皆川明「つづく」単独クロストークの感想~蝶々の羽が2枚の理由

2020年02月11日
美術・デザイン 0

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今日は東京都現代美術館に行き、皆川明の展示「つづく」鑑賞と、彼の単独クロストークを拝聴してきました。



実は葛西薫さんとのクロストークも当たっていたのですが、そちらは行けませんでした…

理由は、直前にチケットぴあで当日券を買ったら、Cloakでの受け取りは24時間後になっていたのです…

それ、当日券て言わなくない?

しかも、ぴあだと手数料かかるのね。

ただ、美術館窓口での当日券購入は1時間近く並ばないと買えない大人気の展示会。

講演を聴くのにはチケット半券が必要なため、葛西薫さんのトークは諦めたのです…

本日はちゃんとチケットをコンビニで発券し、清澄白河に向かいました。



海外で見つけた素敵な人、動物、風景の写真をスクリーンに次々と映し出しながら、minaの立ち上げ当時のこと、アパレル業界のこと、質問への回答を1時間堪能。

15年ちょっと前くらいにどハマりして著書を読んだりしていたので、皆川明さんが魚市場で働いていたことなどは知っています。

が、当時のアパレル業界のこと、今の状況を聞き、ハッとしたことがありました。

それは「どうしてデザインの中で洋服だけ、シーズンが終わるたびに価値が半減してしまうんだろう?と思った」という言葉です。

私は今日身につけていたものは、昔買ったminaのスカートと靴下以外、全てセールで買ったものでした。

ポール&ジョーのコートも、ドレステリアのウェアも、サルトルのブーツも、ブラデリスの下着もセール品。

「質の良いものをセールで買いたい」

と思っていますが、それがアパレル業界に良くないことはもちろん分かっています…


mina立ち上げ当時は、デザイナーズブランドからセレクトショップへ人気が移行していた時期でした。

だからこそ、皆川明さんは1人で作った数着の服を各店に持ってまわり、置いてもらえたそうです。

確かに私はユナイテッドアローズや伊勢丹のセレクトコーナーでminaの服を買ってました。

ただ、その時もセールで買ってたのですが…

その後は白金台のお店に通い、セレクトショップには無い旧作を見つけたら、喜び勇んで買ってました。

当時は本店に、新作ではないはずのものもたまに1着だけ置かれたりしてたのです。

minaがミナペルホネンに名前を変え、徐々に値段が上がり、テキスタイルの新作に魅力を感じなくなり、足が遠のいていた、というのは正直な気持ちです。

それでもその間も、ミナペルホネンは次々と新作を発表し、固定ファンを惹きつけていますね。

クロストークの会場には、いかにもミナペルホネンが好きそうな30~50代の女性がたくさんいました。

実はミナペルホネンの大ファンって、あまりオシャレさんはいないイメージです。

すっぴんだけど髪は編み込みし、可愛いミナペルホネンの服を着てるおばさんが多い気がして…

外人さんが着たらめちゃくちゃ可愛いお洋服なのだけど、地味な日本人が着たら浮いてしまう。

そんな風に気後れしてしまって、ミナペルホネンへの憧れは持ちつつも、新作を買わなくなって何年も経つのですが、でも皆川明さんのお話を聞くと

「やっぱり、長く愛されるお洋服って素敵だよな」

と思わされました。

誰がどう思おうと、好きな服を着たい。

そう思われるために、マグロは尾の断面だけで値段が決められてしまうのを見てきた経験を活かし、ミシン目の数や間隔、素材にこだわってき続けられたミナペルホネンは、本当にすごい!
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クロストークは皆川明さんが事前に書いておいた紙を基に話されていたのですが、途中で

「あれ、1時間て長いですね。

時間まだあるなぁ。

どうしましょうか、質問があれば答えましょうか?」

と笑いながら言われ、会場に笑いが起こりました。

1人の方の質問に答えた後に

「あ、すみません、紙が2枚かと思っていたら、もう1枚ありました。

全部で3枚用意してたんですね、通りで時間が余ったはずだぁ」


と、ゆったり話す皆川さんの人柄、ホント癒されます。

4人程質問していたのですが、1人の質問がとても面白かったのでご紹介します。

「私の娘もミナペルホネンが大好きなんですが、蝶々の柄を見て

『蝶々の羽は4枚なのに、どうしてこの絵は2枚しか無いの?』

と聞いてきたんです。

なんて答えれば良いか分からなかったのですが、どうしてですか?」

これ、すごく子供の率直な質問って感じですよね。

皆川さんは

私はイメージで描いてしまうことが多くて、羽を2枚で描いた後に、実は4枚だって気付いたんです。

それで4枚のパターンも描いたことがあるのですが…

でも飛んでいる蝶々を見ると、4枚には見えないんですよね。

うーん、でも、お母さんが毎日ご自分の想像で、『こういう理由で2枚なんだよ』と話してあげるのも面白いんじゃないですか?」

と笑いながら話していました。

私もminaの影響か、蝶々は羽を2枚で描いてしまうのですが、何故?と聞かれたら

「4枚だとリアル過ぎて、2枚の方が可愛いから」

と言いたくなってしまうかなぁ。


クロストークの後は展示を観ました。

撮影OKなところも多く、懐かしのテキスタイルをパシャパシャ。

この猫柄のエッグクッション、擦り切れるまで使ってたなぁ。



雪の日はミニバッグを持ってます。



サニーレインはワンピースが飾られてました。



ソーダウォーターはエッグバッグと靴を持ってたけど、ジャケット欲しかったなぁ。




この作品が発表された頃と今では、洋服の生産量は増えているけれども、業界の売り上げは70%となっているそうです。

つまり、安い服が大量に作られるようになった、ということ。

そんな時代の中でも、ミナペルホネンはずっと愛される1着を作ろうとし続けています。

事実、私も15年近く持ち続けてますし、このまま捨てる日は来ないはず。

展示会の最後は、そんな風に長年ミナペルホネンを愛用した方が持っている服とメッセージが飾られていました。

実はこのコーナーの最後、私は泣きそうになると共にゾクッとするものを感じ、美術館を出た後に蕁麻疹を発症しました。

「昨年亡くなった妻が9年間愛用していた服です。

ミナペルホネンの服を着ると、日頃のストレスから解放されるように笑っていました」


というような内容が、ワンピースに添えられていました。

旦那さんの愛情と、奥様の洋服への愛情と、遺品だという事実と、皆川明さんが追い続けてきた「つづく」というテーマをズシリと感じ、二の腕がゾクゾクとして堪らない気持ちになったのです。

怖い?羨ましい?感動?何だか色々な感情が皮膚に纏わり付いた気持ちになりました。

大好きだった洋服に執着しなくなった自分にも、ゾクッとするものがあります。

なんだかこう、ミナペルホネンを見ると色々と青春時代の自分に睨まれてる気持ちになって、焦燥感でヒリヒリしたりもするんです、実は。

いたたまれない気持ちで会場を出て、お土産コーナーを見ました。

何か買いたいと思っていたのですが、イマイチ私の好きなテキスタイルのアイテムが無く、帰路に着く途中で昼ごはんを食べようとしたらどんどん蕁麻疹で痒くなったのだけど、これなんなの…?

今はまだちゃんと、展示会とクロストークのことが自分の中で消化できないまま書いていて、すみません。

展示は東京ではもうすぐ終わりますが、6月から神戸でも開催されるとのこと。

ご興味ある方は、是非是非!
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