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未就学児連れで美術館を楽しむ方法~「熊谷守一 生きるよろこび」展

先日友人と友人の娘ちゃん6歳と、国立近代美術館に「熊谷守一 生きるよろこび」展を観に行ってきました。



この娘ちゃんを連れて美術館はこれまでも行ったことがありますが、3歳の時はやはりロープの中に入ろうとして止められて泣いてしまったり、薄暗い美術館を怖がったりしてしまい、なかなか楽しめませんでした。

でも6歳になると、それはそれで絵を観るのに飽きてしまいますね…


最近の美術館は、小さな子供が楽しめるように趣向を凝らした企画をたてているところが多いです。

国立近代美術館でも、子供にはビンゴの紙を渡して

「作品の中にこの条件に当てはまるものを探してみよう」

という企画をやっていました。

「キラキラ」とか「好きな色」とか、子供が自分で考えてビンゴにしていけるのは面白いなぁと思いましたが、特にそれでプレゼントがもらえる、とかではなかったので、ちょっと子供だましかな?

私達以外にも、ベビーカーの子連れの方、幼稚園生くらいの子を抱っこしている方、小学校低学年くらいの子を連れている方がいましたが、やはり国立近代美術館は本当に美術好きな方がくる感じの場所なので、ワーワー騒ぐ子供は一人もいませんでした。


娘ちゃんがずいぶんシッカリ話したり出来るようになってきた分、子連れで美術館に行くときは、親にもそれなりに教養が必要かな?と感じました。

「ねぇねぇ、これ何?」

と聞かれた時に、答えられないのはもったいないですよね。

また、ただ絵を観ているだけだと飽きてしまうので

「ねぇ◯ちゃん、ちょうちょの絵だよ」とか「ほら、鳥さんの絵だよ」など、子供が好きそうなモチーフの絵があると話しかけてみたり、

熊谷守一の代表的な試みである、同じモチーフで少し変えて描かれた2枚を並べてあるところでは

「どこが違うか分かる?どっちが好き?」

等と意見を求めたりしながら観ました。

これもだんだんと「どっちでも、どうでもいい」とか言うようになっちゃいましたけどね…

この「どっちが好き?」は公式Instagramでも書かれてますね。




今回この熊谷守一の展示に来た理由は、娘ちゃんが猫が大好きだからです。

冒頭は裸婦や家族や風景の絵がずっと並んでいて、これは子供受けが悪かったです。

中盤から徐々に可愛らしい色使いで、山羊や牛がいる田園風景の絵が出てきたので、

「観て、ほら牛さんだよ」

など話しかけて、退屈そうにしているのを紛らわせるのに必死でした。

やっぱりメインの猫の絵のコーナーでは楽しそうにしていたので良かったです!


猫の絵のコーナーもたくさんの絵が並んでいたのですが

「ねえ、この絵の猫ちゃんは、どのくらいの大きさだと思う?」
「うーんと、このくらい!」
「もっと小さいかな~子猫なんだって」

と、絵を観ながら想像をさせるようにしてみました。

やっぱり、黙ってただ並んでる絵を観させるのって、子供には辛いかなって思うんです。

「これは何をしているところだと思う?」
「ここに人がいるの、分かる?」
「この中でどれが一番好き?」


等話しかけながら回っていって、質問されたら答えたり、一緒に考えたりするのが教育の一環じゃないかな、と思います。

その為には、絵が描かれた時代背景も親はちゃんと知っていた方が良いですね。
難しいのが、裸婦や死、戦争などをモチーフにした作品がある展示会に行く時だと今回つくづく思いました。

同時開催のMOMAT コレクションも観たのですが、明治時代から近代美術まで時代ごとに展示されていて、途中から太平洋戦争や難民のコーナーになり、そういう絵を6歳の子に観せて良いのか?そもそも戦争について話して良いのか?ということについて少し悩みました。

小学生になったら国語の教科書で戦争が出てくる話も読んでいくと思いますが、未就学児童に戦争について話す機会は普段はあまり無いと思うんです。

友人に「戦争の絵を観せて大丈夫かな?戦争って何か知ってる?」と確認したら「うーん、まだ早いのかなーどうかなー戦争は知らないはずだけど」と言っていましたが、友人は特に見せないという選択はせず、

