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マコ岩松(岩松信)、欧米では有名なハリウッドスターなのに日本で知名度が低い理由は?

「日本の漫画やアニメのセリフは、英訳されるとニュアンスが変わる」ということについて英語圏の人に話したら、「日本語が持つような言葉の意味は、英語では身振り手振りや声のトーンで表現する」と言われました。

言われてみれば、日本人からするとハリウッド俳優の演技はオーバーアクション、とも言われますね。

アメリカで生まれ育った新田真剣佑の演技も、一部の人はオーバーアクションだと言います。

そしてハリウッド映画に出演している日本人は、あまり抑揚の無い淡々としたキャラを演じているイメージがあるかも。

ということは、日本人がハリウッドで成功するためには、英語の発音だけでなく、話し方のトーンの差も学んで演じないといけないということ?

と思ったということを書いたら、欧米の人から

「いや、マコ岩松や志村けんは欧米で人気。それは彼らの表現方法自体が欧米のスタイルに似ているから」と言われました。

が…私、マコ岩松って名前、初めて聞きました。

会社の上司にも「マコ岩松って知ってます?」と聞いたら「知らない」と言われたのですが、調べたら

早川雪洲


セッシュウ! 世界を魅了した日本人スター・早川雪洲

マコ岩松
写真左


祖国 [レンタル落ち]

ゴジラ


ゴジラ

三船敏郎


椿三十郎

がハリウッドで殿堂入りしているそうです。

昔の邦画をそんなに知らない私でも、マコ岩松以外は知っています。

特に雪洲は、撮影の時に底上げするために使う木製の箱のことをセッシュウと言うので知っていました。

背の低い日本人の雪洲のために、撮影中背が高く見えるようこの木箱の上に立たせたのが由来だそうです。

日本人は「ハリウッドで人気の日本人」というフレーズは大好きなはず。

あの欧米に認められた、なんて誇りに思って騒ぐはずなのに、何で私はマコ岩松を知らないんでしょうか?

検索してみても、彼に関する情報はほとんどネットで見つかりませんでした。

英語で検索したら、彼がハリウッドで殿堂入りしたときの記念写真がたくさん出てくるのに。



もちろん、ツイッター検索をしたらチラホラとマコ岩松についてツイートをしている方々もいます。

あまり邦画や日本ドラマに出てはいなかったようですが、それでも『キイハンター』で千葉真一と共演していたり、『梟の城』で豊臣秀吉を演じていたり、『パール・ハーバー』で山本五十六を演じたことは有名なようです。

他にもチラホラとハリウッド作品や日本の作品に出てはいるのですが…でもその中で私が観たことあるのは『SAYURI』くらいでした。


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これはチャン・ツィイーと渡辺謙が出ているってのがすごい、と話題になっていましたが、でもマコ岩松の名前が一緒に騒がれていた記憶はありません。

またマコ岩松のWikipediaを見ても「日系アメリカ人」「欧米で知名度がある東洋人俳優の一人」という書き方をされています。
YouTubeでマコ岩松の特集番組を観てみました。

写真だけ見るとマコ岩松は中国系アジア人のような顔立ちに見え、日本人俳優と言われてもピンと来なかったんです。

アカデミー賞などにもノミネートされていたなんて、本当にスゴイ方だったんですね。

マコ岩松の両親は戦前にアメリカに渡り、日本に残っていたマコ岩松は戦後15歳になってから、両親のいるニューヨークに移り住み、そこからアメリカ国籍を取得したとのこと。

彼の両親は美術をやっていて、お父さんは戦時中アメリカで、日本兵に「妻子のために投降しましょう」というチラシ作りの仕事をしていたそうです。

そんなこともあって、マコ岩松は幼少期に日本の学校で「スパイの子供」として虐められたそう。

生まれてから15歳まで日本にいたのであれば、その後アメリカ国籍を取得していても日本人として誇れる存在のはず。

しかも彼は「東洋人ってこんな感じ」という、無知が故に差別を含んだハリウッド映画での日本人の描写に抵抗し、真の日本人を表現、そしてアジア人の地位向上のために働いたとのことでした。

