「鬼滅の刃」遊郭編、ブラコン堕姫(梅)とシスコン妓夫太郎の兄妹に泣けた

2022年02月15日
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「鬼滅の刃」の遊郭編、宇髄天元にハマって熱心に観ていましたが、最後の梅と妓夫太郎の兄妹話は泣けました!

Twitterを見てもこの兄妹に泣き、「生まれ変わったら幸せになって欲しい」と願っている方々が多いですが、元々兄弟姉妹モノに弱い、兄のいる妹という立場の私からすると、あの我儘な妹っぷりはもう何とも言えない気持ちになりますね。


第十一話『何度生まれ変わっても』

私は原作を読んでいないアニメのみ勢ですが、鬼滅の刃は劇場版までそんなに興味がありませんでした。

一応人気だから観ておくか、程度。

煉獄さんの話はもちろん泣けたけど、でもそれはもう、年取るとチョロくなるから感動モノってすぐ泣くよねって感覚でした。

が、梅と妓夫太郎の関係性は、幼少期の自分を思い出します。

今はほとんど話もしない兄ですが、子供の頃は本当に兄にベッタリで、兄も友達と遊ぶときには連れて行ってくれてました。

幼稚園生の頃は、兄が小学校から帰ってくるのを外でずっと待っていたし。

あの兄妹のように両親がいない生活をしていたわけではないけど、妹にとって兄というのは「人生で初めて、常に自分を守って側にいてくれる絶対的な異性」というケースが多いのではないかと思います。

もちろん、そうじゃない兄妹関係もあるでしょうが。

父親は仕事で日中いないし、2番目の子供となると母親もそこまで手をかけなくなるもの。

特にウチは私が幼稚園生になったあたりから母がパートを始めたため、夕方から夜寝るまで一緒にいてくれるのは兄でした。

母は自分が兄と仲良くなかった分、子供に対しては「絶対に妹をイジメてはいけない、呼び捨てをしてはいけない」と言い聞かせていたため、私はそれはそれは我儘な妹に育ったわけですが…

だからこそ、梅が「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と我儘に接する姿には親近感を覚えました。

兄が「妹が欲しい」と言ったからお前を生んだ、と親から言われたことがあります。

母が悪阻が酷くて入院した際には、隣のベッドに流産した方がいたため、兄は

「男の子だったらいらないから、そうしたらあげるね」

と言っていたそうです。

これ、想像するとめちゃくちゃ流産したばかりの方には辛い言葉だったでしょうね…

相手が子供なだけに何も言い返せないまま、2人目の子供を妊娠中の人の隣のベッドに寝ていたなんて、お気の毒すぎる…

ただでさえ辛い時に、無邪気に子供から「男の子だったらあげる」なんて言われたら、すごく切なかったろうと思います。

結局、兄の希望通りに妹の私が生まれたため、よその子にはならなかったわけですが…

ちなみにこの話を兄にしても、一切記憶に残っていないどころか、私が生まれた時のことさえ覚えていないそうです。

…5歳差だから、普通ちょっとくらい記憶に残っていると思うんだけど…


長男で妹がいる、ということは、幼いながらに「守るべき弱い立場の女」というのを常に世話する立場になります。

私の友人は女姉妹の姉で、妹が生まれたときには嫉妬して嫉妬して、産院に会いに行くことさえしなかった、と言っていました。

そんな彼女からすると、「長男だから妹を守らなければいけない」という価値観には、納得がいかないそうです。

なので妹が兄妹を生んだ際には「絶対に長男に、『お兄ちゃんなんだから我慢しなさい』とか言うな」と言ったとか。

でも私は妹側の甘える幸せを知っているので

「でも、長男だからとか、男だからってことを言われることで自我が芽生える部分もあるもんだよ。

妹だって、お兄ちゃんだから甘えられる幸せっていうのがあるんだから、無理して押さえつけなきゃ良いんじゃない?」と思うのですが。

何だかんだ言っても、妹や弟の方がシッカリしているケースもありますしね。

妓夫太郎は誰から何を言われたわけでもなく、ただただ生まれてきた可愛い妹の梅が愛しくて大事だったし、だからこそ頑張れたんだろうなと思います。

そこは炭治郎も近いのですが、炭治郎にとっては弟妹がたくさんいた内の唯一の生き残りが禰豆子なので、またちょっと違うかな?

