「難解な映画」と「説明不足な映画」は別物…「 #影裏 」の感想を読んで

2020年02月16日
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これはSNSに文句書き込む人が出るだろうな~と予想していた、映画「影裏」の感想をチェックすると、案の定のコメントがたくさんあって笑いました。


『影裏』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)

そんなにコメント数多くないのですが、そのほとんどが文句コメント…

1番酷かったのは「内容が何も無かった!金返せ!」ってヤツですね。

「つまらない映画も褒めるファン」と「金返せ厨」は嫌い

イケメン俳優を推すようになり、「日本にはこんなに、つまらない低レベル脚本映画が多いのか⁉︎」と絶望することが増えました。以前なら、つまらなそうな映画はそもそも目にも止まらないし、映画館も余程気分が乗らなければ行かなかったため、我慢して変な映画観ること無かったんですよね…好みは人それぞれなので、私が嫌いなスイーツ映画が好きな人もいる、のは分かります。しかし、どこをどう取っても内容はつまらない、それでも...


以前書いたけど、よくそういうこと言えるなー…。

あと「人なんて裏の顔があって当然だし、あの程度では影なんて言えない、よくある話だ」ってのも見かけたのですが、うーん、

「フィクションとは、日常とかけ離れた意外性が無ければいけない」という固定概念に囚われてるのかな?

と思ってしまいます。

友達だと思っていた人に頼まれて保険に加入したら、勝手に高額の契約に替えられていた

現実でもフィクションでも「そういうことも、あるだろう」と思える内容ではあります。

でも実際問題、私はそんな目に遭ったこと無いし、好きだった人がそんなことするクズと知ったらめちゃくちゃショックだと思う。

それを「そういうもの」と言えてしまう人は、平気で友人を裏切れる性格なのかしら?

とは言え所詮SNSの書き込みなんて一部の人の意見。

お金を払って映画を観た人は、自由に賛否両論言っていいものだろう、と思います。

他人にそれを読まれること前提で口コミしている人もいるし。

文句コメントの中には「まだ若くて、昔の映画とか私以上に観ていない人の意見なんだろうなぁ」というのもありました。

「難解な映画だった」とか「何が言いたいのか分からなかった」とか、そういう感想が出るだろうと思ってたら、やっぱりなって感じ。

今時な感想だなーと思ったのは、前述の「金返せ」と「震災の話が出るなら、予告で伝えておくべき」ってヤツです。

何でもかんでも与えてもらえて当然って思ってる人の存在を知ることが出来たのは、SNSのお陰と言えるかもしれません。

監督がインタビューで「敢えて説明しないことにした」、というようなことを言ってる記事を目にしたのですが、そういう価値観を認めない人もいるんでしょうね。




とか書くと、私は何様だよ?って感じですが、私が学生の頃は「恋する惑星」とか


恋する惑星 (字幕版)

「誰も知らない」とか


誰も知らない

「トレインスポッティング」


トレインスポッティング(字幕版)

が大ヒットしていて、

「難解な映画は、オシャレでカッコイイ!」

という価値観があったのです。

チェコのアニメで、めちゃくちゃオシャレだけどストーリーはよく分かんないのも流行ったなぁ。

ただ、「難解なものなら何でもオシャレか?」というと、そうではなくて。

やはり映像美や演出が秀でているモノでなければ、評価はされないと思います。

私はあまりサブカル女子ではなかった、むしろアンチサブカル派だったので、勉強と思って難解なオシャレ映画を観たりしてたけど、「恋する惑星」はよく分からなかったな…

「オペレッタ狸御殿」はオダギリジョーとチャン・ツィイーが出ているので観たら、すごく映像が好みでした。


オペレッタ狸御殿 プレミアム・エディション [DVD]

お話は、ラブストーリーなんだけど異空間っぽい感じで、ちょっとよく分からなかったのですが…
そういう時代を経験していると

「予告で内容をちゃんと伝えておくべき!」

という発想にはなりません。

BL系だと思わなかった、震災が出てくると思わなかった、酷い、金返せ

とか、いやーちょっと、そこまで面倒見る義理は無いんじゃない?

