原発と恋、清水玲子「月の子」ネタバレ感想

2019年04月26日
マンガ
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最近また電子書籍で買い直して、清水玲子の「月の子」を読んでいます。

名作なのでご存知の方も多いと思いますが、古い作品ではあるので、知らない方もいるかも?とご紹介してみます。

あらすじ

童話「人魚姫」のモデルは、実在する美しい人魚「セイラ」だった。



人魚達は10年に一度の産卵期に地球で卵を産み、孵化した子供達は宇宙に渡って育ち、そしてまた地球に戻ってくる。

しかしセイラは人間の王子に恋をしてしまい、婚約者のポントワを捨てて王子との間に卵を産みました。

そして、王子に好かれたいが為に、仲間の人魚達を「魔女狩り」の対象として密告していたのですが、結局王子は別の人間の女性と恋に落ちてしまいました…

人魚の寿命は200~800年。

セイラは産卵後に亡くなってしまいましたが、セイラの姉妹が3つ子の子供たちを月で育てていました。



「ベンジャミン」「セツ」「ティルト」の3人は、まだ未成魚なので性別はありませんが、産卵期には1人だけ女になり、卵を産むことができます。

少年のような姿の3人は、月から地球に降りてきました。

が、唯一の女になることになった「ベンジャミン」は、交通事故に巻き込まれて記憶を失ってしまいます。


車を運転していたのは、かつて天才少年ダンサーとして名を馳せた「アート・ガイル」。

天才バレエダンサーだった父を持つアートは、モダンダンスに転向して以降伸び悩み、売れないダンサーとなっていました。

孤独で面倒見のいいアートは、自分の名前も人魚だということも忘れた「ベンジャミン」に「ジミー」という名を付け、共に暮らし始めました。

その頃、セイラの婚約者だったポントワの息子「ショナ」も産卵のため地球に戻ってきていました。

ショナは子供の頃から、夢に出てくる美しい女性(セイラ)に憧れていました。

ベンジャミンは人間(アート)と人魚(ショナ)のどちらを選ぶのか?

ベンジャミンが人間を選んだら、地球にとんでもない災いが起こるのではないか?
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しかし人魚を裏切ったのは、ベンジャミンではなく兄弟のティルトでした。

病弱なセツが亡くなってしまった時、ティルトは魔女と「セツを生き返らせる代わりに、地球を滅ぼす」という契約をしていたのです。

卵細胞のないティルトは、無神経で大嫌いなベンジャミンより、セツに卵を産ませたかったから…

そして、ティルトは大富豪の息子「ギル」の体を乗っ取り、あのチェルノブイリの原発事故を引き起こそうとするのです。

生き返ったセツは、ショナに恋をしました。

でもショナが好きなのはベンジャミン、女になれるのもベンジャミン…



最終的には、ジミーが原発事故に巻き込まれた?という時にセツが女性化し、ショナと結ばれ、そして卵を産みました。


結末は不思議な、原発事故を止められたのか、止められなかったのか、不思議な終わり方でした。

ジミーとアートが結ばれ、人間の少女として暮らしている様子が描かれていたのに、突然出会った子どもたちを見たら、原発の後遺症で苦しんでいる姿が見えてしまい、

「事故は本当に止められたの?止められなかったの?」

とジミーも困惑しつつ、それでも現実に引き戻されて、笑顔でアートの元に行っていたけれど…

事故が起こった未来と、防げた未来の、どちらが本当か分からないまま終わったのです。

セツが産卵後に亡くなってしまったこと、子どもたちがベンジャミンたちにソックリだったのを見られたのは良かった、かな。



ただこのマンガで「チェルノブイリ」は「にがよもぎ」という植物の名前と同じで、そしてヨハネの黙示録には

「ニガヨモギという星が地球に落ち、人々の多くが亡くなる」

と書かれていたため、チェルノブイリの事故は予言されていた、と言われていることを知りました。

チェルノブイリの原発事故が起こったのは1986年。

「月の子」が連載開始したのは1988年。

清水玲子はこの社会問題と、童話の人魚姫と、SFの世界を織り交ぜ、美しい絵でマンガ化しています。


話が長いだけあり、設定的に「あれ?」と思う部分も出てきますが、やはりものすごく面白くて、シッカリとしたストーリーで、本当にオススメです。

そして私、実はギルに恋をするおばさん・リタに感情移入してしまいます。

アートの元恋人は、まー性格悪かったですねー。

ジミーは1話目では14歳くらいに見える、スラリとした少年だったのに、気付いたら9歳児くらいに縮んでしまったのはなんなんだろ?

あの子は…主人公だし良い子だけど…でもやっぱり無神経でしたね。

そういう、天然で人を傷つける主人公を責めるティルトの存在も良かったです。



チェルノブイリの事故当時のことをはよく覚えていませんが、日本も大騒ぎになっていたと聞きます。

東日本大震災の直後にも、チェルノブイリが今どうなっているのか?どんな影響が出たのか?がネットニュースでよく取り上げられていました。

でも東日本大震災から8年、もうチェルノブイリのことを思い出す人は少ないでしょう。

むしろ、福島のことを話題にしてはいけない、という気持ちと共に、チェルノブイリのことも封印したような気がします。

このマンガはあくまでも原発がメインではなく、恋・子孫・地球の環境・平和がテーマとなっていると思います。

ゴールデンウィークに空いた時間がある方は、電子書籍なら全8巻とちょうどよい量です。

昔読んで懐かしいから再読したい方も、まだ読んだことがない方も、お試しでも読んでみてくださいませ!

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