷水をぶっかけられた気分になる言葉です。

今日はドイツに対してベルリンの壁崩壊の話をしていましたね。

色んな国の歴史を交えて話して、協力を得たいのでしょう。

でもね、そんなことしなくても、ただ逃げ惑っている市民の姿を観ているだけでも、こちらは心を痛めていたし、何かしてあげたいと思っていたんですよ。

なのに、過去の戦争の話、各国の対立を持ち出して煽ってくる。

「協力しないのか、見捨てるのか、偽善者」と言うかのように。

ロシアが侵略を止めるべきだとは思うけど、ロシア兵が国の命令で命を落とすのも、市民が経済制裁の影響で苦しんでいるのも、私からしたら喜ばしい話では全然ありません。

それは平和とは真逆の行為だと思います。

あちこちの国に協力を頼んでお金と武器をもらわないと戦えないのなら、何故もっと早い段階で行動をしていなかったの?

こうなる予想はずっとあったのに?

なんて言いたくないし、やられたらやり返す気持ちは分かるけど、でもやり方の価値観が違いすぎるかな。

マフィアが多い国だという噂を聞いたので検索したら、こんな記事を見つけました。



あくまでも個人の経験だろうし、AERAという時点でお察しな部分もありますが、でも「価値観が違いすぎて本当の友達にはなれないと感じた」という部分は、何だか「そういう風に思いそう」と勝手に感じてしまっています。

あーあ、こんな風に他国に嫌な気持ちや偏見を持つの、絶対に嫌なのに。

現時点では避難してくる方々に対しての支援はしたいけれど、国会でオンライン演説はしなくても良いと思っています。

ここで「唯一の被爆国の皆さんなら分かりますよね?」的なことを言われても「いや原爆落とした国を称賛してたじゃん」と思っちゃうし。

何を話すかいっそ聞いてみたいって人もいますけどね…

でも内容によってまた不愉快な思いをするなら、聞きたくない。

個人的には今この状況で、日本とアメリカの関係だけに留まらない過去の戦争について、ヤイヤイと外野の人から言われたくなかった。

幼少期のトラウマ、それを軌道修正していく過程、それにはすごく時間がかかると身をもって知っているから、もう対立を煽って欲しくない。

攻撃されているのは可哀相、だけど、それはゼレンスキー大統領ではなく市民が可哀相。

そして亡くなった姿を世界中に晒され、同情を買う道具に使われるなんて、私なら嫌。(それを望むことが愛国心、という価値観もありますが)

この件はもうすでに色んな人が色々書いていると思うけど、私は私なりに記録に残しておこうと思います。

あーあ、世界平和って難しいですね…
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