「シカゴ7裁判(The Trial of the Chicago 7)」ネタバレ感想~トランプ前大統領の弾劾裁判の見方が変わる!?

2021年02月12日
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アカデミー賞ノミネート作品と話題になっている「シカゴ7裁判(The Trial of the Chicago 7)」をNetflixで観ました。

新型コロナウイルスの影響で映画館ではなくNetflix配信になった作品はいくつかありますが、今までそんなに洋画を観てこなかった私は知らない作品がいっぱい。

日本と海外では話題になる作品にかなり差がある(日本人はアニメと韓流ドラマをメインに観ているので、世界中で視聴1位になっている作品もほぼ圏外)上に、自分でマメに最新公開作品をチェックしていないと、話題作を見逃しがちですね…

「シカゴ7裁判」は元々私の好みな内容では無さそうに感じたのですが、アカデミー賞ノミネート作品ということに加え、エディ・レッドメイン(ファンタビの主人公)が出ているので観ました。



正直…ベトナム戦争のことを知らなさ過ぎて、ホント世界史を勉強しないと厳しいなと思いました…

日本人は「戦争」と聞くと第二次世界大戦を思い出すけど、海外では違う、というのは時々感じます。

ベトナム戦争のトラウマからシリアルキラーになった人とかいたし。

でも、子供の頃にベトちゃんドクちゃんをテレビで観たりはしてましたが、原因がベトナム戦争だということも分かってませんでした。

単に農薬を撒いたら奇形児が生まれてしまい、環境問題を見直すキッカケになった話なのかと思っていた自身の無知さに驚きます。

ベトナム戦争時に、アメリカ軍が撒いた枯葉剤の影響だと言われていたんですね…

先日までU-NEXTで「ヤング・シェルドン」を観ていて、その中でシェルドンの友達になるタムがベトナム人のため、家に招いたら親と戦争の話題になるシーンがありました。

タムの親はアメリカ側になり、テキサスに移住してコンビニ経営をしている設定。

戦時中に生活が苦しかったこと、親戚が拷問を受けたことなどをネタっぽく話すのですが、シェルドンの親は「ベトナム戦争」と言ったら、タムが「アメリカ戦争ですね…だから最初、戦争の名前を気を使って言わなかったのに」と返すシーンが印象的でした。

あれコメディなノリのシーンだったけど、日本ならアメリカ人とあんな風に戦争の話をするなんてあり得ない気がします…

ベトナム戦争も日本は関わっていたのに、薄らと戦争の悲惨さのイメージしか知らない私は、この映画を観ていくつかの点となっていた知識がちょっとずつ線で繋がっていきました。


「シカゴ7裁判」はベトナム戦争に反対して1968年のシカゴ民主党大会でデモを起こした若者7人(シカゴ・セブン)が、暴動を招いた罪で起訴される、という実話を元にした映画になっています。

最初は8人だったけど、途中でボビー・シール(Bobby Seale)は離脱するのですが、映画内では中盤までボビー・シールも出ていました。

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続々とアメリカ人男性がベトナム戦争に送られ、「次の兵士は◯月◯日生まれの人」というルールで赤紙のような召集令状が届く状況。

平和的にデモを起こして戦争反対の意思表明をしよう、と考える人もいれば、ラリったヒッピーノリの大騒ぎを持ちかける人もいて、7人皆んな同じグループの仲間というわけではありません。

デモをする前に公園を使用する許可を取ろうとするも、許可が降りない。

でも自分たちの訴えを伝えたい。

無理矢理デモを決行した彼らを警察は阻み、仲間が殴られ、その後バリケードを突破して暴動となった民間人の彼らは罪に問われました。

大統領や裁判官が裏で手を組み、全ての責任を彼らに押し付け、弁解もさせないという裁判の過程は胸糞…

当時は今よりずっと黒人差別も酷くて、それもまた観ていてキツかったです。

ちなみに裁判では全員有罪となりますが、その後上訴審で無罪を勝ち取ります。

エディ・レッドメインが演じる主人公トム・ヘイデン(Tom Hayden)はジェーン・フォンダと結婚・離婚したり、カリフォルニア州議会上下両院の議員を20年勤めたそうです。


このデモの映像を今観て、多くの人が1月6日にアメリカで起きた議事堂襲撃でもを連想するのではないでしょうか?

日本のマスコミはもうほとんどこの件を報じていませんが、今日は3日間に渡るトランプ前大統領の弾劾裁判の最終日です。



弾劾裁判をすること自体はアリだけど、トランプ前大統領自身に罪はない、という結果になる可能性が高いと言われています。

では、議事堂襲撃を起こした民間人だけが悪いんでしょうか?

