2018年9月に発売された、三浦しをんの「愛なき世界」。

少しずつ少しずつ読み進め、やっと読了しました。

面白くないから時間をかけて読んだのではなく、単行本をお風呂に持ち込み、温まる間に読む、というペースだったので、湯船に入らない日、他に読むマンガがある日、でズルズルと時間をかけていたのと、

お話のペースがゆったりまったりしていて

「続きはどうなるの?」

とヤキモキする内容ではなかったので、区切り区切りで止めながら読んでいる感じでした。

読み終わってからインタビューを見たら、こちら新聞連載小説だったんですね。

区切り区切りで読んでも大丈夫な構成になっていたから、私もゆるゆると読んでいたようです。


愛なき世界 (単行本)


物語は二部構成になっていて、前半の主人公は洋食屋の見習い・藤丸陽太。

ビジュアルイメージは、勝手に新田真剣佑(可愛いバージョン)でお願いします。



後半の主人公は、藤丸が片思いする大学院生・本村紗英。



ビジュアルイメージは、吉岡里帆で。

東京大学がモデルの大学近くにある、老舗洋食屋で見習い中の青年・藤丸。

べらんめえ口調な大将の元で日々修行をしていて、頭は良くないけど能天気で明るい元気なタイプ。

藤丸が働くお店に時々やってくる、正体不明な年齢もバラバラの男女集団がいて、一体どういう人達なんだろう?と思っていたある日、彼らが大学で植物学を研究している人だと分かります。


ランチの配達で大学に行くようになり、本村が研究しているシロイヌナズナを見せてもらう内に、藤丸は本村に恋をしました。

本村は大人しくて優しくて真面目で、天然なところのある可愛い女性ですが、葉っぱの気孔プリントのTシャツを来たり、料理が下手だったり、常に化粧っ気のない女子力イマイチさん。

本村が今一番大事にしているのは、シロイヌナズナを育てて研究すること。

告白するも、藤丸はフラれてしまいました。

「このまま恋も、生殖にも興味を持たずに研究していて良いのかな?

これで研究結果が出なかったら、どうなってしまうんだろう…」

そんな風に不安な気持ちを持ちながらも、それでもシロイヌナズナの生態を調べ続ける本村。

「どうして葉は大きくなるんだろう」

「どうして枯れたら落ちるんだろう」

そんな、一見当たり前のことだけど、聞かれたら答えられない生態を日々研究している植物学は、私は全く知識がないので面白かったし、なるほどと思うことがたくさんありました。
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本村が在籍する研究室の教授、先輩、後輩たちは、みんなそれぞれ違う研究をしています。

自分の研究対象に向き合いながらも、時々協力もし合う、信頼し合った仲間たち。

本村は遺伝子をかけ合わせて「四重変異体」のシロイヌナズナを生み出す実験をしているのですが、その実験内容はさすがに読んでいてもポカーンでした。

三浦しをんなりに解釈をして分かりやすく説明してくれているのですが、

「うーん、そんな詳しい説明をされても…」

って感じ。

元々「舟を編む」を読んだ大学教授から「植物学をテーマに小説を書いてみては?」と言われて書き出したそうですが、辞書作りの説明はまだ想像しやすいけど、植物の研究の状況は想像し辛いです…


読者と同じ感覚で、藤丸は日々本村や研究室メンバーから植物の話を聞き、料理との共通点を見出して興味を持っていきます。

物語のクライマックスは、本村が実験の初期に遺伝子を選び間違えたことが発覚したところ、です。

誰にも相談出来ずに一人で悩んでいた本村を、研究室のメンバーは励まして導いていき、藤丸も本村の決断の後押しをしました。

そして、本村が念願の「四重変異体」を作れたと分かった時、興奮する本村を見て、藤丸は再度告白をしました。

が、答えは

「今まさに、植物に人生を捧げようと思ったので」

ということで、ノー。


普通の物語なら、最後はハッピーエンド、二人の恋もうまくいくはず。

でもこの物語のタイトルは「愛なき世界」。

物言わぬ、感情も無いはずの植物が、何故繁殖して成長し、枯れていくのか。

そこに魅了され、研究していく人間のお話なのです。

人間関係のお話はとてもシンプルでホッコリしますが、読後は地球や自然について、不思議な、心の中が広がるような感覚になる小説でした。

三浦しをんの作風は幻想的なものから、ハードボイルドなものから、爽やかな青春モノから、オタク向けのものまで色々ありますが、これは青春モノに属するお話でした。

植物学に興味がある方は、ぜひ!

三浦しをんのインタビュー記事リンクも貼っておきます。





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