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映画「影裏」ネタバレ感想~女装・中村倫也の出演は3分くらい

中村倫也が美しい女装をしている、ということで、公開初日の本日映画「影裏」を観てきました。

主人公の今野秋一を演じるのは綾野剛。

今野が想いを寄せる元同僚の日浅を松田龍平。

中村倫也は今野の元彼(元カノ?)副島役。

映画の内容は、一言でいえば、サブカル純文学系BL映画でした。

いやー綾野剛の生足、パンチラ、お尻ってか全裸、多かったー。

パンツ1丁姿で、ベランダのジャスミンにお水を与えているシーンなんて、「もっ…もっ…り…」となりました…

足の形がキレイだし、肌白いし、Calvin Kleinのショーツと背中が見えるのとか、もう20年前からあるあるのお色気カットで、いっそ懐かしいわ!

目つきとか口元とか「え、綾野剛って、まだこんなに色っぽい容姿なんだ!」とビックリしました。

物静かで戸惑いがちな初々しい青年、色気のあるオシャレな文学青年を見事に演じていて、最近はもう綾野剛はオジサン枠に片足入ってるのかと思い込んでたことを反省…。

「日本でいちばんわるいやつら」の時は太ったジャンキーを演じていたので、落差がすごい!

「突然居なくなった元同僚を探すうちに、思いもよらなかった彼の裏の顔を知る」ということと、「どうもゲイものらしい」ということだけ前情報として仕入れていたのですが、ゴリゴリに腐女子が好きなシーン、表情、仕草盛り込んでたなぁ。

「ざくろは人肉と同じ味がする」とか、腐女子が大好物なヤツがバンバンでてきます。

映像の色味が、デジタルじゃなくフィルムみたいな、青と銀を混ぜてザラリとさせた感じで、めちゃくちゃ私好みでした。

中村倫也の出番は3分くらいだったので、あまり映像美やBLに興味が無い方にはオススメできません。

「ゆれる」とか「さよなら渓谷」とジャンル的には近いのかな?

