昨日書いた、会田誠の講義を「セクハラ」と言って大学を訴えている大原直美さんの記事、このブログ始まって以来のアクセス数となっています。



●会田誠の授業をセクハラで訴えた大原直美39歳女性のこと

ユニークアクセス(訪問者数)が2万人越えてる…!

過去最高でも1万UU行かなかった気がするし、最近は1日3千人前後だったのに、この話題性はすごいなぁ。

特にアクセス数を稼ぎたくて書いた記事ではなく、yahoo!ニュースのコメント欄で話題になってて、ニュース記事を読んでもイマイチ全体像が分からなかったので、元美大生として気になって調べつつ、まぁ自分なりに思うことを書いただけなので、このアクセス数には驚き。


以前五輪エンブレムの件を書いた時には、炎上してものすごい罵詈雑言&同意のコメントが届いていたのですが、今回は1件も届いていません。

それだけは心からホッ。

Twitterでチラホラと、このブログのリンクを貼って同意のツイートをしている方や、ブログのスクショを貼っている人を見かけました。

スクショは無断転載だから止めて…。

昼のニュースでもこの話題が出て関心を持つ方が多かったようで、同僚にも話してみました。

この同僚、仕事は事務職ですが、休日には美術館にもよく行くし、漫画や小説をよく読むちょいオタクなアラフォー女性なので、会田誠のことも知っているだろうと思いつつ、一応

「会田誠って知ってる?」

という質問から話を始めようとしました。

すると

「会田誠?知らない」

と返ってきて、ビックリ!


「え、あの、キレイ系漫画っぽい絵で美少女とグロを描いてる、有名な現代アートの作家なんだけど…」

と説明している間に彼女もググッて会田誠の絵をスマホで確認していたのですが

「見たことない」

と言われました…。

「そうかー。

私の世代だと、若い頃に村上隆と奈良美智と会田誠は、セットで現代アート作家として覚えてるんだけどねー」


と言うと

「村上隆と奈良美智は分かる。

え?そのレベルで有名な人なの?」


と聞かれました。


村上隆完全読本 美術手帖全記事1992-2012 (BT BOOKS) [ 美術手帖編集部 ]


奈良美智:SELF-SELECTED WORKS-PAINTINGS [ 奈良美智 ]


ど、どうなんだろう…

私は美術館の展覧会情報を見たら会田誠の展示が紹介されてるの見たり、美術系雑誌でもよく紹介されてたし、檄でニュースにもなってたから、世間的に有名な人だと思ってたけど…。

ただ、私は個人的には現代アートはよく分からないので、積極的には観ません。

同僚も同じ気持ちで、現代アートには触れずにいたそうです。

彼女にとって「美術」は「趣味で観るもの」であり、私のように「勉強」と思っているジャンルでは無いんだな、と改めて気付きました。

いや、全然それで良いんです。

美術館は勉強の為だけに行く場所じゃないし。

だから、興味ないジャンルはスルーして当然。

同僚のキョトンとした顔を見て

「あー、大原直美さんも、こんな感覚で美術と触れてきていたのかもなぁ」

と思いました。


私は会田誠の著書などちゃんと読んだことはありませんが、

「美とエログロの境界線」

「美と欲情の境界線」

「美と犯罪の境界線」


等を考え、それを絵として表現しながら、自分なりに探ってきた方なのかなぁと思っています。

作品作りなんて私も長らくしていませんが、自分の中で

「この考え・アイディア・感覚をビジュアルとして起こすには、どうしたら良いのだろう?」

と考え、手を動かすのが美術だという認識です。


自己満足なだけではなく、他者にもメッセージが伝わらないといけない。

私が現代アートが苦手なのは、ぱっと見興味を惹かれないビジュアルなのに

「その作品を観てメッセージが何か考えないといけない」

という強迫観念を与える作品が多いからです。

「解釈は観た人それぞれにお任せします」

ってポーンと置かれても、ねぇ…

って思ってしまうので、正直面倒くさい。
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ので、見た目が美しかったり面白かったりして、