「シカゴ7裁判」も、国が決めたベトナム戦争に反対した民間人が悪いんでしょうか?

平和的にデモをするだけなら問題なかったけど、暴動にしてしまった民間人が悪い?

それとも…デモ自体を禁止しようとし、一方的に悪と認識して攻撃した警察、国が悪い?

映画内では先に仲間が殴られ、それに怒ったトム・ヘイデンが皆んなに呼びかけた「血を流せ」の言葉が引き金になったという話になってしまいます。

が、コレはその後「関係代名詞をハッキリさせずに話すクセがある」ということでフォローできました。

「(俺たちの)血」と言いたかったけど、「(警察官の)血」と読み取られてしまった、ということで、これは英語を勉強し始めてから本当に困っている部分でもあります…

省略して話されてしまうと、意図を汲み取るの大変よね…

でも映画内でも引き合いに出されるように、聖書の言葉も前後を読まないと誤解を生む。

「言葉の切り取りによる印象操作」

が原因と語られるのですが、これもまたこれで、今の日本の政治家叩きに通じるものを感じました。
ちなみに私は個人的には、トランプ前大統領がずっとTwitterでバイデン氏を批判し、選挙結果も不正だと訴え続けるのを見ていたので、彼が100%無罪になったら疑問です。

今年に入ってから日本のTwitterでもトランプ前大統領支持者が陰謀論を大量にツイートするようになりましたが、昨年秋の時点ではそんな人いなかったのに、ホント謎…

直接乗り込めと言ってはいなくても、そうなる予想が出来るくらい支持者を煽っていた。

対立構造を作りまくり、それにより元々反社会的な勢力も乗っかって騒いだ事件だったのかなと思っていますが、でもだからトランプ前大統領だけが悪い、というわけでもない。

そもそもコロナで不満が溜まっていたり、政府自体に怒りを持っている人もいたのでしょう。

日本も今Twitterでは左右の人らが激昂しまくってるけど、でも日本人はあんな暴動は今時しないから、ちょっとピンと来ないですが。

ただ単純にシカゴ・セブンと今回の件を比較することも出来ません。

そもそもの主張が違うし。

しかしシカゴ・セブンはかなり早い段階で警察に止められたのに、今回の議事堂襲撃はなんであんな風に入り込めてしまったのか謎ですね。

賛成意見も反対意見も、意思表明することは大事。

でも罵詈雑言や暴力が始まったらダメ。


この境目が今でもまだフワフワしていることに、色々と考えさせられました。

0か100で語れる、決められることじゃないはずのことまで、対立構造のせいで論理的では無くなること、多いですね。

そもそも反対意見を表明するために出来ることが、署名活動やデモ活動っていうのも私はちょっと謎なのだけど。

独裁政治状態になってはいけない。

それを止めるために色んな議員がいて、討論するのが政治のはず。

でもそれがうまく機能せず、民意が反映されていないと思う人も多い。

そこで負の感情が爆発して徒党を組むと、暴動や戦争も起きてしまう…

どうしても日本人の私には、海外の人の歴史や思考回路が理解できず、情勢も分からないことだらけです。

ただ、先日ミャンマーのクーデターを伝えるNHKのニュースツイートに

「日本は無関係なんだから、わざわざニュースにするな」

とリプしている人がいて、それにはゾクッとしました。

いやいや、キリンも軍と繋がっている企業との提携を打ち切ったり、現地の日系企業の社員が被害被ったりしてるのに?

結局「俺・私の生活に無関係な海外の話は不要」と思っている人が一定数いる。

いや、私もそうだったからこそ、ベトナム戦争のことを全然知らないんですよね。

何でもかんでも首をツッコんで知るべきだとは思わないけど、海外ドラマや映画を観る上で必要な歴史の話とかは、これからちゃんと勉強していきたいなと思います。

大統領選挙のことも、本当に今までは興味なかった分、今回は驚きました…

もしアメリカ軍が始動する時には、日本にある米軍基地が利用されるため、全然無関係ではない。

ただこの辺は話す人の思想によって左右される部分も多く、何を、誰を信じて良いのか分からなくなり、結果面倒くさくなるもの。

赤紙が届くようにならなければ、日本の民間人はピンと来ないしね。

こういう時だからこそ、「シカゴ7裁判」を観ることで、民意って、国って何かなぁと考えるキッカケになる気もします。

話難しいとか、時代背景分からないし、とか思う部分はあるけど、当時の映像と秀逸な役者の演技に魅了されました。

敢えて大統領選挙の時に合わせて公開されたと言われている「シカゴ7裁判」。

この中に出てきたキング牧師やマルコムXのことも、これから調べてみたいなと思っています。
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