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「さんかく窓の外側は夜」10巻最終ネタバレ感想〜中盤からラストは微妙なまま終わった

ずっと原作を読んでいたヤマシタトモコの漫画「さんかく窓の外側は夜」、ついに完結したというのを遅ればせながら知り、読みました。

ちなみに実写化映画は気になっていはいたけど、観ていません。

実写化発表の時点ではまだ原作が終わっていなかったし、正直原作も中盤から微妙だなぁ…ってなっていたので…

そのタイミングで実写化しちゃうと、B級なオリジナルラストになっちゃうんじゃないの?と思ってしまい、とにかく観るとしても原作を終えてからかなぁという結論に達しました。

で、原作の最終巻のネタバレ感想ですが…

うーん、イマイチ!


さんかく窓の外側は夜 10 (クロフネコミックス)

これまで各巻のネタバレ感想を書いてきたつもりでしたが、まとめたのを見ると、全部は書いてないですね、私。

しかも9巻に関しても書いていない…

でもねー1巻から4巻くらいまでは、めっちゃくちゃ面白かったんです!

ホラーとしても怖かったし、BL的なエロさもあって、笑いもあって、魅力的でした。

それが、途中から冷川の幼少期と宗教団体の話と、英莉可が「先生」と呼ぶ謎の男と、三角の父親が繋がっているという流れになってからは、どうも中途半端なミステリー?みたいになって、エピソードよりストーリー展開重視にしたことにより空中分解しちゃったかな。

岡田将生×志尊淳で2020年映画化!「さんかく窓の外側は夜」のネタバレあらすじ

このブログでも何度かネタバレ感想を書いているヤマシタトモコの漫画「さんかく窓の外側は夜」が、年内2020年に映画化されると発表になりました。心霊探偵をやっている冷川理人は、岡田将生。霊感あり体質で、本屋でバイトしている大学生の三角康介は、志尊淳。1000RT:【年内公開】漫画『さんかく窓の外側は夜』が映画化、岡田将生と志尊淳がW主演https://t.co/Rcsgu7yvwy除霊師の男と幽霊が見える書店員が心霊探偵バディとして殺...



読者としてはもう「先生」が三角の父親なのは前から察せていたため、いざ10巻で親子が対決?状態になっても

「あぁ…、はいはい」

という感じ。

読者はまぁ知ってたからそうだよね、なのですが、肝心の三角も父親と対面した割には、しかもその父親が殺人鬼と分かった割には、とても淡々としていたように思います。

知った直後は衝撃を受けていたけど、結局はお母さんからもらった愛情が彼の核となっているため、父親なんて血しか繋がっていない人、と割り切ってたし。

この父親が三角に話す言葉は、読者には

「そうそう、奥さんは霊的な悪影響を受けない人で、その明るさが好きで結婚したのに、子供にその効果を盗られてしまったのが嫌だったんだよね。

だから家を出たんだよね」


と分かるのですが、三角からしたら突然あんな風に言われても「は?」なんじゃないかな…

冷川が母親や宗教団体に隔離されていた幼少期をトラウマとしていて、そしてその頃に作った仕掛けを「先生」が利用していることが分かり、皆んなで力を合わせてそのシステムを壊して終わり。

というのが10巻だったのですが、ラスト「先生」は警察に他の現実的な事件の容疑者として逮捕される、というだけのシーンしか無く、結局「名前や顔を思い出せなくさせる」という術のこともよく分からないまま、だったかなぁ。

三角がお母さんに父親の話をしようとするシーンもありましたが、どこまでも話したかも描かれてはいません。

えっと…その後お母さんは、夫に会いに行こうとしたりはしなかった、のかな?

愛していた男性が突然自分と子供を置いて出ていき、何故か顔も名前も思い出せなくなるって、結構ヘビーな経験のはず。

それを乗り越えていた明るいお母さんでも、その後夫が多くの人を殺める霊的なことをしていた、なんて知ったらショックだろうと思いますが、そこまで息子は話さないのかしら?
英莉可も母親と一緒に暮らせるようになるのか、どうなるんでしょう。

冷川の事務所に三角が普通に顔を出し、これからも霊的なお仕事を続けていくよっという大団円風な終わり方をしていましたが、うーん…

分かるんですよ、一応言いたいことは。

三角に付けていた契約の印をアッサリと解除され、でもそんなものが無くても三角が冷川の側にいる、という、その前向きな明るさが冷川を救うってことは。

ただ、前半ではずっとちょっとBL的なエロさがあったので、そこから急に無垢な子供のような感じになられてしまうと、読者も置いていかれた気持ちになります…

世間知らずの残酷さと無垢さを兼ね備えた冷川が、成長して霊能者を生業とし、そして「一緒にいれば怖くなくなる相手と出会えた」という、運命的なストーリーだったのだけど…

ちょっと幽霊というより呪いがメインの話になってから、話のスケールが大きくなりすぎてしまったのかもしれませんね。

ヤマシタトモコって日常の中の些細だけど引っかかる感情を拾い上げるのが上手な漫画家さんなので、こういうストーリーモノを長期連載するのは違ってたのかな。

同時に「違国日記」の新刊を買って読んだのですが、こちらはもう、めちゃくちゃ良かったです。


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「さんかく窓の外側は夜」も、後半それぞれの感情をこのくらい丁寧に、でも詩的に描いていたらまた違ったのかな。

言葉足らずのままポンッと点をどんどん置いていき、とりあえず映画化もしたし終わらせた、な感じになっちゃってた気がするんだけど…

三角は母親譲りの常に前を向く優しさと強さ、父親譲りの霊的な力を持つ青年。

偶然であった変人みたいな霊能者と関わり、関係を深めることにより、多くの心霊現象に関わる呪いの存在に気付く。

ってとこまでは良かったので、中盤からラストをもうちょっと変えて欲しかったなと、勝手ながら思います。

まぁあれね、やっぱり三角と冷川の関係性が途中から曖昧になっちゃってたのが大きな残念ポイントかな。

と書いている内に、

三角の父親(先生)は妻と出会って怖くなくなった。

冷川は三角と出会って怖くなくなった。

運命の相手と出会うことで、人生は変わる。


的なことが、あまりにキレイに正論っぽくなってしまっていて、そこがヤマシタトモコらしくなかったのかもしれないなと思いました。

映画化もあって、BL要素を減らすことになった、なんてことあるのかなぁ。

映画もいつか機会があったら観てみようっと。

年齢的にこれからヤマシタトモコは益々面白くなるか、微妙になるか瀬戸際かもな、と思いながら読んでいて、この作品では途中で心配になったりもしてたのだけど「違国日記」は面白いのでまだまだ期待しています!
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