#松坂桃李 &尾野真千子ドラマ「 #微笑む人 」原作ネタバレ感想~理不尽な殺人の理由は

2020年02月11日
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3月1日(日)よる9:00テレビ朝日系列放送、松坂桃李と尾野真千子が出演するドラマ「微笑む人」の原作を読みました。



「部屋に本を置くスペースを作りたかったから」

という不可解な理由で妻子を川で殺害したエリートサラリーマン仁藤。

この事件に興味を抱き、仁藤の人間性を過去に遡って調べるノンフィクション作家のお話です。


微笑む人 (実業之日本社文庫)

小説自体は、このノンフィクション作家が出版した本、という体裁になっているので、

「皆様も当時ワイドショーなどでご覧になっただろう」

などと書かれていて、仁藤の事件が本当にあったことなのか?と錯覚しそうになりました。

イケメン、高身長、東大卒の頭脳明晰、運動神経も並以上、いつも笑顔を浮かべた穏やかな好青年で、育ちも中流以上の仁藤。

松坂桃李にピッタリの役ですね。

尾野真千子がこのノンフィクション作家の役をするのでしょうか。

だとしたら、松坂桃李の出番は冒頭から中盤にかけて、がメインになると思われます。

原作のこの小説は、冒頭から中盤まではあまりにも面白くて、ゾクゾクする内容と共に、リズムのよく知的な文章力に圧倒されました。

推しのはずの新田真剣佑の出演作さえボロカスに言う私ですが(そのせいで、私の悪口を匿名掲示板に書き込む人がいますが、これがマイスタイルっす)、判断基準はあくまでも自分の好きなクオリティ優先!

大好きな創作物、漫画や小説や映画は、出演者がだれかなんて関係ありません。

そういう意味で、この小説は文学的なクオリティがかなり高いと思います。

が、原作読まずに内容だけ知りたい方のためにネタバレ感想を書くと…


この小説は、あくまでもノンフィクション作家が取材をまとめた、という体裁のため、

「何故、仁藤な不可解な理由で妻子を殺めたのか?」

の明確な答えは最後まで出ません。


ただ、周囲の人が「あんな穏やかな優しい人が、妻子を手にかけるなんてありえない」そう言われる仁藤の過去には、不可解な死を遂げた人が次々と出てきました。

●仁藤の先輩社員が白骨死体で湖から見つかる

●大学時代の友人がトラックに轢かれて事故死

●事件を追った刑事は、仁藤に暴行を加えたという濡れ衣を着せられて辞職に追い込まれる

●中学時代に近隣の家族の旦那さんがトラックに轢かれ事故死

●小学生の時の同級生の父親が転落死

そして、仁藤の妻も、学生時代に同じ塾でバイトしていた同級生(事故とは無関係)も、小学生の時の同級生も、名前が「ショウコ」だった。

これらは全て仁藤の仕業ではないのか?

そう考えながら記者は取材を続けていきます。


完全無欠に思われた仁藤を、怪しんでいた人は若干いました。

しかしそれも証拠不十分な、気のせいかもしれない、で済まされそうなレベルの話。

それでも時々、仁藤は自分に反感を頂いている部下がミスをしたとき「死ねよ」と冗談のように呟いたりもしていました。

中学時代は犬を異様に怖がり、修学旅行先で犬に軽く投げた石をぶつけようとしていた過去も判明します。

それでも、仁藤が異常な人間であるという証拠は見つかりませんでした。

不倫を持ちかけようとした女性さえも、やんわりと妻子の存在を伝えて撥ね付けています。

手をかけたはずの妻とは、交際中に一度別れたけれど復縁。

最初は仁藤の方が積極的に妻に好意を抱いていた様子もありました。

この事件を追っていく途中まで、大学生時代までは、本当にグイグイと引き込まれる文章で構成されていました。
しかし、大学時代に仁藤を追った刑事の話のあたりから、急に展開がありきたりな、無難な文章に変わっていってしまっていたのが残念です。

なんだかこう、無理矢理仁藤を悪者に仕立てよう、という荒業を感じるのです。

ただ、これさえも計算のうちかもしれませんが…

最終的には、仁藤が小学生の頃親しくしていた女の子「ショウコ」が、仁藤を簡単に殺人に手を染めてしまうような人格に変えてしまったのかもしれない、と示唆したところで物語は終わります。

「ショウコ」は、まるで仁藤のような穏やかな笑顔を投げかけて消えるのです。

この「ショウコ」の父を転落死させたのは、転落した義父から虐待を受けていた「ショウコ」自身でした。

その手伝いを頼まれた仁藤には、実行できなかったのです。

それでも、もしかしたら仁藤は「問題を解決するためには、人を消せば良い」と考えたのかもしれない。

答えは分からないながらも、この前半から中盤にかけての松坂桃李の演技は観物だと思います。

なにしろ、爽やかイケメンに見えるのに闇を抱えた役が似合い、ラジオではアホアホなくらい遊戯王ゲームアプリの話を嬉々としてするオタクな男…。

尾野真千子も「フジコ」では恐ろしい殺人鬼を演じていた演技派。

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この二人の演技が観られるだけでも楽しみなのに、原作が良いとなれば、期待大!

推しの中村倫也出演「不協和音」がいつ放送なのかヤキモキしているのですが、ストーリーだけ見れば「微笑む人」の方がクオリティ高いでしょうね。

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あっちは原作がおっさん臭くて…

「微笑む人」の面白さは、やはり異常な殺人動機と、異様な仁藤の得体の知れなさがポイント。

そして最後「誰もが納得する筋道があるとは限らない」という、視聴者の既成概念をぶっ壊すリアルを放り投げる構成が素晴らしい!

実際の殺人事件だって、いくらワイドショーが追ったところで、真相は分からないものですからね。

この原作は、あらすじを知っているから読まなくても良い、というレベルの小説ではないと思います。

ドラマでは改変している部分も大いにあるかも知れません。

松坂桃李ファンだけでなく、小説好きの方は是非ご一読下さい。

ページをめくるのが楽しみで震える、という体験を久しぶりにできました。オススメです。
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