それは千葉真一がハリウッドに移住を決めたキッカケにもなったことでしょう。

ただ、マコ岩松を日本人が持て囃さなかった理由は、なんとなく分かります。

彼は日本で評価を得てからアメリカに渡ったわけではない。

早川雪洲のように美形の日本人として活躍したわけでもない。

そして、見た目は特にイケメンとは言えないと思います…失礼ですが…


アメリカの中のアジア人のステレオタイプを変えた、というのがどこまで成功したかは分かりませんが(未だに明らかに中国人が日本人役をしていたりするし)、それでもそのキッカケを作ったという時点で、彼は評価されて良いはず。

もちろんその評価は映画好きの中ではあったけど、メディアは食いつかなかった。

当時日本で人気だった俳優って、顔が濃くて今見ても迫力あるイケメンが多かったから、一見中国人っぽいマコ岩松がどんなにアメリカで評価されていても、その作品を観ていなければ存在自体知らないままになります。

そして出演作はあくまでもアメリカ人向けであり、日本人が観て面白いものではなさそうなのも多い。

彼本人も「どんなに大役のオファーが来ても、興味がなかったら引き受けない。お金に困ったらちょい役でも受けるから、変な作品にばかり出ている」と言っていました。


今はもうサブスクで世界中の人がほぼリアルタイムで各国の作品を観ることが出来ます。

日本人と言えば侍、忍者、芸者、というステレオタイプなイメージを持っている人もまだいるようですが、普通に日本に興味がある欧米の若い子は山崎賢人や永野芽郁を知っています。

日本の歌も、私が知らないような最近の曲を皆んなSpotifyで速攻で聞いています。

「欧米のアジア人に対するステレオタイプなイメージを壊すために頑張る」

という必要性が無くなってきました。

ここで一つ、問題があります。

日本人だけか、他のアジア人もそうなのか、統計が取れているわけではありませんが

「日本人をアジア人の一部として括らず、日本人は日本人として見て欲しい」

という気持ち、ありませんか?

確かに文化が似通っている部分はある、というか、日本が中国等を真似して独自にアレンジした文化が多い。

でもアジアが一環となっているイメージは無いどころか、揉めている印象があります。

それを欧米の人はイマイチよく分かっていません。

高度経済成長期の頃に、日本人は変に「俺たちはお金持ちで、他の貧乏なアジアの国とは別物」という認識を持ったのかもしれない…今はもうそれも古いイメージになりましたが。

マコ岩松の奥さんは日本で生まれてアメリカに留学していたけれど、片親は韓国人だったそうです。

彼女は動画の中で「私は差別主義者なの。白人嫌いなのよ〜。だからマコがアカデミー賞とかにノミネートされても、どうせ白人の奴らは受賞させないだろうって分かってた」と言っていました。

彼女たちの体験は、コロナ禍でアジア人差別が生まれる前からの歴史を物語るものでもあり、今アジア人が知るのに良い存在だと思えました。

そんな方のことを、日本人の私が欧米の人から教えてもらったなんて、皮肉な話ですね。

マコ岩松の出演作を今観ようと思っても、なかなかすぐに観られるものはありません。

でも今度色々観てみようと思います!

千葉真一が新田真剣佑と眞栄田郷敦をアメリカで育て、日本で俳優として活躍させ、その後またアメリカに送り込もうとした理由の中に、マコ岩松の存在もある気がしました。

英語を勉強しているつもりなのに、日本のことを改めて知るという機会が多く、本当に面白いなと思います。

白人に憧れたり、敵対意識を持つのではなく、どの人種もフラットに接するようになる日が来るのが理想的だけど、それまでにまだまだ時間がかかりそうですね。

それでもマコ岩松が、「出っ歯で目が細い不気味な日本人」というイメージを変えようと戦ってくれていたこと、知ることが出来て良かったと思いました。

マコ岩松の妹は、ボーイフレンドのお母さんから

「ねぇあなた、この新聞はどこからどこまで読める?

そんなに細い目だと、見える範囲が私達と違うんでしょ?」


と悪意なく言われた、とドキュメンタリーで話していましたから…
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