たった2人きりの兄妹というのは、やはりもっと密接している気がします。

夜寝るまでお話をしてくれたり、怪我したら慌てて手当てしてくれたり、何でも知っていて教えてくれる存在、というのが兄というもの。

とはいえ…妓夫太郎と梅の関係性は、時代も設定もあるけれど切ないですね。

お母さんが梅毒だったから「梅」という名前だったんでしょうし…
また辛いのは、サラリと「客の侍を刺した」と言っていましたが、つまり梅は13歳で客を取っていたということ。

妓夫太郎はそれを容認していた、ということになります。

彼らにとっては、女の子が男相手に体で稼ぐことが当たり前だったのは分かりますが…

まだ子供の梅に客を取らせ、自身は取り立てをして稼いで生きていく、ということに、二人共何も思わなかったんでしょうか。

うーん、確かに当時は父親が娘を身売りする時代だしなぁ。

それでも梅も初めて客を取ったときには怖かったんじゃないかなぁ。

そういう時に「これでお金が稼げた、お兄ちゃんとご飯が食べられる」というのが、梅にとって一番大きな感情だったのかもしれません。

妓夫太郎にとっては「自慢の可愛い妹だからこそ、馬鹿な大人の男たちから金を取れる」というのが自慢だったのかもしれない。

ファンブックのことをTwitterで書いている人がいましたが、梅が客を刺したのは妓夫太郎を侮辱されたからだそうですね。

梅にとって「客の男」と「お兄ちゃん」は全く別の生き物だったのでしょう。

稼いだ金で買ったご飯を持って帰り、妹に食べさせようとしたら焼かれていた…その時の妓夫太郎の辛さも、想像すると辛いですね…

散々男たちと関係を持って稼ぎ続けていた堕姫(梅)なわけですが、そんな彼女が

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」

といつまでも子供の頃のまま兄に甘えているのは、本当に切ないなと思います。

堕姫は鬼舞辻無惨に顔を赤らめていたから、恋をしているようにも見えたけど…

死に際には一切鬼舞辻無惨のことを思い出していなかったので、やはり男として、兄を超える存在として鬼舞辻無惨を見ていたわけじゃないってことかな。

そりゃそうですね、鬼舞辻無惨は堕姫のために何もかも投げ捨てて守ってくれる存在なわけじゃないし。

憧れ的な存在ではあったのかもしれないけど、無条件で甘えられる存在ではなかった。


ラスト、梅には「明るい方へ行け」と、まるで「自分は地獄に行くけど、お前は成仏しろ」と言うかのように突き放した妓夫太郎。

そんな兄に泣いて縋っておぶさり、そんな妹を振りほどけずに膝を抱えて炎の中を歩く妓夫太郎、良かったです。

悪いこといっぱいしたけどね…

でもそれを覆せるくらいの良いことが、あの兄妹には生前無かった。

お互いの存在しか無かった、と思うとそれはそれは泣けます。

普通に育っていたら、兄妹以外に大事なものが出来ていくのにね。

私が兄が学校から帰ってくるのをずっと外で待っていた時のような、あの「とにかく絶対にお兄ちゃんは一緒にいてくれる」という感覚を、梅はずっと持っていたんだなぁと思うと切ないです。

ちなみに…ウチの兄は思春期になったら全然遊んでくれなくなり、冷たくなりましたが…

私の中には大人になっても「兄のように絶対的に守ってくれる存在」という男性を求め、でも好みのタイプと求める性格が全く違っていたがために、今の状況になってしまったわけですが…現実なんてそんなもの。

兄も私とは全く性格がド反対の、大人しいおっとりした人を奥さんにしたし…

だからこそ、妓夫太郎と梅のような絶対的な信頼関係を持ち合う兄弟姉妹ものには泣けます。

父親と兄ってのは、また全然違うものなんですよね。

何度生まれ変わっても、あの二人は兄妹になりたいのかな。

一番良いことは、それはお互いそれぞれ他の幸せを見つけていけることなのかもしれないけど。

妓夫太郎が梅の幸福な結婚生活を思い描いていたみたいに。

彼にとっては「自分は醜くてダメだけど、梅なら女として幸せを掴める、それが俺の幸せだ」という価値観だったのでしょう。

そういえば昔見たワイドショーのおもしろ映像的な番組で、兄2人に妹1人のちびっこ3兄妹がいて、兄同士で妹を取り合い、長男が「俺の女だ!」と言って妹にチューする映像がありました。

子供だから微笑ましかったけど…あれ大人になって映像観たら、兄妹で気まずいだろうな…

そういう意味では、梅は自分の女な部分を他の男に委ねている、それを兄が知っている、というのは、どんな感覚だったのかなぁ。

と考え始めるとキリがありません。

あ、もちろん宇髄天元が嫁3人と幸せに過ごし、最後の方にちらっとまた再登場するのも楽しみにしています!

宇髄天元、ホントかっこよかった…好き…

でも最終回はやっぱり兄妹が良かったなぁ。

こんな風に身近に色々と自身を重ねて観られる部分がある、というのも最近のアニメではいっそ新鮮かもしれませんね。

楽しみが一つ無くなってしまって寂しいです…
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