震災に関しては「影裏」は津波被害を直接出さず、増水した川の水の動きを少しスローモーションにして激しく観せることで表現していたところに、配慮を感じました。

私も手放しで大絶賛する程「影裏」を気に入った、とまでは言えませんが、難解だったとか、説明不足だったとは思いません。

セリフにしなくても、状況や心情が分かり易い演出になってたと思うんだけどなぁ。

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ただ、そういう「行間を読む」という概念自体が無い人がSNSで酷評してるのを見ると

「私は読解力が無い人間です、どやっ」

って言ってるのと同じなのに、恥ずかしくないのかなーと思う意地悪な気持ちになりますね。

もちろん、私が今まで観てきた映画の中には、「説明不足だな」と思ったものがたくさんありました。

「コレを伝えてたいんだろうけど、ならこういうシーンを入れないと分かんないよ」と思ったり

「えっと…そもそも、メッセージはなんなんですか?」と思ったりするものはありますよね。

その点、「影裏」はメッセージがちゃんと入っていた、むしろ冗長な部分もあった、と思うので、好みの違い以外の批判はちょっと意味分からないかなぁ。


「難解な映画」というのは、突然場面が切り替わったり、登場人物の心情が大衆寄りではなかったり、セリフが詩的だったり…というような、アングラ演劇のような映画の時に使われる言葉な気がします。

「説明不足な映画」は、必要な説明描写が無く、意図が読めなくて面白くない映画、かな?

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「説明不足な映画」として例を挙げるものは、ちょっと今思い出せない、というか、そういう面白くなかったもののことは忘れてしまうのでアレなんですが…

最近はむしろ、単純明快な意外性の無いアイドル映画みたいなのが増えていて、何だかなぁと思っています。

とはいえ知らないだけで、色んな映画が日々作られていて、CMしていないものもたくさんある。

色んなジャンルがあって、その中には難解なものも単純なものもあり、観客はその中から好きなものを選ぶ自由があるはずです。

なのに「好きな俳優が出ているから観に行ったのに、思っていたものと違ったから許せない!」というのは…ねぇ…

私は推しが出ている映画がつまらなかったら、つまらなかったって文句を書いてはいますが、もう観に行く前からある程度覚悟決めてますよ…

さすがに「二ノ国」の時は、倫理的にそのストーリー展開はないだろ!?と思いましたが。

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「影裏」に文句言ってる人のコメントを読む限りでは、こういう「倫理的に無い」という観点ではなく、「好みと違う」という視点で怒ってるっぽいなと感じました。

震災は不謹慎厨のことは、「あーまだそういう人生息してたのね」という気持ち。

だったら「FUKUSHIMA50」の方が、私はまだ映画化するには早い状況だろ…と思うわ…

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まぁ、私が文句言っても「良かった」と言う人もいる、それが映画の感想というものだと思います。

それでも、どうしても「難解な映画」と「説明不足な映画」は別物だろ、と思ってしまったので、ブツブツとここに書いています。

やっぱりSNSの言葉って、流行に影響を与えてしまうものでもあるからなぁ。

映画口コミサイトで酷評されていると、観に行くの止める人もいますね。

そうかー面白いかつまらないかは、自分の目と耳で確かめたら良いのになぁ。

自分の好みを把握できたら、映画を観に行く前の段階で「これは好みに合いそう」とか「これは合わなそう」とか、ポスター見ただけである程度判断つく気がするんですけどね。

私は、「影裏」は純文学系BL映画だろうと思って観て、予想以上にBLで、それはそれで楽しめました。

中村倫也の繊細な演技をもっと観たかったな〜とは、ファンとして思います。

でも推しの出演時間を長くして、ストーリーが破綻したら元も子もないから、それは仕方ないこと。

推しが出てても、話がつまんなかったら逆にショック大きいです…

推しが出てる作品を貶すな!って言う系の人もいるけど、そういう人とは価値観が合わないわ…

SNSって色んな人がいて面白いですね。

映画製作者はそういう言葉の中で、どこまでは聞き入れ、どこまでは受け流すのか、その判断基準をブレずに持ち続けて欲しいなと改めて思いました。

そして、私と近い感想を書いてる人がほとんどいなかったのを見て、私ってやっぱりマイノリティなのねぇ…と思ったりもしたのでした…
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