「これ何の絵?」と聞かれたら
「戦争の絵だよ」と答える程度にして、友人が絵を観るのに娘ちゃんが着いてくる、くらいの感じにしていました。


あくまで私見ですが、私は未就学児を連れて美術館に行く時に

ただ、美術品を子供に見せれば情操教育になる、とは思いません。

アニメではなくダヴィンチの絵を観せれば、感受性豊かな子供に育つわけではないと思います。

その作品に興味を持ち、モチーフなり色遣いなりを楽しみ、自分でお絵かきする時の参考になったり、

その絵の描かれた頃の時代背景を教えたり、

何を表現しているのか?ということを考えさせることが、情操教育に繋がると思います。



大人が美術館に行く場合は、楽しみ方はそれぞれだと思います。

今は音声ガイドが人気ですが、私は使ったことがありません。

私はそんなに絵の解説には興味が無いんです。

大抵は、美術評論家の感想だったりするからです。

プレートに書かれているタイトルと、ちょっとした説明を読むだけで充分で、それよりもその作品に自分が心惹かれるかどうか、に主軸を置いているので、作品の順番通りに全てをジックリ観たりもしません。

それって学芸員の決めたルールでしか無いから。


これは私が美術館の作品に、自分の仕事上で何かインスピレーションを得られないか?と思いながら観ているからです。

視覚的に惹かれる作品だけ、ジックリ観れば良いと思っています。

ので、いつもパーっと全体を歩いて作品を遠くから眺めて、今度は逆順に気になった作品をジックリ観て、入り口に戻ったらまた出口に向かって、見逃した作品、人が多くて観られなかった作品を観て帰ります。

嫌がる学芸員もたまにいますが、いや、お前は作家じゃないだろって思ってます。

その作家がこの順番で観て欲しいと思って決められた展示順で無いのであれば、私たちは自由に好きな作品だけ観れば良い。

それは子供も大人も関係ないと思います。


また、今回考えたのは

「美術館内でおしゃべりをするのは、いけないことなのか?」

ということです。

私もじっくりゆっくり静かに観たい美術館で、意見交換だかただのおしゃべりだか分からない話を大声でしている人たちにウンザリすることは時々あります。

で、私の中でアリだと思っているおしゃべりは

「純粋に、その作品について考えて述べる意見や、作品を観て楽しむための会話」

ならOKとしています。他人が聞いて何の役にも立たない、その場で話さなくて良い話はダメ。

これまで書いたポイントが、実際に子持ちの方からどう受け取られるのかは分かりませんが、子供が美術館を楽しめるように親も美術館も色々準備しておいた方がいいことはあるかな?と思っています。


普段その子供が何に興味を持っているか?にもよりますが、その子がお絵かきが好きなのであれば

「この線が赤いのは、光を表現しているからなんだよ」とか

「この猫ちゃんの顔、笑ってるみたいだね」とか、

「こういう描き方をすると、こんな風に見えるよね」

という描き方の解説が簡単にでも出来たら良いのかな。

そういう意味では、この熊谷守一の作品はお花や虫やちょうちょ等、普段子供が描きそうなモチーフが色々あったので、良かったなぁと思いました。


帰りに娘ちゃんがミュージアムショップでこの猫たちのポストカードを気にしていたので、

「欲しいのを買ってあげるよ」

と言ったら、真剣に悩んで1枚選びました。

「コレだけでいいの?他にも好きなのあれば選んで良いよ」

と言ったら、再度よーく悩んでもう1枚選んだので

「2枚でいいの?こっちの三毛猫ちゃんはいらないの?」

と聞いても、

「ううん、これでいい」

と言ったので、2枚買って渡してあげたら、その後ずーっと何度も何度も、袋から取り出しては眺めて笑って、すごく嬉しそうにしていて、ホッコリしました。

子供には作品の実物より、ポストカードの方が身近で楽しめるのかも??

大人も子供も、猫ちゃん好きも美術好きの方も、ご興味ある方は是非行ってみてくださいね!


熊谷守一カレンダー2018年版 ([カレンダー])

●没後40年 熊谷守一 生きるよろこび
東京都国立近代美術館
2018年3月21日まで
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