「コレってどういうことだろう?」

と考えながらタイトルや説明を読み、納得出来て更に考えを深めたくなるような作品を作りたいなぁ、と学生時代には考えていました。

ただキレイなだけじゃない、その中にメッセージのこもったモノが作りたくて、紙やガッシュや水彩絵の具等を使って作品を作る。

「そうそう、この表現!」

っていうのが自分の中で腑に落ちると、アドレナリンが出る感覚がありました。

でも、そんなこと受け手には関係ないんですけどね。

学生時代に教授から言われていたのは

「作品は自慰行為であってはならない」

でした。

なので、作品を作りながら何度も自分の中の第三者に

「コレって独りよがりになっていない?大丈夫?」

と尋ねながら手を動かし、離れて観てみて、考えて、足し算引き算をしていたなぁ。


で、そういう経験があると、一応何かしら作品を観た時には

「コレってどんなメッセージがあるんだろう?」

と考えたりするし、話題なジャンルがあれば、知識として知っておくのが勉強だと思い込んだりします。

Twitterでは、会田誠が講義で見せた作品や話の内容の文字を見て

「確かに、そんな内容は大学が取り扱うモノでは無い」

ということを呟いている方もチラホラと見かけました。

んー、私はそういう性的な表現をする写真や絵を色々観てきているから

「割とよくあることです」

と思ってしまうのですが。

海外のハイファッション系の有名カメラマンの作品集を見たら、裸バーン!グロさドーン!だらけでビックリしたこととかあるし。

「えー、この人もこんな自分の裸晒して作品にしちゃうんだ!」

と思ったことも何度もあります。

「エロ」とか「死体」とか衝撃的なモノを題材にした作品は多いですね。


でも大原さんや、会田誠の講義内容は大学が取り扱うのに相応しくないとツイートした人にとっては、

「美術とは美しく高尚なものや、歴史的価値があるもの」

「大学とは、一般的に真面目と認識されていることを勉強する場」


という価値観だったのかもしれません。

そういう人が、目の前でいきなり思ってもみなかった箱を開けられて、ビックリしたのかなぁ。

それならそれで「そういう世界もあるんだ」と知る機会だったのかなと思うのですが。

そして気になるのが、やはりTwitterでチラホラと見かけた

「大原さんを無知だと一言で片付ける人たちは、自分たちは理解している、と上から目線で馬鹿にしている感じで嫌だ」

という考えの人がいる、ということです。

んー、そういう価値観の人もいると思うけど…

やはり五輪エンブレムの時に

「あー私達美術系の人間にとって普通なことは、世間では普通じゃない、理解できない、偉そうにしている価値観、に見えることがあるんだな」

と学んだので、今回の件も「そういうこともあるんだな」という気持ちで見ています。


「激辛ラーメンの店に行って、『こんなに辛いと思わなかった!訴えてやる』って言ってる感じ」

と例えていた人が何人かいましたが、私から見ると

「ラーメンが好きだから話題のお店に入ったら、そこは激辛ラーメンの店だった。

それまで世の中に激辛ラーメンがあるということを知らなかったので、そんな普通じゃないものを出されると思わなかった」

と怒っている感覚なのかな、という気がします。

それならそれで、相容れないなら、お互いに境界線をハッキリさせておきましょ、と思っちゃうかなぁ。

「こんな激辛ラーメンはおかしい!この世から無くせ!」

って勢いで被害を訴えてこられたら、それを好きな人達を守るためにも、糾弾者を排除しようとするかもしれない。

そういう世界もあって、それを好きか嫌いかは人それぞれ。

暴力も犯罪も、美術のテーマとして扱われることは多いし、それを学ぶ授業も大学では多い。

大原さんがどんな十代、二十代を過ごされたのか分かりませんが、彼女なりに美術が好きだったので、裏切られた気持ちだったのかもなぁと思いました。


以前、目黒の庭園美術館に行った時に、ある映像作品の入り口がカーテンで閉じられていて、

「この作品には死体が出てきて衝撃的なので、苦手な方はご覧にならないで下さい」

という内容の警告文が貼られていました。

中に入って見ると、事故で亡くなった方々の遺体が並んだ場で、女性が歌いながら遺体に花や美しい布を掛けていく、という内容の映像で

「これって、アートなのかな?不謹慎なのかな?どっちなんだろう」

と思いました。

海外の作品だったので、日本人とは遺体に対する気持ちが違うのかな?と思ったり。

美術とはそういう、自分とは違う価値観の人の考えを観るものなので、どうしても

「嫌なら観るな」

となってしまうジャンルなのかもしれません。

それを受け入れる人がいるなら、排除は出来ない。


それでも、こういうニュースがあったことで、人それぞれが自分の中の境界線について考えることになったなら、やはりそれが「美術」なんじゃないかなと思います。

分かっている気になって、上から目線で言ってるのではなくて、私の中ではそういう認識、というだけなのですが…

個人的にはやっぱり「セクハラと訴えるのは違うだろ」なのですが、でもこうやってニュースになったことで、大原さんの心の傷が更に深くなってしまったかもしれないな、と思うと、何とも残念な気持ちになります。

ということで、「美術鑑賞が好きな人の中には、会田誠を知らない人は、本当にいた」ということをお知らせします。

「知っていて当然」なんて言えませんね。

でもって会田誠は別に「万人に知られたい、受け入れられたい」と思っていないと思うし、そもそも美術とは「万人が受け入れなければいけないモノ」ではないと思います。

そういうジャンルもあって、一定数の評価を得ているというのが現実。

それをどう判断するかは人それぞれなのですが…大学がうまく対処する方法が、何かあったのかな?

何を言われ、どう返したのか詳細は分かりませんが…

もし私が大学職員だったら…実は心から彼女のショックに寄り添って、優しい言葉はかけられなかっただろうな、と思ってしまうのでした…義務教育じゃないからさ…

でもそういう言葉で、より一層大原さんを傷つけるのもダメですよね。

そういうことを考えるキッカケを会田誠がくれた、という解釈しか、私には出来ません。
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