映画自体が1冊の綺麗な写真集みたいで、好きな人は好きだし、分かりやすいストーリーしか受け付けない人には退屈な映画かと。

私は前者なので、中村倫也抜きにしても楽しかったです。


岩手テレビ開局50周年記念作品なので、岩手PRのためかのように美しい自然風景がたくさんたくさん出てきました。

以降、ネタバレありのストーリーです。

埼玉の本社から盛岡に転勤してきた今野は、飄々とした日浅に話しかけられる内に、友情を越えた感情を持ち始めます。

日浅は地元で父親と二人暮らし、母親は既に鬼籍に入っていて、大学の4年間は東京に住んでいたとのこと。

「あの4年間で、俺の東北弁はすっかり消えたよ」

と標準語で話しながら笑う日浅。

一緒にお酒を飲んだり、映画を観たり、釣りをしたりして仲良くしていたのに、ある日突然日浅が前日付で退職したことを今野は知ります。

携帯を持っていない日浅に連絡することも出来ず、今野は呆然。

しかし現実を静かに受け止め、休日は1人で釣りをしたり、本を読んだりし、日浅を探しはしませんでした。


そこへ副島から

「お久しぶり。出張で盛岡に来ているので連絡しちゃいました。明日の朝帰ります」

というメールが来て、今野は副島の泊まるホテルまで会いに行きます。

副島は一年前に性転換手術を受けており、嫋やかな女性の姿をしていて、仕事も順調とのこと。

その後副島の泊まる部屋まで一緒にエレベーターに乗りましたが、ドア前で今野は

「じゃあ、気を付けて帰ってね」

と別れの挨拶をしました。

てっきりそのままベッドへ…と思っていた副島は驚きと落胆の表情を見せますが、微笑みながら

「秋一、ハグしよう」

と手を広げ、2人はハグ。

「誰か良い人いるの?」

と聞く副島に、今野は

「いないよ」

と答えますが、脳内では日浅のことを考えていました。

その後、休日に自宅で昼寝していた今野の元に、フラリと日浅が現れます。

現在は保険セールスをしていて、営業成績トップとして表彰された、と賞状を見せました。

今野は戸惑いと憤りの混じった表情を浮かべた後、穏やかに変わらぬ声で

「すごいね」

と日浅を迎え、また付き合いが始まります。

今野の部屋で2人で飲みながら眠ったある夜、目覚めた日浅は今野の首元に蛇がいることに気付きました。

蛇を摘まみ取って外に投げた日浅に、今野は思わず抱きついてキスをし、拒まれてしまいます。

しかし翌朝「釣りに行こう」と日浅に言われ、2人はあの夜のことは口にしないまま友情が続きました。

それからしばらくして、「どうしても今日中にあと1件契約が取れないと、会社に切られてしまう」と日浅に頼み込まれ、今野は死亡時の保険に加入をします。

その後、東日本大震災が起こりました。

救援物資配送作業で残業続きだった今野は、帰り際に日浅と親しくしていたパート女性から呼び止められ

「日浅は津波で亡くなったかもしれない」

と言われ動揺。
日浅は今野と再会するより3ヵ月ほど前にパート女性の元に現れたこと、

女性は頼まれるまま3人分保険に加入し、更に30万円貸していたこと、

返金を求めようと携帯に電話しても繋がらず、日浅の会社に電話したが「行方不明」と言われたこと、

津波が来た時、どうしても契約を取りたい日浅は沿岸の地域に行っていたこと、

更に2人は男女の関係もあったと匂わせる発言(会社に二人の関係を聞かれたときに、咄嗟に「彼女です」と言ってしまった)を聞き、呆然とする今野。

その後、日浅の父(國村隼)に会いに行くと

「次男とは縁を切ったので、捜索願いは出しません。

昨年、アイツは卒業証書を偽造していた、それを勤め先にバラすという脅しの連絡が来ました。

調べた結果、大学に入学自体していなかったことが分かり、2月に縁を切ったんです。

あんなヤツを探すために、被災地の方の手を煩わせるわけにはいきません」

と言われます。

次に日浅の兄(安田顕)に会いに行きましたが、兄も弟を探す気は無いようでした。

それでも、父や兄の口から聞く日浅の話は、今野が日浅から聞いた話とキチンと重なる部分も多く、彼の語ったこと全てが嘘だったわけではない、ということも分かります。

最後に会った夜釣りの日に

「お前は分かった気になっているだけだ。

人を見る時は、表面じゃなく、影の1番濃いところを見るんだ」


と語っていた日浅のことを思い出す今野。

帰宅してポストを開けると、そこには日浅の勤めていた会社からの封筒が入っていました。

中を見ると、そこには「契約内容変更のお知らせ」と書かれた用紙が。

慌てて今野が以前届いた封書関係を漁って確認したところ、知らぬ間に湯浅が勝手に契約保険内容のランクを上げていたこと、オプションとして結婚式費用も入っていたことを知りました。

今野も、日浅に騙されていた人間の内の1人だったのです。

時は経ち、日浅を連れて行った川に恋人を連れて行った今野は、そこで幻のように一瞬川辺に立つ日浅を見つけました。

目を凝らすと、もうそこに日浅はいません。

今野は恋人の両親と今度の休日に会う約束をして、終わり。


という、結局日浅の生死は分からず、ヤツの本心も分からず、なモヤッと感のある映画でしたが、そのモヤっと感が良いとも思います。

中村倫也が演じた副島は、今野はゲイだと観客にハッキリ分からせるためのポイントとなる存在でしたね。

本人も繊細に演じたとツイートしていましたが、指先、足先、目の動き、全てすごくキレイだった!

ただ、中村倫也は顎が男っぽいんだなとは思いました。

しかしあれだけ品の良い女性を演じられてしまうと、「女として本当に負けた…」と思わされます…

今野と一緒にエレベーターに乗っている時の、「あれ?このままベッドに行くんだよね?良いのかな?」と思っているんだろうな~という上目遣いで戸惑った表情とか、めっちゃ可愛かった!

ハグしながら「タバコまた始めたんだ」と優しく話しかけ、匂いを嗅ぐように、名残惜しむように肩口に顔を埋める仕草とか、ああいう繊細な演技は本当に上手いですねぇ。

今野は前半は「僕、総受けです!」感凄かったのに、副島も今彼もフェミニンだったけど、リバなのかしら?

あ、ここまで松田龍平のことを何も書いていませんが、松田龍平はいつも通りだった、と思ってます。

彼は飄々とした役しかしていないんじゃないか?と思うくらい、いつも同じ感じなんだけど、全部魅力的。

私は彼のデビュー作「御法度」を映画館で観てますが、

「え?この子が絶世の美少年役なの?微妙な顔じゃない?」

と思ったことは忘れられませんね…

でも、なんか良いんですよね~イケメン枠ではないし、すごく演技が上手いわけではないけど、飄々とした雰囲気で場の空気を変えられる役者さんだなー。

ということで、映画「影裏」はかなり好みが分かれると思いますが、ハマる人はハマると思いますので、ご興味ある方はぜひぜひ。

腐女子と綾野剛ファンなら、ニヤニヤすること請け合い!
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